<「1:お味噌を買うのも命がけ」まででのレビューです>
朝食の味噌汁をめぐるやり取りや、ボロアパートでの描写は、ごく普通の生活を思わせながらも、その背景には銃火器や賞金稼ぎが日常化した未来社会が広がっていて、その落差がむしろ自然に感じられるのは、語りが軽快で、しかも細部の説明が積み重ねられているからでしょう。
「――むっちゃん恐ろしい子!?」
ユーモラスな感嘆符を交えながら、彼女の潜在的な戦闘力や危うさを一瞬で浮かび上がらせます。緊張と笑いの両方を孕んだ、この絶妙な軽さが、作品全体の空気を象徴しているようです。
銃や車の描写が細かく挟まれていることで、舞台設定がリアルなものとして伝わります。単なる設定の羅列ではなく、生活の一部として溶け込んでいるのが印象的。そららの積み重ねが、人物たちの会話のテンポをより自然にさせています。
日常の中で自然に非日常を扱う語り口が、心地よく流れていく作品です。