第58話 お泊り会


 7時過ぎになると母親が帰ってきて涼葉を暖かく迎える。


 「涼葉ちゃんみたいないい子がうちの子だったらなあ」などとひどいことを言う。


 「お母さんには連絡しておくから泊っていきなさい!」


 「え?いいんですか?」


 「うんうん」


 『やったー!』涼葉とうるは、ついでに陸翔まで喜んでいた。


 「夕ご飯作っておくから3人でお風呂に入ってきちゃって」



 そう言われて3人で脱衣場に入る。


 涼葉は身長は151センチしかないのに胸は多分Eカップくらいある。


 服の上からでも大きいのが分かるが、脱いでみると巨乳というのが分かる。


 いつもはうるはの胸をガン見する陸翔も恥ずかしがって涼葉の方を見ようとしないでうるはの陰に隠れる。


 「どうした?陸ちゃん」涼葉がかがむと胸の谷間が強調されて暴力的ないやらしさなのかもしれない。


 陸翔は黙ったまま先にお風呂場の方に入っていった。



 「うるは、大きくなったよね?」


 「うーん、かなあ」


 「うりうり」そう言って胸をもむ。


 「あ・・だめだから、陸翔が見てる」


 「陸ちゃんは嬉しいよね?」


 「え・・あ、うん」


 「ほらあ」


 「もう、涼葉」



 「ねね、ところでお風呂と言えば来夢君」


 「神無月君?」


 「かっこよかったなあって」


 「かっこいいよね」


 「どうするの?」


 「どうって」


 「私がうるはなら二股ふたまたかな」


 「え?」


 「付き合ってから決めれば?」


 「そんなこと・・・」


 「うーん、でもそれはうるはっぽくないかなあ」


 「でしょ?」


 「でも、もうすぐクリスマスだよ?選ばないといけないんじゃないの?」


 「クリスマスかあ」


 「私には陸ちゃんがいるかな」そう言って浴槽に入っている陸翔の方にシャワーを向ける。


 大量のお湯が陸翔にかかって陸翔は顔をしかめながら喜んでいる。



 (そっか・・・クリスマスか・・・)



 お風呂から出ると8時くらいになっていた。


 父親はまだ帰ってきていない。


 4人で食卓を囲む。


 母親はわざとらしく涼葉に学校のことや受験のことを聞く。


 涼葉は当たり障りなく答える。


 うるはも知らなかったが涼葉は国立大学付属高校の中でも1番上位のクラスに在籍しているらしい。


 バイトも部活もしないで勉強時間はキープしているとのことだ。


 母親はえらいねーほんとにと深いため息をつく。


 「うるははどうするの?そろそろ2年生になっちゃうでしょ」


 「私かあ・・そうだよね」


 進路についても決断を迫られているようだった。




 狭いからという理由で陸翔は自分の部屋に帰された。


 うるはと涼葉は幼稚園の時から何回お泊り会をしたのだろう。


 涼葉のパジャマもうるはの部屋には置いてある。


 せっかくだからと涼葉にレポートを見てもらった。


 2時間くらいかけて一週間分のレポートを終わらせてくれる。


 さすが!とうるはの目がきらきらする。


 「じゃあ体で払ってもらおうかあ」


 「ちょ・・涼葉・・目つきがいやらしいよ」


 「よいではないか、よいではないか」


 涼葉がうるはをベッドに押し倒してキスをする。




 部屋の電気はいつの間にか真っ暗になっていた。

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