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 一方その頃、ケイトも、ショタ国へと連日謝罪に訪れていた。

「我が国の兵士によって、多くのショタ国の国民が殺された。本当に申し訳なかった。謝って済む問題ではないが、謝らせて欲しい」

 毎日違う町を訪れては、市民に直接頭を垂れるケイト。ケイトも、お姉さん国でレオが遭ったのと同じような目に遭っており、石を投げられ、殴られていた。しかし彼女もまた、一切反撃も反論もしなかった。

 数日間ずっとそんな調子でふらふらになって倒れていたケイトだったが、六日目に、お姉さん国で捕虜にされていたショタたちが止めに入った。

「みんな!やめて!」

「もう十分だよ!」

 敵国のトップを庇う彼らに対して、市民たちは怒声を上げた。

「何だてめぇら?」

「女に骨抜きにされたか?あ?」

「違うよ!ボクたちは、捕虜だったけど、すごく丁寧な扱いをされていたんだ!みんなは奴隷扱いされてたんだろうとか言うけど、そんなことは全く無かった!客人みたいな扱いだったんだよ!それもこの人が、部下たちに指示してくれたおかげなんだ!」

「関係あるか!敵国のトップだろう!」

「それに、この人は僕らのことを、一人も殺していないんだよ!」

「知るか!そいつが殺して無くても、そいつの部下たちは大量に殺してる!そいつの責任だろうが!」

「そ、それは・・・」

 言葉に詰まる元捕虜のショタたち。

 その言葉に対して、必死に立ち上がって言葉を口にするケイト。

「その通りだ。本当に申し訳なかった」

 すると、それまで石を投げたり殴ったりするだけだった群衆に変化が現れた。

「ぐへへ。だったら、身体で謝罪してもらおうか」

 そう言って、市民の一人がケイトに近付いて、胸を揉んで来た。

 それを冷たい目で見ながら、ケイトは言った。

「悪いのは私だ。胸くらいならいい。身体を触るのもいい。だが、二つ約束して貰おう。唇には触らないこと。そして、犯さないこと。この二つの約束が一つでも破られたら、私は即座に舌を切って死ぬ」

 ボロボロにも関わらず、毅然とした態度で言い放つケイト。それに対して市民は、

「何言ってんだお前?そんなこと出来るわけ……」

 と言ったが、冷たくこちらの心臓を射抜いてくるようなケイトの視線を受けて、(こ、こいつ……!本気だ!)と、感じた。

「良いのか?お前が死ねばレオが悲しむぜ?」

「だろうな。でも、穢れた身体であいつに会うくらいなら、私は死を選ぶ」

 その言葉を聞いて、市民は、

「ちっ」

 と言って、ケイトから離れていった。

 しかし、少し離れてケイトを見守っているお姉さん国の女を見て、こう言った。

「どれだけ石を投げようが、殴ろうが、どうせお前が死にそうになったら、あそこにいる部下が魔法で怪我を治すんだろう?」

「その通りだ。私にはまだやるべきことがあるからな」

 市民たちは、紫髪ツインテールの可愛い顔をした一般兵を見て、こう言った。

「あのおろおろした感じ。まだ年齢は幼いな」

「あの部下も、殴ってやろうぜ」

「よく見たら可愛いじゃねーか。げへへ。殴るよりもよ、気持ち良いことしてやろうぜ」

 下卑た表情で一般兵の女に近付いて行く市民たち。

 すると、いきなり近くから恐ろしい大きさの炎が出現した。

 それは、ケイトの炎魔法だった。ケイトの手の先から炎が溢れてくる。

「やめておけ。そいつに手を出してみろ。お前ら全員、一瞬で塵にしてやる。呪いが無くなってお前たちが私に物理攻撃を出来るということは、私の魔法もお前たちに当たるということだ。レオと共にファイアードラゴンと女神を倒した魔法の威力、知りたければ食らわせてやる」

 それを見て冷や汗を垂らす市民たち。

「ちっ。しょうがねーな」

「今回は見逃してやるか」

 と言いながら立ち去ろうとする市民たちに対して、紫髪ツインテールの一般兵が声を上げた。

「あ、あの!待ってください!」

「あ?何だ?まだ何かあんのか?」

「えっと、あの、あたしは、イヴって言います。森の中で、レオさんに殺されたカトリーナという分隊長の娘です」

 一般兵の女は、イヴだった。イヴは、今回ケイトが一人だけ一般兵を連れて行くと聞いたときに、自ら志願したのだった。

「で?何だってんだ?仇討ちにでも来たってのか?」

「ち、違います!」

 イヴは必死に言葉を紡いだ。

「えっと。あたしは、最初、母親を殺されたことで、とても悲しかったんです。でも、レオさんは、母親と一緒にあたしも殺せたはずなのに、見逃してくれました。何でだろう?ってずっと考えていたんです。でも、ショタ国でずっと謝罪を続けるケイト様を見ていて分かったんです。今、この瞬間も、お姉さん国で同じようにレオさんも謝罪を続けていて、二人は、もうこれ以上悲しい思いをする人が出て欲しくないって思ってるって。あたしは母親がいなくなって悲しくて、その悲しみは今でも消えないけど、でも、だからこそ、誰にもあたしみたいな気持ちになって欲しくないって思います!だから、えっと……あの……」

 感情が溢れてきて、最後は言葉にならず、涙が溢れてきたイヴを、ケイトが優しく抱きしめた。

「ありがとう、イヴ。話してくれて」

「あ、あたしは何も……」

「ありがとう」

 そんな二人を見ながら、市民たちは、

「ああ~あ。冷めちまったな」

「何だかな」

 と言って脱力した表情をしていた。

 が、

「王女さんよ。俺たちもレオのことは信頼してるし、力になりたいとは思ってる。俺たちがこれから力を貸すのは、レオのためだ。あんたのためじゃない。それを覚えておきな」

 そう言って、去って行った。

 去り行く市民たちに対して、ケイトは、

「恩に着る」

 と言って、いつまでも頭を下げ続けた。

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