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 突然目の前に現れた妖精に面食らうレオ。

「うおっ!?」

「ああ、レオ~!僕のレオ~!会いたかったよレオ~!」

 レオの胸に飛び込んで来て、早速身体を擦り付けて来る妖精。

 驚きの余り一瞬硬直してしまったが、レオは直ぐに妖精に話しかけた。

「ケイトを生き返らせてくれ!」

「ケイト……ああ、君と一緒に泉に来た人間の小娘だね」

 そう言うと、妖精はチラッと地面に横たわるケイトの亡骸を見て、

「人間が光魔法を使ったんじゃ、無理もないよね。四種類の上位魔法を同時展開しないと発動出来ないし」

 と言った。レオが、

「妖精!お前なら出来るんじゃないのか!?人間を生き返らせることが?」

 と聞くと、妖精は、

「……確かに、僕なら出来るよ」

 と答えた。

「本当か!?」

「本当だよ」

 その答えを聞いて、レオが喜びを爆発させた。

(ケイトが!生き返る!)

 しかし――

「さっき、『何でもする』って言ったよね?」

 妖精が、それまでとは違う、不気味な薄笑いを浮かべてレオに話し掛けた。

「ん?ああ、言った。俺は何をすれば良い?」

 その問いに対して、妖精は残忍な表情で言った。

「君の命を頂戴」

「え?」

 ニヤニヤして、楽しくてしょうがないという様子の妖精。

「消滅した身体を治してやるだけでも面倒くさいのに、何で僕がタダで人間を生き返らせたりしなきゃいけないの?対価はしっかり貰――」

「分かった」

 妖精が喋っている途中で割って入ったレオが、妖精の条件を承諾した。

「え?」

 それに対して、妖精は驚きの表情を浮かべた。

「そんなに簡単に決めて良いの?命だよ?」

「ケイトが生き返るなら、問題ない」

 レオの心はもう決まっていた。

「もうこの子に会えないんだよ?」

「それは確かに少し心残りだ。出来ればもう一度生きてるケイトに会いたかった。でも、ケイトがいない世界なんて生き地獄でしかない。俺の命でケイトを生き返らせることが出来るなら、その方がずっと良い」

 その言葉を聞いて驚きの表情から薄ら笑いの表情へと戻ると、妖精は、

「ふぅ~ん。分かったよ」

 と言った。そして、続けて言った。

「じゃあ、君の命、貰うね、レオ」

「ああ。ケイトを頼む」

 するとその直後、妖精が白く輝き、眩しくて目を閉じたレオが目を開けた時には、目の前に人間の大きさになった妖精がいた。

 小さいままでも十分美しかったが、人間サイズとなった今では、その光を纏っているかのような煌びやかな緑髪や、少し潤んでいて吸い込まれそうな緑色の目や、豊かな胸に艶かしい身体が強調されて、これから命を取られると分かっているはずのレオも、思わず息を呑んでしまった。

「フフ。どうしたんだい、レオ?緊張してるのかい?可愛い。大丈夫、僕に全部任せて」

 そう言うと、妖精はレオの身体に両腕を回して抱きしめ、豊満な胸を当て、耳元で甘く囁いた。

「どう?僕の身体?ドキドキする?」

「う……あ……」

 思わず声が出てしまうレオ。

 レオの耳にフゥと息を吹き掛け、レオがビクッとするのを見て妖精はクスッと笑い、

「ねぇ、レオ?気持ち良い?じゃあ、僕がもっと気持ち良くしてあげるね」

 と言って、右手の人差し指で、レオの耳から顎、喉、鎖骨、と艶かしくなぞって行き、胸で止めた。

「ここ。ここが一番気持ち良いところなんだ。レオ、いくよ?」

 そう言うと、妖精は、右腕でレオの胸を貫いた。

「がはっ!」

 大量に吐血して、激痛に身体を震わせるレオ。

 そんなレオの様子を見て、

「いいねぇ!その苦悶の表情!その声!やっぱり究極の美少年の苦しむ姿は最高だよ!」

 と言って、妖精は恍惚とした表情を浮かべた。

「まだまだ!僕がもっと気持ちよくしてあげる!」

 そう叫ぶと妖精は、レオの胸を貫いた右腕はそのままに、今度は左腕でレオの腹を貫いた。

「ぐはっ!ゴボッゴボッゴボボボボボ」

 レオの口から血が次から次へと溢れてくる。胸から、腹から、どくどくと温かい血が流れていく。

 あまりの激痛にレオは気が遠くなっていった。

 遠ざかる意識の中で、ケイトを見ながらレオは考えていた。

(妖精は狂ってるが、約束は守るタイプだ。ケイトは生き返る。ケイトが生き返ったら……女神はもういなくなった訳だし、普通に男と付き合えるんだよな。これからは誰か他の男がお前の側にいることになるのか。正直ちょっと妬けるが、でも、お前が生きていてくれるなら、それでも良い)

 レオは、薄れ行く意識の中で、ケイトに対して必死に言葉を紡いだ。

「ケイト……しあわ……せに……な……れ……よ……」

 そんなレオに対して、妖精は、何度も胸と腹を貫いた腕を抜き差ししながら、レオの身体中をペロペロと舐めて、

「レオ!君は最高だよ!ボク、イっちゃいそうだよ!このまま一緒にイこう!ね?ああ!あああ!!イクゥゥゥゥ!!!」

 と言って、レオを両腕で貫いた状態のまま、涎をだらだら流して恍惚とした表情で上を向き、身体を硬直させて絶頂を迎えた。


 そして、レオは息絶えた。

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