第5話 「腹が減って死にそうだ」
クルチアが部屋に戻ると、イケメンはフラつく足で布団から立ち上がろうとしていた。
だが弱りきったイケメンは足がもつれて床に倒れてしまう。 ずでーん。
クルチアは大急ぎでイケメンに駆け寄った。 イケメンの体に触れるチャンスである。
「だっ、だいじょうぶっ?」
クルチアはイケメンの背中に腕を回し、上半身を抱え起こした。
(やーん、あったかい)
初めて触れるイケメンの体は暖かかった。 もう何日も食事をしていないだろうに、彼の体は
(そして、これがイケメンの香りなのね クンカクンカ)
クルチアに匂いを嗅がれているとも知らず、イケメンは必死で立ち上がろうとする。
「腹が減って死にそうだ」
クルチアは思った。 それはそうでしょう、あなたは餓死しかけなの。 だが口にしたのは別の言葉だ。
「この家に食べ物はあるの?」 私が取ってきてあげる。
「パスタがある」煮干しも。
弱りきったイケメンに調理はできまい。
「お菓子とかは無いの?」 すぐ食べれるやつ。
「ない」
「じゃあ、あなたはここで待ってて。 私がパスタを茹でてきてあげる」
クルチアの言葉に、イケメンは顔を輝かせた。
「助かるよ!」
クルチアは大急ぎで台所に向かった。 台所の場所はすでに把握している。
◇❖◇❖◇❖◇
クルチアは台所で食料を探し回った。
見つかったのは1kg入りのパスタが2袋、煮干しと昆布、それに塩と食用油。
「ほんとパスタしか無いのね、この家」
だが、この材料でも作れる料理はある。
クルチアはまず、流し台に放ったらかしになっている食器を洗うところから始めた。
◇❖◇❖◇❖◇
パスタが茹で上がるのを待つ間もクルチアは忙しなく働いた。 イケメンの部屋に
パスタが茹で上がる頃を見計らい、クルチアは台所に戻った。 鍋の蓋を開けて
「ちょっと茹で過ぎた!」
でもイケメンは久しぶりの食事だから、茹で過ぎのほうが消化しやすいはずだ。 むしろ茹ですぎて良かった。
茹で上げたパスタをザルに上げて水を切り、お皿にパスタを移す。 皿には、すり鉢でスリ潰した煮干しと刻んだ昆布がすでに投入されている。
皿に移したパスタの上に適量の塩と油を投入し、パスタと煮干し粉を十分に混ぜて...
「できた! 煮干しパスタ!」
台所のテーブルの上には、ほかほかと湯気を立てる煮干しパスタが2皿。 イケメンのぶんとクルチアのぶんである。 そう、クルチアもお腹が空いていた。
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