第47話 ドラゴンスレイヤー

地下空洞入り口

ゲート開閉レバーのあたりで、熱放射をマシンガンのように撃ちだすデーモン。

その時、遠くで大きな爆発が起きる。ヒドラとワイバーンの爆発である。

サキシマが、マンションの方を見やる。

「規模は小さいがすぐそばだ。巨大生物同士で爆発したのか…」

デーモンたち、爆発を感じて、騒ぎ出す。

そのすきに乗じて、突進するヘラクレス。

デーモンを、1匹、2匹と水路に投げ捨て、ついにレバーを引く。

ゲートが開き始め、中から、巨大な何かが近づいてくる。

デーモンたちは、ちりぢりになって、逃げて行く。

中からガルシムがソロモン博士とエルンストをのせてその巨大な姿を現す。

ソロモン博士が外を見る。

「テュフォンとドラゴンはどうなった。うぉ、テュフォン、ピンチじゃ」

1本の首のもげたテュフォンが、やっと立ち上がったが、口の冷凍化が回復したドラゴンに、じりじりと追い詰められていた。

ドラゴンが、近づくたびにロボットムチがうなり、なかなか近づけない。

ケンが眉間にしわを寄せる。

「ロボットムチの電力が弱くなってきた、やつをおとなしくさせておくのは限界だな」

ルークはまだあきらめない。

「まだまだだ。最後まで希望を捨てるな」

ロビンが目ざとく見つける。

「おっと、博士とガルシムが出てきた。まだ、何とかなるぞ」

博士に無線が入り、作戦が伝えられる。博士が合図を送りガルシムもついに出陣だ。

ケンが叫ぶ。

「もう一度、あの馬鹿でかい口に、冷凍弾をぶち込んでやる」

ショルダーキャノンが伸びる。だが、今度はすぐに気づいたドラゴンが、カメレオンのようなトゲのついた長い舌を伸ばし、破壊してしまう。

ケンがニヤリと笑う。

「よし、かかった」

ルークがわざとよろめいて隙を作る。

「よし、来るぞ。もう一息だ」

ついにドラゴンは飛びかかり、もう一本の首にかみつき、その強力な足の爪でテュフォンのひざを砕いた。

ルークが悲鳴を上げる。

「しまった、計算外だ」

斜めに傾くテュフォン。残りの一本の首で噛み付くが、背中のワニの皮はなかなか破れない。

だが、その時ドラゴンの動きが止まる。

かみつくのをやめ、振り向くドラゴン、ガルシムが、長い尾の根元にしがみついている。4本の前足を動かして、振り払おうとするが、斜め後ろには届かない。ガルシムのよろいの下から何本ものハサミが伸びて柔らかな脇腹を直撃する。

「グオオオオオン」

苦しがるドラゴン。さらに、あの長い隠しアゴガ斜め後ろから伸びて、ドラゴンの首元にに食らいつく。ガルシムがそのまま押し切ると、さしものドラゴンが、大きく傾き、地響きを上げて横転する。

ルークが決断する。

「いまだ、離れて、あの攻撃だ、ケン!」

「よし、距離を十分とれ、ロックオンだ」

ソロモン博士が拳を握りしめる。

「よし、いよいよだ。エルンスト、頼んだぞ」

テュフォンの真ん中の首がまっすぐに伸び、中から巨大なブレードが突き出す。

ドラゴンの胸の辺りにロックオンされる。

「ドラゴンスレイヤーショット!」

真ん中の首は、一本の巨大なソードとなって、ドラゴンに打ち出される。

ケンが悲鳴を上げる。

「しまった、重心が傾いた分、軌道が……」

ミサイルは急所をわずかにそれ、ドラゴンのわき腹にあたる。

苦痛に暴れ出すドラゴン。転がるようにして、ガルシムを跳ね飛ばす。

その瞬間、ガルシムは、バランスを失い、川の中に落ちてしまう。

大きな波しぶき、渦とともに下流に押しやられるガルシム。一時戦線離脱だ。

ドラゴンは、ふらふらして苦しそうだが、まだ戦える。

すぐに反撃しないと傷口がどんどん再生していく。

ルークが歯を食いしばる。

「まさか外れるとは!さすがに、もうだめか……」

だが、その時、後ろから、大きな叫び声が聞こえる。

振り向くと、そこには、傷だらけのジャイアントが立っていた。

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