第28話 フェイク
ここはリタたちのいるところからさほど遠くない封鎖地帯の入り口。無人のビル街。
全力で飛ばして行く白いトラック。それを追いかけていく、2台の車。追いつ追われつのカーチェイスだ。
軍がバリケードを築き、トラックを止めようとするが、トラックは、バリケードをぶち破り、その破片が追いかける車に当たり、1台クラッシュ!
捜査員がシドたちに連絡する。
「封鎖地域に侵入された、シド、頼む。やつらをとめてくれ」
「ほいきた」
物陰からシドの車が走り出す。車から乗り出して、銃を撃つシド。だが、なかなか命中しない。
「モリヤ、あと少しだけ近づいてくれ」
運転席のモリヤが答える。
「オーケー.可能な限りやってみる」
行く手に繁華街が近づいてくる。白いトラックを運転している男がニヤッと笑う。そして、アタッシュケースを取り出す。
モリヤの運転する四駆が、ぐーんと迫ってくる。
身を乗り出すシド。弾丸が命中しタイヤがパンク、タイヤはちぎれ飛ぶ。
白いトラックは減速し、車道をはずれ、歩道に突っ込み、街灯にぶつかって止まる。だが男はまったく何もなかったように、狭い路地にアタッシュケースを持って駆け込む。
シドが叫ぶ。
「逃がすか。モリヤ、行くぞ!」
四駆を降り、二手に分かれて走り出すシドとモリヤ。
だが、みんなが去ったあと、白いトラックに積んでいたコンテナの戸がはじけ飛び、中からゼリー状の液体が流れ出す。そして、何かが外に出てくる。
ニヤニヤ笑いながらときどき振り返り、男はアタッシュケースを抱えて走って行く。
銃を構えて追いかけるシド。
だが、狭い路地の出口には、先回りしたモリヤが現れる。
男は途中のビルの非常階段をかけ登る、追いかけるモリヤとシド。
屋上に追いつめられた男は、隣のビルの屋上へと、アタッシュケースを投げる。
「しまった」
「まかせろ」
中国拳法の体術、数メートルの空中を飛び越え、モリヤが手すりの上から、隣の屋上に、ひらりと飛び移る。サッと銃を持って駆け寄り、男を縛り上げるシド。
モリヤが素っ頓狂な声を上げる。
「しまった」
「どうした、モリヤ」
モリヤが、アタッシュケースを開けると、中は空っぽだ。
「やられた。このアタッシュケースはフェイクだ」
シドの顔色が変わる。
「なんだって。じゃあ、そうか、コ、コンテナ?!」
さっきの白いトラック
コンテナの扉が完全にはずれ、中から出てきた何かの歩いた後が、ゼリー状のあとで残っている。
ゼリー状の足跡は、3方向に分かれて続いている。
そこに追いかけてきた警察と軍の車両がやってきて、あたりは急に騒がしくなる。
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