もしも、もう二度と会えないはずの大切な人が、突然目の前に現れたら。
あなたは、その人を信じられますか?
ハロウィンを間近に控えたある日。
アキノの前に現れたのは、亡くなった恋人にうりふたつの男性。
顔も、声も、姿も、あの人そのもの。
……なのに、何かが違う。
無口だった恋人とは正反対の、やたらと陽気でお喋りな男性。
しかも、突然「冥界デート」に誘ってくるのです。
いやいや、怪しすぎるでしょう!🤣
そんな少し奇妙で、思わず笑ってしまう出会いから始まる物語。
ところが、二人の会話を追いかけていくうちに、軽妙なやり取りの奥に隠された、
深い愛情と切ない想いが少しずつ見えてきます。
人を愛するということ。
その人と一緒に生きたいと願うこと。
そして、愛する人の幸せを願うということ。
幼い頃、童話の「めでたし、めでたし」の、その先を夢見ていた少女。
彼女が願った幸せとは、いったいどのようなものだったのでしょうか。
この作品は、優しく、温かく、ときに胸が締め付けられるような恋の物語です。
――けれど、それだけでは終わりません。
読み終えたあと、きっともう一度、タイトルを見返したくなるはず。
甘く切ない余韻の中に、ほんの少しの不思議と怖さを残してくれる一作。
ぜひ、最後の一行まで、この物語をじっくりと味わっていただきたいと思います。
死が二人を分かつまで……あまりに早く、瑞々しい瞬間に、それが訪れたとしたら。
本作は、そんな心の彷徨う主人公アキノの前に、亡くした恋人と同じ名前、うりふたつの容貌、ちょっとだけ明るくて調子の良いハルトが現れることで始まります。
冥界の王ハーさん(ハーデース)をお手伝いしたら特別な機会をもらったと冗談のように言うハルト、二人しか知らない約束を言葉にするハルト……アキノも徐々に、この現実と夢が交錯した出逢いを受け入れます。
そして約束のキーワードになる偕老同穴の故事と、深海生物の神秘的なイメージが、二人の関係性と物語の結末を繊細に彩ります。
一方で、「微ホラー」タグの由縁となるラスト数行の匂わせも、ハーさん出典のギリシャ神話的で素敵なエスプリを効かせてくれています!