高校の教室で浮いている「私」と唯一の友人である変わり者の小前田ちゃん。『不老不死の人間が生物学上の確率で5人いる』という怪しい文字列をネットで見かけた小前田ちゃんの思い付きで、二人は放課後に街を歩いて不老不死の人間を探すことに。
まず「私」の語り口が面白い。比喩や言葉の一つ一つの選びかたがユニークで面白く、読んでいるだけでも楽しい気持ちになってしまう。少し天然の入っている小前田ちゃんとの会話もテンポが良くて大変微笑ましい。
特定の人物を面白おかしくあげつらって人気を得るクラスメイトや、授業中に妙な自説を熱弁する風変りな教師など、学校の空気の切り取り方も素晴らしく、これらだけでも十分面白い。だが、本作のさらなる素晴らしさは作品の構成力。前半でごく当たり前の日常として書かれていた、携帯を買い替えた話、シュレディンガーの猫の話、源義経=チンギスハン説など全てが思わぬ形で物語の内容に密接に繋がってくるのだ!
それ以外でも前半に登場したエピソードや小道具を後半で再利用するやり口がズバ抜けており、ここまで「無駄がない」作品はなかなかお目にかかれない。短編小説のお手本として自信を持って勧められる一作だ。
(「不死身な人々」4選/文=柿崎憲)