第九章 エミリアン・ビヤール登場

 スペインもフランスも六月十九日の水曜日の午後三時だ。男はフランスのパリ大学で講義を終えて、英国のロンドンに帰る所だ。その男の名前はエミリアン・ビヤール。エミリアン・ビヤールは、パリ大学出身の哲学の合理主義哲学を専門にしている教授である。歳は二十二歳である。彼はナポレオン・ボナパルトの末裔であり、彼はフランス人である。髪の色は、明るいブロンドで、髪の長さは、耳が隠れていて、前髪は眉毛を少し隠しているくらいの長さで、七対三で分かれている。目の色は、グレーで、肌は紙の様に白い。エミリアン・ビヤールの服装は、上半身が白いワイシャツに水色のセーターを着て、濃い青色のジャケットを着ていて、黒いネクタイを締めている。下半身は、明るい青色のジーンズを着て、赤茶色のベルトを締めていて、靴はベルトと同じ色の革靴を履いている。ビヤール教授の主張は『権力と暴力に基づいたシステムは、正義や幸福に反する全ての事をもたらし、自由を阻害する。よって、権力と暴力に基づいたシステムの無い社会と、富の平等な分配を与えるという活動の妨害をしている者を排除する。そして、自由と富の平等な分配を与えるシステムの管理を、アンドロイドに担わせ、人類は芸術や科学といった創造的活動に従事すべきだ。』という考えであるのだ。フランスの空港から英国のロンドン行きの飛行機に乗り込むと、直ぐに大きな黒い鞄から探偵小説のポワロものを一冊取り出すと、飛行機内の戸棚の荷物入れに放り込み、自分の座席に座り読み始めた。暫くしてビヤール教授が、探偵小説を熱心に読んでいると、そこへキャビンアテンダントが色々な商品をカートに積んで近づいて来た。キャビンアテンダントは、優し気な笑顔を見せながら、ビヤール教授に「何か食べ物や飲み物は、いかがですか?たくさん美味しそうな物がありますよ」といった。ビヤール教授は、小説から顔を上げると、キャビンアテンダントに「ああ、ではシャンパンと何か軽食を頂けるかな?」といって、笑顔を見せた。キャビンアテンダントは、熱心な眼差しで、ビヤール教授に「はい、シャンパンですね。それと軽食ですね、軽食の方はどんな種類があるか、調べて来ますね。少しお待ちください」といって、カートを押してその場から離れて行った。ビヤール教授が、大好きな探偵小説に熱中していると、先程のキャビンアテンダントの女性が戻って来た。キャビンアテンダントは、先程よりも大きなカートを押しながら、ビヤール教授に「失礼します、こちらがシャンパンになります。軽食の方はマカロン、バゲットサンドイッチ、ハンバーガーなどがあります。どれにしますか?」といった。ビヤール教授は、頭の中で思い描きながら、キャビンアテンダントに「そうだな、マカロンを頂くとするかな。うむ、マカロンが食べたいな、どんなマカロンがあるのか、教えてくれないか」といった。キャビンアテンダントは、にこやかに笑顔を見せて、ビヤール教授に「チョコレート、キャラメル、コーヒー、フランボワーズ、バニラ、イチゴ、黒ゴマ、ピスタチオ、抹茶、レモン、アールグレイ、アーモンドの十二種類のマカロンがございます。お好きな組み合わせで食べる事が出来ますよ、どれにしますか?」といった。ビヤール教授は、キャビンアテンダントに「十二種類のマカロンを一つずつ貰えるかな。どれも美味しそうだ」といった。キャビンアテンダントは、嬉しそうな顔で、ビヤール教授に「では全種類を一つずつですね。かしこまりました、では食べ残った場合に持ち帰られる様に大きな箱を用意しますね」といって、箱状の入れ物にマカロンを入れ始めた。少しして、たっぷりのマカロンを受け取ったビヤール教授は、早速マカロンを食べ始めて、キャビンアテンダントはその場から離れて行った。大きな箱に入ったマカロンは、宝石箱に入っている宝物の様であった。ビヤール教授は、先程のシャンパンを飲みながら、マカロンを頂いていると、ロンドン・ヒースロー空港に到着した。英国に到着したアナウンスを聞いたビヤール教授は、戸棚から自分の荷物を引っ張り出して、空港内へと向かった。その途中でマカロンとシャンパンを提供してくれたキャビンアテンダントにすれ違い、その時に慌ただしいお礼をして、空港内に入って行った。

 その後ビヤール教授は、ヒースロー・エクスプレスという名の列車に乗り、いくつかの交通機関を使い、自分の家の近くの店で、いくつかの果物と飲み物をボトルでいくつか買い、自分の家のあるマイアパートメントハイストリートケンジントンに到着した。家に着くと、ビヤール教授は、手を洗い、買って来た果物である洋梨とフラットピーチを食卓の上にある大きなバスケットに入れて、買って来た飲み物であるトニックウォーターを全て冷蔵庫に入れた。それから携帯電話のメッセージ機能を使い、自分が帰って来た事を奥さんのレナエル博士に伝えた。数分で、レナエル博士からビヤール教授に携帯電話のメッセージ機能で「お帰りなさい、エミリアン。仕事は夜の七時までだからその後に自宅に向かうわ、では夜の七時以降に会いましょう、愛しているわ」という返事が返って来た。ビヤール教授も、レナエル博士に携帯電話のメッセージ機能で「ああ、午後七時に会うのを楽しみにしているよ、レナエル。僕も君を愛しているよ」という返事をした。その後、自分の部屋に行き、自分のパソコンを起動させて、自分宛てに来ているEメールを確認し始めた。いくつかのEメールを確認し終えると、パソコンのテレビ電話機能を起動させた。ビヤール教授は、何枚かのビスケットとオレンジジュースの入ったコップを傍に置きながら、パソコンに向かって「やあ、エンリケス。それで今回の作戦はどうだい?成功したのかな?その事を聴かせてくれ」といった。パソコンのテレビ電話機能で話している人物はエンリケスというらしい。エンリケスは、落ち着いた口調で、ビヤール教授に「はい、作戦は首尾よく終わりました。大丈夫です、ご安心下さい」といった。ビヤール教授は、嬉しさに顔がほころび、エンリケスに「ほう、では安全な所にしまってあるという事で良いかね?」といった。エンリケスは、誇らしげな表情を見せながら、ビヤール教授に「はい、その通りです。もう一つの計画のダイヤモンドの方も首尾よく手に入れて見せますよ」といった。ビヤール教授は、またしても嬉しそうに、エンリケスに「そうか、それはとても良い知らせだ。ふふふっ、ああ次の作戦も君に是非任せたい」といった。エンリケスは、胸を張った様子で、ビヤール教授に「それは嬉しいお言葉です。全ては自由と富の平等な分配の為に」といった。ビヤール教授は、真剣な顔付になり、エンリケスに「そうさ、権力と暴力に基づいたシステムの無い社会と、富の平等な分配を与えるという世界を共に創造しようじゃないか、エンリケス」といった。エンリケスは、硬い表情で、ビヤール教授に「もちろんですよ、ビヤール教授。是非私に新世界の創造を手伝わせてください。我らの組織トゥルージャスティスの名のもとに」といった。ビヤール教授は、眼を輝かせながら、エンリケスに「次の計画は、大航海時代スペインで、イサベル一世への北アフリカ諸王国からの貢物であるダイヤモンドを手に入れようと思う。イサベル一世は、音楽への造詣が深く宮廷礼拝堂の歌手達や宮廷楽器奏者達への理解があり、歌手の間違いを訂正して見せる程だったと聞く。その事を踏まえて調査したところ、スペインのバルセロナのカタルーニャ音楽堂にある女神像にダイヤモンドが嵌め込まれている事までは分かっているんだ。君のチームでそのカタルーニャ音楽堂にあるダイヤモンドを盗み出して欲しい。引き受けてくれるかな?エンリケス」といった。エンリケスは、口元に微笑を浮かべながら、ビヤール教授に「ええ、もちろんですよ。直ぐにダイヤモンド強奪計画を練り、計画が出来次第に実行するつもりでいます」といった。ビヤール教授は、にこやかに微笑み、エンリケスに「では期待しているよ、エンリケス。良い報告を聴ける事を待っている、また連絡をする」といった。その後エンリケスは、ビヤール教授とのパソコンでのテレビ電話機能での通信を終えると、携帯電話を片手に持ち、誰かに電話をし始めた。エンリケスは、神妙な顔付きになり、誰かに「シルバかね?、ああ、そうだ。私だアントニオだ。仕事の話しを持ちかけ様と思う。今いいか?」と携帯電話でいった。エンリケスが携帯電話で話している相手はシルバというらしい。シルバは、明るい口調で、エンリケスに「やあ、アントニオ。久しぶりじゃないか、元気していたか?それで仕事の話しと言っていたが、秘密裏に行っている方の仕事か?アントニオ?」と携帯電話でいった。エンリケスは、砕けた口調で、シルバに「その通りだよ、シルバ。是非君に協力して貰いたいんだ、いつものメンバーを集めてくれないか?私からよりも君から彼らを呼んでくれた方が堅苦しい思いをさせないで集められるからね。良いか?」と携帯電話でいった。シルバは、楽しそうな口調で、エンリケスに「そうか、そういう事か、アントニオ。だが今から持ち掛ける仕事はとても重要な仕事なんだろう?それなのに私からの誘いでいいのか?お前の方が話しがスムーズに運ぶだろうに、それでも私からの誘いで良いのか?」と携帯電話でいった。エンリケスは、少し真面目な口調で、シルバに「仕事前に大きなプレッシャーをかけたくなくてね。仕事が始まったら嫌でも細心の注意を払い、また失敗は許されないからな。彼らは一度仕事を始めれば、最後までやり遂げるが、最初に仕事の依頼を断られたら困ると思ったからなんだよ」と携帯電話でいった。シルバは、少し笑いながら、エンリケスに「そんな事は無いさ、バレンシアもサパタもエランもテプラ―もそして私もお前と一緒に秘密の仕事を長年やって来た仲じゃないか。仕事の事で一度だって逃げた事や断った事は無いじゃないか、いつもこのチームで乗り切ったじゃないか。大丈夫だ今回も仕事をこなして大金を手に入れよう、アントニオ」と携帯電話でいった。エンリケスは、嬉しそうに、シルバに「ああ、そうだな。君の言う通りだ。いつも私たちのチームで仕事をきっちりとやり遂げて来た。君の言う通り今回もきっとやり遂げるだろう、では早速私たちのチームを集めよう。君から連絡をして、集まったら私に連絡をしてくれ」と携帯電話でいった。シルバは、声高に、エンリケスに「ああ、私に任せろ、アントニオ」と携帯電話でいった。すると、エンリケスとシルバとの携帯電話でのやり取りが終わった。エンリケスの名前はアントニオ・エンリケスという名前で、スペイン海兵隊に入隊後、暫くしてエンリケスは頭角を現し、歳のわりに早く昇格をする。その後スペイン海兵隊の特殊部隊であるスペイン海兵隊特殊作戦班(UOE)に選抜される、そしてスペイン海兵隊特殊作戦班(UOE)で高度な戦闘技術を学び、そこでの戦闘成績はとても優れていて、暫くスペイン海兵隊特殊作戦班(UOE)の隊員を務めると、スペイン海兵隊特殊作戦班(UOE)での教官の職務に付き、自分がスペイン海兵隊特殊作戦班(UOE)の訓練の指導など隊員に必要な技術を教え込ませる。大分してからエンリケスは、何度も任務遂行の為の作戦の創案などで優れた成果を収めて、それによってスペイン海軍においての階級が海軍少将を取得した。エンリケスはスペイン人である。歳は四十一歳で、家庭を持っていて、妻は歳が三十七歳で、子供が二人いて、二人とも女の子だ。長女が七歳で、次女が五歳である。エンリケスの髪型は襟足位まであるウェーブのかかった長髪で、髪の色は黒色である。目鼻立ちがしっかりとした眉毛に、目の色はオリーブグリーンで、短い無精ひげを生やしている。エンリケスの服装は、上半身が白いTシャツの上に、深い藍色のボタン式のシャツを着ていて、肘まで腕まくりをしている。下半身は明るい青いジーンズを着ていて、靴は真っ白いスニーカーを履いている。そして外出時には上半身に着ているボタン式のシャツと同じ色の野球帽子を被っている。エンリケスは、ふとエミリアン・ビヤール教授との出会いの事を回想し始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る