驚愕…1
「それじゃあ彰くん今日は本当にありがとうね」
「いえ。 こちらこそ御馳走になりました」
「天汰とも遊んでくれて、あとゲームも! 本当に教えてくれてありがとうね。 ゲームのおかげで下手くそな笑顔から本当に笑顔を見せてくれるようになった気がするの。 本当にありがとう」
「全然大丈夫ですよ。 それに僕の方こそ天汰にゲーム教えることができて嬉しかったんですから。 だから気にしないでください」
「そう? そう言ってくれると助かるわ。 じゃあパパが送ってくれるから、あとこれお土産ね。 もしよかったら姉さんたちと一緒に食べてね」
「こちらこそ何から何までありがとうございます」
彰さんはそう言うと俺に小さく手を振って「またね」と言った。
俺はそれに小さく頷く。
「もう。 この子ったら、じゃあパパあとお願いね」
「分かってるよ。 じゃあ行こうか彰くん」
「はい」
放心状態の俺を置いたまま母さんは玄関の扉を閉めた。
「どうしちゃったの? 明日の学校が不安なの?」
ボーっとしている俺に母さんは心配そうに話しかける。
俺はそれに小さく首を振ると小さく口を開いた。
「…彰さん、凄かった」
「え? なんて?」
「彰さんゲームすげぇ…上手かった」
凄い、そんな言葉だけじゃ失礼に思うくらい彰さんは次元が違った。
何がとか詳しいことは何もわからない。
何もわからないまま全勝利でゲームが終わったのだ。
死んで彰さんの画面を見てたとき敵を倒すスピードに、何をしたら勝ちになるのかの判断力にただただ唖然とした。
いつもならすげぇって興奮して「どうやんの!?」って聞いてたと思う。
でも今はそれ以上にただただ凄いあの光景がグルグルと頭の中を支配していた。
「俺も強くなりたい」
ついでてしまったその言葉は俺がサッカーを本気でやろうと決めたときと同じだった─。
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