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    なんとも謎めいた、それこそ悪酔いした席でうたた寝のの合間に見たいやな夢、という感じのストーリーです。深読みすると、これはアルコール依存所になっている本人の危機意識が具現化したもの、とかなんとか説明はつけられそうで、常習性のあるパンはアルコールそのもの、しまいに平気で死体の一部を持ち歩けるほど感情が麻痺しているのは依存症の悪化を、それぞれ暗示しているとも読めるんですけど、その延長で言うと、最後のシーンは「もう元には戻れない」の含意でしょうか。

    依存症にしろ、鍵の紛失にしろ、せんじ詰めれば「自業自得」なんですけど(最後に出てくる仮面姿の自分自身というのも意味深です)、そういう行き場のない閉じた世界というのも、現代の普遍的な心象風景の描写とも言えるでしょうか。短くも密度と濃度の高い掌編でした。