前世で恋仲だった男女が、結ばれないまま非業の死を遂げるも、生まれ変わって再びめぐり逢い、今度こそハッピーエンドを迎える。
少女漫画やティーン向けの小説等で人気のラブストーリーの展開がありますね。
様々なストーリーはあれど、読者の心を惹きつけ、ときめかせてやまないこのシチュエーションですが、本作はちょっと一筋縄ではいかないようです。
主人公ナオミはガーランド家の令嬢。自立心と負けん気が強くリアリストですが、視野が広く聡明で、思いやりのある女性です。
家庭教師として身を立て、生徒の教育に熱心なナオミの将来の夢は、幼い頃に過ごした片田舎で静かに暮らすこと。
そんな彼女を悩ませる一人の青年、ルードラ・デクスター。デクスター商会副会長である彼は、ナオミに対し、なんと、
「あなたと私は前世で恋人同士、私と結婚してください姫!」
と言い出すのです。
奇しくも“前世の記憶らしき夢”を見るようになったナオミですが、そんな胡散臭い話を真っ向から信じるはずもなく。
前世の縁を再び結ぼうと迫るルードに悩まされる日々が始まります。
イケメン貴族が前世の恋人で、生まれ変わって今度こそ結ばれる。ロマンティック全開なお話ですが、リアリストのナオミには通用しません。
隙あらばアプローチしてくるルードを、毎回なんとかやり過ごします。
しかしルードの人となりに触れるにつれ、少しずつ少しずつ距離を縮めていきます。
そんな二人の前には、数々の問題が立ちはだかります。
人種、階級、恋敵、周囲の目、そして母親。
ナオミが望むと望まないとに関わらず、様々な要素が楔となって、彼女を縛りつけようとします。頼もしい仲間も大勢いますが、時には弱気の影が降りてくることも。
そんなとき、最もナオミを理解し側にいてくれるのは、前世の恋人を謳う若き紳士。
ナオミはルードの商品開発を手伝うことになるのですが、そこからが波乱の幕開けです。
多くの障壁を乗り越える中で、ナオミは自分の本当の気持ちと向き合うことになります。
ルードとの商品開発の結末、そして前世とのつながりはどうなるのか。
もどかしくてちょっとおかしく、甘酸っぱい恋の行方を見守りましょう!
恋愛や結婚に夢を持たないナオミ。
仮面舞踏会で青年に声をかけられた彼女は、とあることをして距離を取ろうとする。
が、彼女の目論見に反し青年はこう言った。
「そっくりだ。さっきの行動も今の言葉も、記憶に違わずそっくりだ……!」
青年が言うには、ナオミは前世では「姫騎士」で、自分はその護衛兼恋人だった……らしい。
この怪しすぎる青年の名はルード。――なんと、家庭教師であるナオミの、雇用主の息子だった。
「姫、あの夜会の時と同じことをもう一度言います!僕と結婚してください!!今度こそ姫を守り抜きます!!」
「お断りしますっ!!!!」
とても正気とは思えない理由に、外堀を埋められていくナオミ。
だが彼は、社交界では有名な「遊び人」。何か裏があるに違いない。
そもそも、女家庭教師と雇用主の恋愛はご法度なのだ。
仕事を続けたいナオミはこの縁談を破談にするため、頼りになるレッドグレイヴ夫人と一緒にある作戦に出るが…
身分や階級差、人種や男女差別が強く現れる社会で、ひたすら我が強く人情味溢れる人たちでお送りする、ドタバタキュンキュンラブコメディです!
大変面白かったです!ほとんど一気読みしてしまいました!
主人公のナオミは家庭教師。恋や結婚などには興味なく、将来は田舎でお一人様生活をしようと考えている自立した女性です。
そんな中、強引に参加させられた夜会で出会ったのがイケメン紳士ルードラ。彼はナオミに対して「あなたと僕は前世で姫騎士と護衛の関係であり、恋人同士だった」と告げて猛烈にアタックしてきます。何言ってんだコイツとばかりに冷めた目でかわすナオミですが、なんと家庭教師として出向いた家で彼と再会。ナオミを姫と呼び、溺愛してくるルードにナオミはうんざりですが、共に過ごすうちに少しずつ彼に惹かれ始めていき──?
序盤は熱烈に求婚してくるルード(ルードラ)と、彼のアプローチを塩対応で交わすナオミのコミカルな掛け合いが大変面白く、二人の温度差に終始ニヤニヤしっぱなしです。ルードの父親であるクインシーもプレイボーイでキャラの濃いイケオジですし、ナオミと仲良しのレッドグレイヴ夫人も切れ物で強い。サブキャラまで魅力的なところが、ついつい先を読み進めてしまう理由かもしれません。
ですが後半になるにつれて少しずつ絆されていくナオミがとても可愛く、またルードのイケメンぶりも相まって糖度が徐々に高まっていきます。序盤からラストにかけて二人の関係性の大きな変化が最高でした。
特筆すべき点は、しっかり練られた重厚な世界観と魅力的な二人の主人公でしょうか。
英国をモデルにした架空の国は読んでいるだけで紅茶の香りが漂い、薔薇の咲き誇る庭園が目に見えるよう。植民地であるインダス(おそらくインドがモデル)への差別意識や階級社会があり、上流階級のマナーや文化も本格的です(ナンチャッテ令嬢は出てきません)。舞台となる世界の構築がしっかりと整っている為に、二人の心の動きにしっかりと没入しながら読むことができました。
東洋人の血を引くナオミや、インダス人との混血であるルードは差別的な目を向けられることもしばしば。特にルードは端正な容姿を持つ色男でありながら、容姿の特徴が子供に遺伝するからと婚約を断られ続けてきました。
だからこそ、偏見がなくあくまでルード自身を見て接してくれるナオミに彼が惹かれていくのもわかると言うもの。またナオミ自身も、差別意識をものともせず仕事に邁進するルードを少しずつ見直していくようになります。
この作品の素晴らしいところは、夢に見る前世の記憶はあくまできっかけであり、ナオミとルードが惹かれ合うのはあくまで現世の二人であるという点です。
しっかりと自立し、差別や偏見を持つことなく自分の意思で物事を判断するナオミは同じ女性から見ても格好良く、第一印象でプレイボーイと思われたルードの優秀さや紳士的で男前な部分が段々と見えてくるにつれてギャップで読者もキュンとときめくこと間違いなし。
物語の展開や構成にも飽きがなく、登場人物誰もが物語に必要な人物であるところも面白いと感じた部分でした。
文体も軽快で読みやすく、コミカルな要素もあるのに、二人の心の動きはリアルで感情移入しやすい。二人が出会うきっかけだった「恋人同士だった前世の夢」も物語のラストまでしっかり絡んでおり、最後まで飽きることなく夢中で読めた作品でした。
おすすめです!
あらすじから期待して導入に入り、なるほど娘がいるのにそんな熱烈なのか・・・と思ったら息子の方でした。
この親にしてこの息子と言えなくもないですが、息子の様子を見ていくにつれてなるほど・・・と納得できてしまいますw
主人公がとても逞しくうじうじするようなことが一切なく、ハツラツな女性として描かれているため、読み手側としてもとても気持ちよく共感することができます!
また、心理描写がとても巧みに記載してあり、頷きながら読み進めているとあっという間に時間を取られてしまうという素敵な作品でした!
まだ序盤の章を確認しただけなのですが、会話のテンポがとても流暢であり、これからの展開に期待してのレビューとなります!