Ⅵ『歴史は、勝者の物語である』
最後に、この本の裏見返しについて紹介する。
ここにはステープラーの針が一つ、止まっている。二百数十頁からなるこの書籍を止めるのは、このステープラーの針たった一本のみである。糊もついていない。
食料にも事欠く戦後の物資難において、紙を、インクを掻き集め、小さく頼りない金属の針一つでなんとか最低限の書籍としての体裁を取らせ、そうしてまで編者はこの書籍を世に出したかったのだろう。
終戦後の焼け野原の絶望の中で、多くの人々に明日を生きるための思想を、道標を、何としてでも与えたいと願っていたであろう当時の知識人の情熱に、知識への献身に、知に携わる後進として深い敬意を表したいと思う。
*近況ノートに「日本封建制の分析」の書影と裏見返しの画像を掲載しました。https://kakuyomu.jp/users/gonnozui0123/news/16816700427981788737
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