幼い頃から筋金入りの鞭好きである筆者の、リアリティに満ち満ちた「フィクション」。鞭とのなれそめから発展してディープな世界を体験していく過程がとても具体的に描写してあり、読む者を誘うように引き込みます。
エピソードの数々も面白いのですが、何より感じるのは、東京という街の特異さ──それは大都会という表の顔に潜む、蠢くような多面的な裏側の顔ですが──この時代の空気が、あたかもそこにいるかのようにビシビシ感じられます。鞭愛のみならず、時代風俗を切り取った作品としても面白く、この時代の東京を生きた方には旧懐を誘い、ご存じでない方にはかなり興味深いのではないでしょうか。
そういう意味では貴重なアーカイブとも感じました。
読みやすく笑いが端々にあってとても楽しめました。
さて、みなさまは打たれたことがありますでしょうか?
打たれたことが無い方は打つ側でしょうか?
どちらでもないという方は両者を眺める鞭愛好家ですね。
そう、この物語の主人公は鞭を打つことも打たれることもない女子高生のお話なんです。
これは彼女が幼いころから片鱗を見せ、いかに鞭に魅せられていくかを綴った物語……
フィクションなんですけれどもね、メチャクチャリアルなフィクションなんです。
すげえ世界だなとニヤニヤしつつも最後はしっとり締める。
最後には、無知なわたしですら……(ギャグではないですよ!)「あっ、鞭って見るのちょっと面白いかも!」と思ってしまいました。
そこはやっぱり作者さまの鞭に対するこだわりを見たからだと思います。
いやあ、東京って恐ろしいところですね、魔窟ですよ(;´Д`)
あなたも鞭の世界のぞいてみる?