第15回 新作「フィフス・クラウン」

「レムリア」「ブロッサム」に続く新作「フィフス・クラウン」を始めました。この作品は長く続けてきたシリーズの完結編です。

今までの世界観を踏襲し、現実干渉、クラスターコアといったものが存在する世界が描かれます。本作から読み始めても大丈夫なように制作していますが、前の作品を知っているとより楽しめるかもしれません。


・あらすじ、作品コンセプト

宇宙の出来事を記録する船、「LN6」。そのひとつが調査中に事故を起こし、主人公の一等司書フェルは知らない惑星に一人で放り出されてしまいます。

遠い過去に文明が滅んだとみられる未開惑星で、フェルは現地住民の少女剣士ユウと出会います。一方、UG3中央都市「アヴァロン」でも策謀がめぐり、離れた場所で同時に話が展開します。

未開惑星に隠された秘密、それにアヴァロンを包む不穏な影は、長大な距離をへだてて次第に関係しはじめます。フェルはその関係に気付き、あらゆる手を使って巨大な陰謀に立ち向かいます。


・UG(宇宙の世代)について

作中の宇宙は、寿命を迎えると破滅し、そして生まれ変わるというサイクルを繰り返しています。それによって区切られる宇宙世代を「UG」と呼びます。

前作レムリア、ブロッサムの物語はUG1の出来事で、クラウンはUG3まで進んだ時代の出来事です。

破滅は避けることのできない大波で、その宇宙にある全てが一度リセットされて無になってしまいます。しかし「クラスターコア」と呼ばれる高密度情報体だけは大波で破壊されずに次の宇宙に持ち越されます。

今作ではクラスターコアが姿を変えて活動する存在を「記録者(バイナル)」と呼んでいます。


・記録者(バイナル)

クラスターコアは数が把握できないほど多く、宇宙の様々な銀河に散らばって文明を復元する種のようなものです。そのクラスターコアのうち、意思を持ったものが記録者です。

記録者は超高密度のコアを持ち、自身の領域に存在する命を抱えています。それだけで一つの世界と言えるほどの情報体です。強大な力や途方もない知識を持っている場合があります。

かつて、クラスターコアの化身といえば「超存在」と呼ばれる神のような存在でした。しかしUG3の時代にはLNの調査によって記録者がたくさん発見されていて、質はさまざまです。

超存在と呼ばれるものは記録者の中でもA級以上に限ります。コアが作る世界の政治的代表にすぎず、普通の人間とさほど変わらない能力しか持たない低級の記録者も少なくありません。

完成度が低いクラスターコアまたは記録者は、自己管理ができずに自壊する場合があります。発見が間に合えば、内部にいる生命は難民として中央都市に保護されます。中央都市の人口の多くはその難民です。

中央都市にも多種多様な記録者が数千体ほど生活していますが、そのほとんどはB級以下です。なお、自壊したクラスターコアや記録者からは「エリクサー」と呼ばれる薬剤が抽出できる場合があります。


・中央都市

文明が滅んで捨てられた惑星に作られた巨大な宇宙船基地です。都市という呼び名ですが、中央といえばこの惑星丸ごとを指す場合もあります。

地下に作られた垂直な円筒型の基地を囲むように、円環型の巨大な地下トンネル都市が存在します。宇宙の技術が結集されていて、とても栄えていて華やかな場所です。

中央都市は本来、宇宙の破滅を乗り越えるLNプロジェクトの活動を支えるための整備基地です。今では肥大化し、そこだけで一つの世界が成り立つほどになっています。

当然、予想外の出来事や犯罪が起きてしまいます。様々な場所から難民を集めているため、宇宙規模の争いに巻き込まれることもあります。

そのため中央都市は軌道上に大規模な宇宙軍を持ち、惑星を武装化しています。防衛艦隊のほか、宇宙に点在する難民を救助するための宇宙救助艦隊(URF)や、中央法に背いた犯罪者を取り締まる宇宙警察隊(UPD)が存在します。この二つはライバル関係です。


・クラウン

A級以上の記録者=超存在の中でも完全性、永久不死を獲得しているものをS級、超存在の頂点「クラウン」と呼び、確認されているだけで三体が存在しています。

最初のクラウン、イニシャルクラウンと呼ばれる「星典」、気まぐれで神出鬼没なセカンドクラウン「星杯」。そして、UG3「アヴァロン」から誕生しつつある唯一の人工育成クラウン「星印」です。その他、未確認の一つが既に中央都市にいると噂されています。

ある予言によれば、五つのクラウンがそろった時にこの宇宙は完成して危機を乗り越えるとされています。残る座はあと一つ。最後のフィフスクラウンがいつどこに出現するのか、まだ誰も知りません。


・LN6 世代間跳躍船

LNは、クラスターコアの技術を利用して破滅を跳躍できる船です。クラスターコア以外のものも、LNの積荷とすることで次の宇宙に持ち越せます。

主人公が乗り込むLN66Wのほか、LN65WD、LN65PRの三隻が存在します。LNの目的は情報の収集と宇宙の研究で、様々な星に技術を伝える教育機関でもあります。

新しいUG(宇宙世代)に到達すると、LNは自身の整備を行うための拠点をどこかの惑星に建造します。それが中央都市であり、宇宙の安全を守る組織でもあります。

LNの司書はエリートであり、あらゆることに長けていなければなりません。中央都市には司書育成のための学校が存在し、難民でも司書になることができます。

LNの目的はあくまでも研究活動であるため、中央都市の政治とは距離を置いています。積荷の選定基準にも、政治的な理由が含まれてはいけないという決まりがあります。



今回はこのくらいです。世界観紹介のほか、UG3の時代にはいろいろなものの呼び名が変わっていることを補足しました。

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「レムリア」「ブロッサム」作品について設定や制作を語る場 枯木紗世 @vader

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