第13話
同じ頃のリア。
リアも帰ってから、直ぐに寝てしまった。
儀式で体力が減ったせいもあるだろう。
自分に傷をつけるなんて恐ろしい事をしたからという精神的な疲労もあった。
リアは、まだ11歳。
前回の記憶を入れても13歳なのだ。
朝起きても、体は重かった。
体力が全体的に落ちた感じね。
慣れるまでは怠そう。
朝会ったお父さんに挨拶して調子悪そうにしていたら、心配してくれて今日は休ませてくれた。
お父さんはいつも優しい。
お母さんが亡くなって辛い筈なのに、私にはいつも優しい顔を見せてくれる。
大事な家族。
今度は必ず助けてみせるからね。
あの日の事を考える。
ラナを巻き込んで死なせてしまった。
(本当にごめんなさい)
でも、あの時はとても狼狽えていて、1人ではどうしようもなくて。
ラナを頼ってしまった。
(私が弱かったから)
だから、今度は強くなるって決めた。
ラナも私を護る為に強くなるって言ってくれた。
嬉しかった。
だから、巻き戻ってから、私達は必死に強くなるように考えて、訓練してる。
そして遂に魔法も手に入れた。
あの白い人は魔法を覚えなさいって言った。
昔、お母さんから聞いた御伽噺では魔法は人が自分を守れるように神様がくれたんだって。
今なら、本当の話なんじゃないかなって思える。
あれは冬に入る前。
その前にゴブリンが増えてきたんだ。
それで狩人のお父さん達は森に入った時にゴブリンに襲われて。
毒塗りの武器が掠って死にそうになった。
だから、今度はもしもの時の為に解毒草は先に準備しておく。
でも。
もうやらせない。
その前に私達でゴブリンを倒してしまう。
何匹居るかはわからないけど、森を巡って倒してまわる。
それが私達の計画。
ゴブリンは大人程度の力を持ってる。
普通の大人くらいだけど、恐れを知らずに攻撃してくる。
狡賢くて、武器に毒を塗ったりするし、集団で行動する。
だから、複数のゴブリンを相手に勝てるように成らなければ勝ち目がない。
恐らく、今でも1匹ならラナと2人でかかれば勝てると思う。
けれど複数になったら厳しい。
だからこそ。
魔法を鍛えなきゃいけない。
もちろん今まで通り身体も鍛える。
それに魔法を加える。
きっとラナも同じ事を考えてるよね。
私が得意にしてるのは速さを活かした速攻だ。
なら、それを更に活かす為に魔法を使いたい。
ラナの所に来た冒険者が見せてくれた攻撃魔法は、思ったより威力がなかった。
確かにスリングを使った投石よりは強いけど、ゴブリンを一撃で倒せるような物じゃなかった。
もっと鍛えれば違うんだろうけど。
魔法防御は打たれ弱い私を守ってくれる。
これは使える。
体の外に纏うんだよね。
普段から練習しておこう。
あとは補助。
魔力を体の強化したい部分に集中させると力がいつもより出せたり、回復が促進されたりするらしい。
これも優先度が高い。
そして。
私の属性は風。
これはきっと私を助けてくれる。
今はちょっと涼しい風が出せる程度だけど。
もっと激しい風が出せれば、相手を吹き飛ばしたり、自分に追い風をつけて速く移動するようにまなれるかもしれない。
ラナは土。
何だろう。
実直なラナっぽい。
ラナはどうするつもりなのかな?
パラパラと土を出せてた。
あ、ひとつ思いついた。
私の風とラナの土を混ぜれば、今の段階でも目潰しに使えるんじゃないかな?
会ったら早速練習しよ。
そして。
気になるのがあの白い人の言ってた言葉。
魔物を増やし過ぎて滅びてしまったから巻き戻す。
あれは、きっとゴブリンの事を言ってるのでは無いと思う。
あの人は神様か何かなんだろう。
決してヒトだけにく優しい訳じゃなくて、全体のバランスを取っているように感じた。
という事は。
きっとあの時、全体的に魔物が多くなっていて。
もしかしたら、村が森から溢れた魔物に襲われるのかもしれない。
巻き戻す程だから、きっと村だけじゃなくて…
でも
今度は調整するとも言ってた。
きっと滅びない程度にって事だろうから、魔物が増えるのは確定なんだろう。
その時、私達は何が出来るのか。
何か前兆を掴んだら、村領主様に伝えてなんとかして貰って…
でも、村領主様の所にも兵士はちょっとしか居ない。
それだけじゃきっと足りない。
皆んなで逃げれば…
何処に?
街まで逃げる?
そんな事出来るだろうか?
わからない。
でも、最善を尽くす。
お父さんとラナは私が命に換えても守る。
何をするにしても、もっともっと強くならなきゃいけない。
ラナとなら出来る気がする。
声が出なくなった私。
耳が聞こえないラナ。
2人一緒なら大丈夫。
お互い補い合えば、何でも出来る。
それに。
最近のラナは少しかっこいい。
ドキっとするような時も…
もし、このまま2人一緒にずっと居られたら結婚?
耳まで紅く染めたリアはそこで考えるのを辞めて休憩した。
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