「虎」と「記念日」と「火薬」

時は戦国。

火縄銃とやらが外つ国から伝来して少し経った頃、我らも入手することができた。

どうやら点火薬を使うようだ。

最初こそ手こずったものの、すぐに我々は火縄銃を使いこなすようになった。

しかしそのままでは生き残ってはいけまいと、職人に改良を命じた。

より我らが使いやすくするために、我らの火縄銃を唯一無二の物とし勝ち抜いていけるように。

改良に改良を重ね、長き時を経た。

そうして職人たちの努力の結果、最良のものができた。

大きさ、からくりの仕組み、威力…どれをとっても我らが使うにはこれ以上ない出来だった。

職人を大いに労うと、褒美を与え、素晴らしい武器ができた記念日として夕餉には祝杯を上げた。

これで我らもこの戦国の時代を勝ち抜いていけよう。

「さてはどこから攻め入るか…」

早速考え始める。

そう、初陣が大事だ。

ここで我らの火縄銃の威力を見せつけて、恐れおののかせなければならない。

どこから攻め入るか、どのような作戦で行くか。

虎穴に入らずんば虎子を得ず。

多少の危険は必要であろうか。

祝杯を上げて早々、策を練ることに没頭したのであった。

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三題噺 あいむ @Im_danslelent

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