7話「ガール・ウィズ・チキン」ー前編

(前回のあらすじ)

"ひらがなTシャツ"のデザインに勤しみながらも、傍らで"若松物産"の味元から広告デザインの依頼を受けた"アヌビスアーツ"。しかし、広告デザインより先に、"わわわ"が6月以降に旬になる魚介類の話や、"こういう企画がやりたい"という話を若松物産でやっている動画が掲載されてしまう。


"若松物産"と"アヌビスアーツ"は、これを商標権を侵害するものとして削除申請。辰実が行ったそれであるが、怜子は愛結と夫婦関係にある辰実に、"本当は削除申請についてどう思っているのか"質問する。


"妻を愛してはいるが仕事は仕事"と割り切っている辰実はもう1つ、"わわわ"と共同で行う仕事の存在を怜子に伝え電話を切った。



 *


「さて、今日も愉快にお仕事タイムだ」


"ひらがなTシャツ"のデザイン案とプレゼンボードは本日中に完成、そして辰実&怜子サイドは"若松物産"の広告デザインの打ち合わせに向かう予定となっている。


怜子個人の話で言えば写真加工のツールや、イラスト作成ツール(今回は基本的に魚介類の写真を加工し切り貼りしたポスターが完成)の使い方を辰実から学びながら作ったポスターのお披露目となるのだ。



朝礼が終わるとすぐに、A3サイズの紙でポスターを印刷しにかかる。


いかにも質に気を遣っている大きなプリンターから、ゆっくり印刷される実物が楽しみで、怜子は嬉しそうにじっと眺めていた。出てきたそれを一旦手に取ると、言葉にし難い喜びが沸きあがる。



「いい感じじゃないか」

「ありがとうございます!」


Tシャツのプレゼンボードを印刷したのを、ラミネート加工している最中の栗栖が、怜子が手に取ったポスターを眺めて感嘆する。殆どと言っていい程、辰実の支持やアドバイスを受けながらではあるが苦労して作った作品、それを"良いモノ"と言って貰える事も、同じように言葉にし難い喜びであった。


形容するのも難しいが、言うのであれば"達成感"であった。険しい山を1つ越え、頂上に達した時の喜び。



「栗栖こそ、いいアイデアを思いつくじゃないか?…見直したぞ。」

「いやいや、俺は適当な事を言っただけで…」

「どうかな?"突然の閃き"と言うのは結構大事だ。」


"ありがとうございます"と、栗栖は恥ずかしそうに頭を下げた時にはTシャツのプレゼンボードのラミネート加工は終わっていた。



"6月の若松物産は戦ですよ。早く行かないと食べたい魚が売り切れちまう"


辰実と怜子がポスター全体のテーマを考えていた時に、たまたま事務所に残っていた栗栖と"6月の若松物産"の話になった時にふと言った言葉がそれであった。…それを聞いた時に"確かに!"と思ったのである。


鰹のタタキを家族で食べたくて、昼前に向かった時にはもう売り切れていた。仕方なく愛結と2人でラーメン屋に行ったしょっぱい思い出が辰実の中で甦ると、天啓に変わった訳で。


余談であるが、その時辰実と愛結が食べたのは塩ラーメンである。


客がいっぱい押し寄せると言うのも、言い換えれば、"欲しい魚を取り合う"構図。人数の規模と言い、その時期における"若松物産"の気合の入れようと言い、"戦"というワードがここまでしっくりくる事があっただろうか?



「味玉…、じゃなかった。味元さんのビックリする顔が楽しみですね。」

「そうだな。…って栗栖、味玉の事を味元さんなんて言うんじゃないぞ?」

「黒沢さんこそ逆になってる。」

「本人もネタにしてる所あるよな。それよりも俺はあの人と話をする度、ついついラーメンが食べたくなるんだ。」

「それ、皆思ってますよ。」

「何だ皆思ってるのか」


料理の写真を送り付け、否応なく食欲を刺激する行為を"飯テロ"と言うものだと辰実は思っていたのだが、人生32年を生きて、人のおでこを見て"飯テロだ!"と感じてしまった事に未だ戸惑いを隠せない。


「ラーメン売ればいいのにな、"若松物産"も。」

「これは聞いた話ですけど、"若松物産"の近くにあるラーメン屋、昼間の売り上げの大半が"若松物産"の社員らしいとか」

「それ絶対味元さんの所為だ」


意外にも地元の"小ネタ"的な事が大好きな栗栖から、"これは面白い"と辰実個人では思える話を聞いていた傍らで、怜子はラーメンの誘惑を完全に無視してラミネート加工されるポスターと、その完成品を掲げて喜んでいた。


(今はそんな話をしてる場合じゃないんだ、ポスターを確認しないと)


ふと微妙に逸れた雑談から我に返った辰実だが、ポスターを掲げ無言で嬉しそうにしている怜子を見て、栗栖と一緒に"可愛いな"と思ってしまったのである。


その時にはもう、ラーメンなんてどうでも良かった。


 *


「今日の打ち合わせは、どんな話になるんですか?」

「まず、今回できたポスターを味元さんに見て貰って、それから"修正案"の打ち合わせだな。いくらいいポスターと言っても、"若松物産"の意向に適ってなければいけないからな。」


支度をし、辰実の車に乗り込んで"若松物産"に向かう2人。ポスターの完成品を持っての"打ち合わせ"に向かうのは、怜子も初めてだった。


「黒沢さんは、緊張しないんですか?」

「…緊張しないと言えば嘘になる。でも慣れたよもう。」

「私は、凄く緊張してます。…頑張って作ったけど、もし"ダメ"って言われたらどうしたらいいんだろうと思って。」


怜子の気持ちは辰実にもよく分かった。折角頑張って作った作品を受け入れてもらえない時の残念な気持ちは、察する事はできるが計り知れない。



「私、やっぱり怖いです」

「最初はそうだよ、皆。だから気にするな、と言っていい事では無いんだが…」


上手くいかない事に不安になるという気持ちは、経験をした人には分からない。そう言った不安になれて麻痺してしまったと言うのが正しい答えなのだろうが、"経験をした事が無い"人でないと分からない事がある。


経験をしてしまって、失ってしまう事もあるのだ。


「実際に投げてみてダメだったとしても、新しいアイデアがそこから生まれる事がある。意外とそう言うのが化けたりすることがあるから、まずは形にする事に意義があると俺は思ってる。」

「化ける、と言うのは?」

「基本的に"打ち合わせ"はデザインする側とされる側がより良いものを作っていくためにやると思ってる。もし自分の考えたアイデアが通らなかったとしても、砕けたその破片を拾い上げて、更に良いアイデアを作っていく作業と考えるなら、通らなかったとしてもアイデアを出す事で指標となっていく。」


"長くなってしまったが、とりあえずは失敗も無駄じゃないという事だ"と辰実がフォローしてくれたお陰で、怜子の緊張は少しだけ和らいだ。



「ところで黒沢さん、"わわわ"と共同で仕事をするって言ってたけど、どういう事をやるんですか?」


緊張がほぐれた所で、昨日に辰実が言っていた事が怜子は気にかかっていた。


「ああ、それか。厳密に言えば、"わわわ"と"とある"県内のブランドがコラボしてアクセサリーを作るんだが、そのデザインを"アヌビスアーツ"がする事になってる。」

「"わわわ"とコラボしたアクセサリーを、"アヌビスアーツ"が作るんですか…」


怜子が年明けに"わわわ"のグラビアアイドルを解雇された事は、勿論の事本人から聞いている。それでも、"アヌビスアーツ"の仕事であるから、いつかは怜子にも言わなければいけないだろうとは思ってはいたのである。


(どの道いつか知る事だ)


「そうだな。作るアクセサリーは3つ、それぞれトビ、栗栖、マイケルが補助に入ってデザインするように話が進んでいる。とりあえず来週あたりにキックオフの顔合わせを予定しているが、君も出るか?」

「それは、私が出て良いんですか?"わわわ"解雇されてますし。」


解雇された理由も、表向きには"後輩への暴言によって辞めさせた"からとなっている。


「それは冤罪なのだろう?」

「そうなんですが…」


「なら問題が無い。」


何も気にする素振りがなく答えつつ、辰実は更に話を続ける。


「…何なら言い方を変えよう。デザインするのが女性モノのアクセサリーだから、できればデザインする側で近くに女性が居てくれれば頼もしい。」

「私が…ですか?」


「俺は君なら、非常に有難い」



嬉しい気持ちは本当なのだ。未だ研修中で、右も左も分からない女の子に"一緒に仕事をして欲しい"とキッパリ言ってくれる辰実の言葉を、モラトリアムに叩き落されてから聞いた事なんて無くて。


…だからこそ、正直な疑問を怜子はぶつける。



「本当に私で、いいんですか?」

「良いから言ってるんだ」


正面を向いて左手ハンドルで、右手は缶のコーラを握って車を走らせながら答える辰実の横顔が格好良く見えた。



「恥ずかしいから別の話をしよう。」

「じゃあ、"わわわ"と一緒に作るアクセサリーの事が訊きたいです。」


(気になるよなー…)


そもそも、根っこから話を逸らしたかったのだが。"アクセサリー"と聞いて気になったのは"やっぱり女の子だな"と勝手に納得しながら辰実は観念した。


「今回、共同でデザインするアクセサリーは"ゴールドアクセ"でな。…実は正直、俺も作った事が無いから分からん。シルバーアクセみたいに、粘土で作るモノでも無いし。」

「やっぱりシルバーよりゴールドが、綺麗ですよ?」

「そうそう、そうなんだ。一口に"ゴールド"と言ってもK14(58.5%が金)とK18(75%が金)では見栄えも素材の強度も違う。嫁に言われるまで全く分からなかったんだが"髪飾り"1つでも、ここまで考える事があったのは驚きだよ。」


"ゴールドの髪飾り"と聞いて、怜子は思い出した事があった。


「黒沢さん、そのゴールドの"髪飾り"って、ゴールドの板に青い石が埋め込まれているモノですか?」

「一度実際の素材を使って作ったサンプルはそうだったな。」


「それは、愛結さんに合わせて作ったモノですか?」


"…そうだな"と間を置いて辰実は答えた。さっきから怜子を見ない横顔が、"言葉を選んで話をしていた"ように見えたのは辰実の気遣いなのだろう。と言うのは分かるのだが、怜子もそこまで子供では無い。


「私に気を遣わなくていいですよ?…あんな事があったけど、私は愛結さんの事、今でも大好きです。」

「そう言って貰えると助かる」


2人ともに、"愛結を信じている"という気持ちはあった。一緒の感情に相違点を挙げるとすれば、辰実は"怜子を陥れたのは愛結では無い"という推測で、怜子は"愛結さんがそんな事をするとは信じたくない"という妄信である事だろう。


…とは言え、怜子の"契約解除"に関わる場所に愛結がいるのは間違いなかった。


「デザインするアクセサリーは3つと言ったな?…これもそれぞれ"コンセプト"と、ターゲット層が違っていて、そのうちの1つは愛結がモデルになっている。」

「愛結さんという事は、1つは"30代の女性"がターゲットになってるんですね。」

「そうだな。厳密に言えば"30代前半の女性"にだが、"贈られると嬉しい"モノを作ろうという事になっている。」

「じゃあ、他の2つは?」

「20代前半の女の子に"憧れて身に付けたくなる"モノ、20代後半の女の子には"ちょっと背伸びして欲しくなる"モノをという感じで考えてる。20代後半の方はもう、ブランド側が"モデルの打診中だが多分決まる"という話をしてたな。20代前半の方は…」


饒舌だったが、言葉に詰まる辰実であった。さっきの様子から"怜子に関わる話である"ために言葉を選んでいるのだろうという事ぐらい、彼女にはお見通しであるから、更に話を促す。


「モデルさんに、何かあったんですか?」

「今年の初めに、いきなり"モデルの変更"があってな。…デザインそもそも、ブランディングが難航している。」

「前のモデルさんと、全然違う人なんですね」


「人気の読者モデルだったらしいんだが、今年に"専属"に登用されたんだ。もっと箔を付けさせたいのか、多少のワガママ、と言うか何というかは、モデルを雇ってる側が困るから目を瞑ってるらしい。」



"面倒臭い大人の事情だ"と辰実は吐き出す。本当に都合の良い言葉だけど、これを受け止める人にとっては嬉しくない現実である。そんな場面を、怜子はグラビアの時にいくらでも見てきた。


「"本当は前のモデルさんが帰ってきて欲しい"って思ってる俺は、悪い大人かな?…"憧れ"というワードからだったら、やっぱり大人になる前の女の子をイメージしてデザインをしたいし。大人になれない女の子をイメージしてもな。」


愚痴っぽくはなっているが、この辰実の様子を見て"何故愛結が辰実の事を好きなのか?"とよく理解できた気がした。ぶっきらぼうで隙が無いように見えて、たまに見える繊細な所が人間臭い。


…それでも、強いも弱いも酸いも甘いも全部受け入れて生きている大人の姿が"格好いい"のだ。



(愛結さんはいいなー、こんなカッコいい人と一緒に居られて)


色恋の畑を踏む話では無いが、怜子には無い美貌と人望、それにステータスまで持っている愛結を単に羨ましく思っただけであった。この感情を押しなべて"羨望"、言い換えて"憧れ"と言う。



「前のモデルさんって、どんな人だったんですか?」

「そのモデルの事については、箝口令が敷かれてる。すまないが答えられない。」


「そう…ですか」


辰実の回答は回答になっていなかったようで、怜子にとっては"回答"になっていた。分かっていてそれが"正解"という所まで確信はできていたのだが、その答え合わせをするのが"突然怖くなる"。そこに今踏み込めば、怜子は"たった1人で"向き合う事となる事が分かって。そうなると1人ぼっちが寂しくて怖くなって、突然に踏み込めなくなってしまったのが心情であった。


更に辰実は、間接的に彼女へ"もう1つの情報"を教えたのである。


この事を整理する前のごちゃごちゃのまま、"若松物産"が見えてきた。"モヤモヤしながら考えるより、別の事に打ち込んで今は気を紛らわせたい"いう気持ちに答えて運命が動いてくれたみたいな状況に、少しだけ心が晴れた。


空は、ほんの少し曇っている。



曇天何するものかと、勇ましいカーブと躊躇いの無いバックで丁寧に辰実は白の長方形にボックスタイプの普通車を収め、ドアを開けて車から降りた後に背伸び。



「さーて、今日は鯛の海鮮丼でも食べて帰るか!」

「…ラーメンじゃなくていいんですか?」

「やめるんだ俺の信念をブレさせないでくれ」


4月ならまだ鯛の時期なので、それが別のものにシフトする前に鯛が食べたかった。季節限定ものではあるが、"若松物産"の"鯛づくし海鮮丼"と言えばこれまた美味な一品である。


大盛りの丼に、白ご飯を埋め尽くす一口大の切り身。半分は刺身で半分は炙りと、特製のタレをかけて両方楽しめる贅沢の極み。これにスダチを絞れば尚良い。レモンの酸味程強くなく、渋みが入ったスダチの果汁は何にでも合う。…これにワカメが大量に入った赤だしの組み合わせは控えめに言って最高でしかない。


「…しかし、毎回打ち合わせを朝に指定してくる味元さんは、中々の策士だ。」

「策士…ですか」

「そうだな。ちょうど昼前の混み始める時間帯に打ち合わせを終わらせるだろう。…もし君が"ご飯を食べに行こう"と思ったら、基本的にどの時間に行こうと思う?」

「あまり待つのも退屈ですし、できるだけ混まない時間に行きます」

「そうだよなー。打ち合わせが終わったら"折角来たんだし空いてる時間だし"で"食べて帰ってもいいかな"と思わせる。油断できないなあの人は。」


"アヌビスアーツ"の策士と"若松物産"の策士がぶつかり合う、とふと頭をよぎったが"それはそれで面白そう"と思ってしまった怜子であった。



 *


若松物産 小会議室1。


4人程度が入れる、小さな応接スペースに案内された辰実と怜子は味元が来るのを待っていた。


数分も経たないうちに、むきたてのゆで卵みたいに光る額をハンカチで拭きながら味元が現れる。相も変わらず滑稽なその様子には、2人ともが慣れてしまっている。



「すいませんねわざわざご苦労頂いて」



腰の低い味玉は、ストンと応接用のソファーに座ると"やたら楽しそうな表情で"辰実と怜子を見ていた。


「ひとまず、ポスターの試作品を」


辰実は怜子に指示すると、怜子はファイルの中からラミネート加工したA3サイズのポスターを取り出し、味元に見えるようにテーブルの上に置く。何かに急かされるように見える6月が旬の魚達が、合戦の始まりであるかのように右から左へ向かう様子が、ポスターには描かれている。


背景には燃え盛る炎と、"若松物産"の建物が写っていた。



"いざ、若松物産!"


背景といいキャッチコピーと言い、"戦"をイメージしている事はよく分かった。



「いいですね、私は戦国時代が大好きなんですよ。伊達政宗が特に好きでして、彼の野心や見た目と言うのは有名ですが、ここでは"料理にこだわる一面があった"と言うのを推していきたいですね。」


…味元の評価は上々であった。"6月は旬の魚が多いから、それを求めて色んな人で市場がごった返してると思います。それが戦みたいに見える気がして。もっと熱が入るというか…、夏になって気分が上がる時に、バテないように旬のお魚を食べて欲しいなって。"と、不器用ながらもしっかり説明をする怜子の様子を味元はやわらかい物腰で見ていた。


(お魚の話をしたら、鯛が食べたくなってきたわ…)


こんな話をしていると、である。


「…いいポスターだ。非常にいい。"神室広告店"の時からそうですが、今回も"アヌビスアーツ"にお願いして良かった。」


"ですが先日、若松物産の6月のイベントに向けて報告しておかなければいけない事がありまして…"と味元は切り出す。"それは、ポスターのデザインが大幅変更しそうな感じの話ですか?"と質問する辰実の様子は、怜子が懸念していた言葉を代弁するようだった。



「1つ、提案させて頂いてもいいですか?」


"構いません"と、数秒の間を置いて辰実は答える。その数秒の間に辰実は怜子の様子を見たが、いつも口角を上げているのに少しだけ下がっていた。



(まずは形にする事が意義なんだが、こればかりは自分で理解する必要があるんだよな)



「今"アヌビスアーツ"の方々にやってもらっている分の"旬の祭り"ですが、この度"新潟のコシヒカリ"を仕入れる事ができたんですよ。…今年は魚だけでなく、"旬の魚+美味しいお米"の海鮮丼や定食を推していきたいんです。後々に報告になってすいません。」

「新潟のコシヒカリですか。これはまた美味しい海鮮丼が食べれそうですね。」


"若松物産"の海鮮丼の白米は、釜で炊いている話を辰実は聞いた事があった。



「それで、なんですけどね。…この間うちの社員が言ってたんですが。今、市場の方では"鯛釜飯"の試食コーナー設けてるの分かりますよね?そこで試食を配ってた社員から聞いた話ですが、この前黒沢さん達が来てくださった時に、その試食の鯛釜飯を物凄く美味しそうに食べられていた女の子がいると聞きまして…。」


怜子が恥ずかしそうな顔をしていると言う事は、その"美味しそうに鯛釜飯を食べていた女の子"というのは怜子で間違いないのだろう。


「ごめんなさい、お腹が空いてたんです…」

「いいやあれは非常に美味しかったぞ?」


実は、鯛釜飯の素をこっそり買って帰った辰実が咎められる事では無い。

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