変わるということ(1)

気付けばもう7月に入っていた。

夏真っ盛りということもありとにかく暑い、もうマジで暑い、暑い、熱すぎる。

熱すぎるんだよ今日の花菜は!


いくら恋愛話が大好きな花菜とは言えども、まさか1か月前の水族館の話題で2時間も話が持つとは思わなかった。


なんで花菜にうっかり言ってしまったのだろう。

私は今年一番の後悔をしていた。


「で、それからどうなったの?」

「え、そ、それから?」

「そう、水族館に行った後、もちろん違うところに行ったのよね?」

「え、そのまま帰りましたけど?」

「え、あんたバカ?」

どこかで聞き覚えのあるワードだと思った。


「せっかく高原君と距離を詰めるチャンスだったのにもったいなさすぎるでしょ。」

「いや、うーん、そうなんだけどね。なんていうか。」

「なになに、何かあるの?」

「実はさ、もう高原君と接するのやめようかなって。」

「え、なんでなんで?」


どうしよう、やっぱり打ち明けない方が良いかな。


いや、でもやっぱり聞いてもらおう。

「実はさ、最近クラスの女子たちにちょっとした嫌がらせを受けてて…」

「え、嫌がらせって無視されるとか?」

「いや、話をしないのはいつものことだけど。」

「あ、なんかごめん。」

「まあそんなことは良いの。実は彼、それに気付いているみたいで心配して声をかけてくれるんだけど、それが申し訳なくて。」


「やっぱり私、人と仲良くなっても良いことないのかなって。」


「いや、千遥何言ってるの?」

珍しく本気トーンで花菜は言った。


「千遥がこんなに男の子としっかり話せるようになったのなんてホントに何年振りなのよ。ここで話さなくなったら、二度と変わる事が出来ないよ。」


「……………」

「ごめん、言い過ぎた。」

「いや、大丈夫。やっぱり花菜もそう思うよね。」

「ありがとう。私、やっぱり頑張るよ。

それに、私やっぱり…」

「え?やっぱりって何?」

「あ、いや、その、何でもない。」


危ない、また口を滑らせてしまうところだった。


花菜がニヤけた顔してこっちを見てる。

やばい、気付かれたかな。


「ほら、明日文化祭なんだし、思い切ってその時に言っちゃえば?」

「え、言っちゃうって何を?」

「何をって、アレしかないじゃん。」


「な、な、何のことかな。」

完全に気付かれてた。


「まぁとりあえず、何か言いたいことがあれば絶対明日の文化祭で言うべきだよ。」

「文化祭マジック、あるかもよ?」

「うーーん、まぁそうだね。」


やっぱり思いを伝えるべきか。

明日、私は変わろう。

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