第55話:築城していたら

 俺は今まで使う事ができず、魔法袋化した魔力器官の蓄えるしかなかった、魔力生産量の三分の一を使って城造りに励んだ。

 その三分の一の魔力を使って、最初に孤児たちの為に城を造った。

 今ここにいない人の為の城は後回しでいいのだ。

 それと、セバスチャンと約束した通り、魔力器官と魔宝石などに蓄えるはずだった、魔力の三分の二は絶対に使わなかった。


 セバスチャンが計画した宮城の規模から考えると、坊一つ分の大きさだ。

 坊の外側には用水路を兼ねた濠が周囲を囲っている。

 その内側には、並の貴族城の外城壁以上に堅固な坊壁がそそり立っている。

 その坊壁はとても厚みがあって、上の部分は人が二十人は並んでいられる。

 その坊壁の中央部には、坊内と大通りを結ぶ坊門を造っておく。

 当然だが、四隅と坊門部分は塔になっていて、防御力が高くなっている。


 坊の一辺は五百メートルで、内側には孤児たちの家と耕作地がある。

 耕作地には水田もあれば畑もあり、果樹園もある。

 というか、元々あった耕作地を守るように坊壁を造ったのだ。

 まずこれで護りは大丈夫のはずなのだが、万が一の事が心配だ。

 だから坊壁の四隅は独立した西洋の城のようにした。

 と言っても、俺には城の違いなど分からないから、セバスチャンの言だ。


 そうそう、坊の中には従魔たちが自由に駆け回り狩りの練習ができる牧場もある。

 初日は急いでそこまで築城したのだが、次の日からは違った。

 違ったとは言っても、濠代わりの用水路と坊壁は初日の坊と同じだった。

 四隅の西洋式城も同じだったが、坊内が違った。

 耕作用地の全くない、家だけがある坊を造ったり、中国や日本の洋式で造った城が中央にある坊を造ったりした。


 三日目には幅二十メートルの用水路と幅二十メートルの大道路を延長した。

 今までは耕作地に農業用水を供給するだけだった用水路が、宮城とその中にある坊を護るための堀の役割も与える事になったから、幅も深さも長さも変更した。

 ついでに養魚も考えて、大公城に転移したついでに放流用の魚を大量に確保した。

 だがその分、用水路の水は飲料用としては少々問題が出てきてしまったので、坊内の各所に噴出式の泉や造って安心できる飲料水を確保できるようにした。


 商業用や住居用、職人が住むための坊内には、幅十メートルの小道路を四本通して、坊内を十六区画の町にした。

 坊内の中央に内城があるところでは違うが、今のところそんな坊はセバスチャンの趣味で作ったところだけだった。

 セバスチャンから特に指示されていない坊の内側は、一面耕作地か放牧地にした。

 まだ住む人のいない坊は、集めてきた草食獣の放牧地にした方が役に立つからだ。


「イーライ様、緊急事態が発生したしました。

 至急大公城にお戻りください、お願い申し上げます」

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