第30話

 なんだこれはどうなっていやがる。

 船の30%が修理不能あるいは大破、明らかに修理パーツは足りていない。

「30分デ敵部隊カラ増援ガクルコトガ判明シマシタ」

 何だとこんな状態でやられたら終わりじゃねえか。

「モービルは背部スラスター以外換装修理してくれ、それが終わり次第あのバックパックをくっつけといてくれ。

 船体は大破している物はパージ、その際に小破、中破規模の破損しているのものの修理に使えそうなパーツがあれば抜き出してしまってかまわない。

 あと無駄にエネルギーを消費するものはパージしてしまってくれ」

「了解」

 俺は一旦船のコックピットに戻り、椅子に

 深く座った。

 どうしたものかあと5分もしないうちに敵が来る。

「応急処置ニハ成リマスガ修理完了デス。

 武装ハナイフ1、サーベルヲスラスターニト腰部ニソレゾレ一本マウントシテイマス。

 ライフルハ一本ノミ、マガジンハ3デス」

 冷静に考えれば逃げればいい、そんなものはわかるがそれだけでは何かが収まらない。

「敵目視可」

「俺を出撃させた後すぐに180度バレルロールして撤退しろ」

「デスガ」

「こんな馬鹿げたデカさスラスターつけてるんだ。

 追いついてみせるよ」

「武運ヲ祈リマス」

「生き延びさせてもらうよ」

 俺は先刻とお同じようにカタパルトで飛び出した、そのまま俺は飛び出しながら、カタパルトで加速しながらスラスターを点火させた。

 全身が均等に椅子に押し付けられた。

 簡潔に言って潰れそうになる、本来安全装置としての意味があるはずのエアバック(のようなも)に押しつぶされる。

 こいつの形も湯がまっされてしまっているのが原因だ、いくら想定外とはいえども欠陥、設計ミスと揶揄させてさせていただきたい。

 ただ締め付けられるのではなく、砕くことを目的とした攻撃。

 そう受け取りたくもなってしまう衝撃を受ける。

「オファ、通常の1.25倍になる程度までスラスター出力を抑えろ」

「了解」

「そのまま敵船に突っ込めえぇ」

 真っ直ぐ安定して飛んでいるため精密に照準を操縦室に合わせてトリガーを引いた。

「すまないオファ、モニタにマガジンの残量を表示してくれないか」

「了解」

 マガジンひとつでやっと二隻落とすコトができる。

 そんなギリギリな状態で二隻を沈めたいのだが、一隻を沈めようと打っても敵の盾によって致命打を与えられなかった。

 そのまま大きく回ってうとうとしても敵の別の機体が弾幕を張ってくる。

 機体こそ硬い装甲をしているが後ろはただの装甲、どころか普通のより衝撃に弱いまである。

 ならばたとえ敵の攻撃が牽制を意味するとしても、極力当たらないようにしなければない。

 しかし時間をかけ過ぎれば増援がくる。

 増援が来て仕舞えば船の方にも攻撃が加わってしまう。

 応急処置のため推進力には懸念点が多すぎる。

 交戦なんてもってのほかだ。

 右で相手に牽制をしながら俺はサーベルで直撃をした。

「出力200%くらえぇ」

 俺は強引に操縦室にある場所にサーベルを突き立て横切った。

 そのまま敵船のデッキに立っているモービルを倒そうと体を翻し切ろうとしたが、届かない。

 俺ている、サーベルが真ん中で俺て失われている。

 そのまま弾幕を軽く浴びってしまったが、体を横に強引に飛ばさせライフルで盾のない場所を貫き2機を落とすことができた。

「ちっ、マガジンを使い切ったか」

「マズイデス」

 俺ではなくオファによって機体、正確には背部のスラスターを操られもう一隻の敵の主砲を回避した。

 俺はそのまま主砲に突撃してその速度をけりに乗せて敵の主砲を回転させた。

 そのまま発砲してしまったため誘爆してデッキなどが爆発し出した。

 しかしそのために加速しすぎ、スラスターの角度を統一してそのままバランスを崩しまっすぐに進んでしまった。

「出力を125%に下げろ」

 しかし出力が強すぎるほんの30度のロールもできない、挙げ句の果てに減速すらできない。

 ふと目の前に別の敵艦がいるコトがわかった、二隻三隻とどんどんと目視できる数が増えているこれは一体なぜだ。

 そんな問いは聞かずとも答えがわかっていた。

 今俺が前進してしまっている方角は後ろとはいえ敵の本隊なのだ。

 マガジンは二個、サーベルは一本、唯一の救いは背部のスラスターの内部コンデンサルリアクターはそこまで消費していない。

 戦闘はできずとも逃走をできるだろう。

 だがそんな楽な話ではないだろう。

 この前戦闘した機体の同型機がいた場合、先日同様に勝てるとはわからない。

 あちらの方が小回りが効くのは明白でもある。

 しかしどうしようもない。

 背部スラスターの強度もそこまで強いものではない、てか強度は把握しきれてない。

 なんと素晴らしいことに砲身はちゃんと俺の方に剥き出した。

 カタパルトが出撃体制に入りだしもした。

 二隻を沈めたのに築いているか否かはわからないが、少なくとも抜けたと言うだけでも不穏分子認定までは確定か。

 見た目作業用なのに、背中には目を瞑ったとしたらだが。

「エネルギー確認、砲撃体勢ニハイルコトヲ命ジル通信モ確認」

「おやまあ、まじで粉々にするきかよ。

 こちとら巻き込まれた民間人だぜ、諸説ありすぎるが」

 体が悲鳴を上げること覚悟で俺はまた加速した、180度回頭を諦めて。

 一斉斉射を寸分違わずしてきた、よくできた統制だ。

 そのまま敵の懐に突撃をしてメインスラスターに多少の玉を当てて推進方角を操作できないようにしたかった。

 弾幕たとても洒落にならない数で、遠距離から玉を当てることしかできない。

 近づけない。

「砲撃のパターンと通信を調べて予測してくれ」

「3分ハ待ッテクレ」

「わかったよ」

 無茶はお互い様か、顎が痛いのはきっと気のせだな。

 突然目の前に入ってきた敵戦闘を回避しようと舵を切ろうとしたが、肩が動かない。

 正面衝突で敵の機体が砕けた。

 そのまま体のバランスが崩れ敵の中の一隻に突撃しそうになってしまった。

 レバーを上にあげて急上昇しながら玉を忘れがたみ程度にぶつけた。

 手元に赤いものがある。

 いやこれは手元にあるわけではない。

 目から血が出ている、それはパイロットスーツに付着してまるで手に血がついているようになっている。

 一隻が沈みだしそれに隠れるように俺はあえてこの場所から離れず、ある種の固定砲として攻撃した。

 しかし思うようには当たらない、通信も思うようにできない。

「聞こえるか、退避はいかほどまで進んだか」

 ”達成率50” 

 本当に通信以上が起きているらしい、特殊通信でどうにか文字だけは送れる。

 すると突然壁にしていた船の残骸を貫かれた。

 幸い直撃こそしなかったしかしそれでっも、外れた弾が足場も貫通して消えていった。

「なんだこの威力、いかれてるだろ」

 既存の俺の知っている理論、ましては平気でこんな威力が出るものを知らない。

 あのゴンブトビーム然りこの弾丸然りどうなっているんだ。

 突然の技術革新が俺がオフラインの間に起きたのか。

 とりあえず俺は残骸を突き抜けてそのまま敵の懐に行こうとしたが、いない。

 あれだけの威力なのだから近くにいるはずんだが、俺を射角に収めているのはモービル小隊(三機)のみだった、まあそこに取り巻き程度に戦闘機が六機ほど連れていた。

 それも小隊の誰も大型ミサイルポットなどのアタッチメントがついていない。

 その正体すら50Mは離れていた。

 手元に持っているのは砲身が焼き切れたライフだった。

 まさかだが俺が持っているライフルと同型のライフルでこんな威力を出したのか。

 そのまま取り巻きが機関銃を飛ばしながら直進してきた、動きが一定なところを見るに

 正規軍用のパイロットAIってところだな。

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