世界には最難関ダンジョンというものがあるらしい。

世界には最難関ダンジョンというものが多数存在するらしい。

「うーん。なるほどな」


スレアの才能が開花し、無事に役目を終えた俺は図書館でとある文献を読んでいた。

本のタイトル名は――――‘’世界最難関ダンジョン”

という本であった。僕は未だにあのダンジョンが普通であったとは考えられない。目を通してみたところ世界で公式に認定されているのは今のところ7つ。


女神楽園、冥王神殿、深淵海原、無限奈落、獣王祭壇、静寂迷宮、虚構迷宮。


とされている。

全ての迷宮において魔獣の質と量、そして迷宮の複雑さや、特殊気候などによって攻略が非常に難しいとされている。


また、モンスターの属性が階によって異なるため全ての対策をするのが難しい。


今のところ最も攻略が進んでいるのは無限奈落である。無限奈落はその名の通り非常に層が深くまで伸びており、最深部までたどり着いたものはおらず、どこまで続いているのかすらも不明である。


魔獣の質は非常に高いが討伐不可能というほどの強さではない。しかし、連戦を繰り返していくうちに徐々に攻略の難易度が上がる。それは単に敵が強くなるというだけではなく、パーティーの消耗があるからである。


永続的に質の高い魔獣との連戦が深く潜れば潜るほどネックになって来るのだ。


 逆に最も攻略されていないのは深淵海原である。一面海の水中神殿であり、ただでさえ強い魔獣と水中でやりあわなければならないのである。

 敵の領域で敵の得意分野で戦闘をしなければならない。そのため、自然と攻略隊が組まれることもないのだ。

 記録によると今から20年前に大規模な攻略隊が組まれたが、第1フロアを攻略することもできず甚大な被害を出して帰還したと記録されてある。


女神楽園は比較的攻略が進んで居たのだが、とある階層を機に突然に攻略隊が消息を絶ってしまった。当時最強と言われていた【グラン・レギアス】というパーティーが消息を絶ってしまった。階層にして-25F

通常5F事に敵の強さが大幅に上昇する。5の倍数階では中ボスなどの強力な魔獣が。10の倍数階ではフロアboss――つまるところの大ボスが存在する。非常に強力なため通常は大規模な討伐隊を組まれることとなる。


当然、続いて後続の救出隊と調査隊が原因追記のために5Fに向かったのだが、相次いで消息を絶ってしまった。

おそらく当時最強であったパーティーでも太刀打ち出来ないほどの強敵がいると推測されたが、それを確かめるための根拠や原因を判明させるための証拠もなかった。

そして、くしくも攻略を断念した。と記録に残されていた。


ここでとあるひとつの考察が浮かんだ。自分が落ちたあの奈落はもしかしてまだ判明していない世界ダンジョンなのではないか――と。

だが、その考察を確かめる術がない。

1度、自分で出向いてみるのが一番いいのではないか。と思い始めた。


ちょうどひと段落ついた為、特にこれといった予定は無い。


次の目標が決まり、期待に胸をふくらませながら本を閉じる。そうと決まれば早速準備をしなければならない。


その旅の先で、どんな新たな出会いをするのか――――そして、その出会いが何をもたらすのか。そんな事は知る由もなく、レイは宿へと向かうのであった。


セレネも、シルヴィも二つ返事で最難関ダンジョンへと向かうことになった。

目指す先は――――無限奈落だ。


魔獣のLvと質が共に高いが、肌でどんなもの知るための足掛かりとして最適であった。

無限奈落は入り口はとても狭い。しかし、ダンジョン内に入ると急に開けた場所へと通じているのだ。

ダンジョンに関しては未知な部分が多く、現在でも研究が進められているらしい。


俺達は無限奈落がある国へとやってきていた。


――――ラグレイン帝国


広大な面積を誇る大陸有数の強国である。武力、経済力ともに大陸トップクラスである。


the 大国といった感じで、巨大な城壁に囲われている。鑑定してみたところ、オリハルコンを含んだ素材で城壁は作られていた。


(この城壁全てにオリハルコンが含まれているのか…)


自分の国との国力の差に思わず圧倒されそうになる。

しかし、城壁の中に入ると印象が一変する。


一面に広がる景色はとても綺麗なものであった。城壁の中には一面の緑が生い茂っていた。様々な種類の植物が生育している。


少しイメージしにくいかもしれない。

簡潔に説明すると、城壁の中に森があり、さらに地平線と説するように街が広がっているのである。


凄いな…。思わず息を飲んでしまう光景だ。


隣にいるセレネとシルヴィも美しい景色を楽しそうに眺めている。


城下町まで距離があるためのんびり歩いていくことにした。


――――――――――


城下町までの道のりを楽しみながら、俺達は検問所までたどり着いた。冒険者カードを提示し、ついにメインの城下町へと入る。


まずは、冒険者ギルドへと向かう。

さすが大国の冒険者ギルドといった感じで、とても重厚な木製で作られた巨大な建物である。集会所、酒場、受付、訓練場、決闘場――など、様々な施設が置かれている。


冒険者ギルドへと足を踏み入れると、雰囲気が一変する。冒険者達の様々な声。騒がしい酒場。熱気あふれる調理場。様々光景が目につく。


まず入って目につくのが正面に位置する受付であり、それに付随するかのように雑貨店、防具店、武器店が併設している。


酒場から肉の焼けたいい匂いがする。

そして、クエスト終わりの冒険者や今からクエストに向かうであろう冒険者など多種多様である。


一つ問題があるとすれば、目立つ事だ。

セレネとシルヴィの美貌がいい意味でも、悪い意味でもとても目立ってしまっているのだ。


だからと言って特別何か対策をすることもない。変な奴が絡んできた潰すし、絡んでこなければそれで終わりだ。


受付横のクエストボードに目を通す。様々なクエストが貼ってある。


このラグレイン帝国の付近には大小様々なダンジョンがあるだけでなく、さまざまな場所がある。ラグレインの国立図書館、繁華街、観光地などである。だが、1番の目玉は冒険者ギルドの大きさであろう。世界最難関迷宮がある年には当然高レベルパーティーが集い、ギルドの拠点も往々にしてその国、または付近の国に置いてあるのだ。


話が戻るが、この国の目玉の一つと言ってもいいこのラグレイン帝国の冒険者ギルドは非常に活気がある。当然それに比例して以来の数、難易度も上昇する。肩慣らしに依頼で儲けようかとざっと目を通す。一つ面白いものがあった。


【Sランク冒険者との決闘】


(なんだこの面白そうな依頼は!)


強い相手と戦えて、尚且つ報酬まで貰えるとなっては受けないてはなかった。


「これをお願いします」


掲示板から依頼書を取り、受付の机に出す。


「ほ、本当に、このクエストを…お受けになるんですか…?」

歯切り悪く、そして依頼を受けるのを止めたがっている様子だ。


(?)


「何か問題があるんですか?」

「い、いえ。ですがこの依頼はもはや遊び心と言いますか…今までクリアされた方が居ないのです。戦闘でおった傷はクエストでの負傷と見なされるため、割に合わないと言うのが正直なところです。それでもお受けになりますか?」


「はい」

「ではいつ頃にされますか?活動の日程は」

「あいにく予定は特に無いのでね。今日でも全然構わない」


「私はレイが戦いたい時でいい」

「そーですね。私もご主人様の本気が見てみたいので!」


2人とも乗り気な様子だ。


「わかりました。では“今から”ご案内します。」


「――――――え?」





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