<序章第1話「魔王の誕生①」を読んでのレビューです>
冒頭は神と悪魔の戦いが終焉を迎えた世界史的なスケールで始まります。その後、舞台は村へと移り、英雄として帰郷するガランドを中心に描かれる。村人たちの熱気、静かに揺れる視線、そして彼自身の影のような内面が対照的に浮かび上がってくる構成です。文体は整然としていて、会話のリズムも含め読みやすく、古典的な叙事詩の手触りと軽快さが混ざり合っています。
個人的に印象的だったのは、妹が「騎士様の目が……すごく悲しそうだったから……」と語る場面です。群衆の中で熱狂を浴びる英雄の姿に対して、ただ一人だけその奥に潜む痛みを感じ取る。その対比が、表面の華やかさと内心の孤独を際立たせていました。物語全体がこれから大きく動き出す予兆のように思え、読む者に余韻を残します。
まず英雄譚の王道を味わいながら、会話や情景に潜む「小さな違和感」に注意を払うと、そこから次第に広がっていく世界の構造や人物の関係性に、より深く引き込まれていくと思われます。