未来へ
2020年6月6日夜
「陽菜 今日はこうやって寝よう」
「うん いいよ。かずちゃん おやすみ」
俺は陽菜の手を繋いで眠ることにした。絶対目覚めたら陽菜が居ないとか嫌だからだ。
スースー寝息を立てる陽菜 可愛らしい......寝顔にチュッとするも、ああ、寝れない。
☆
ん?朝!?.....となりには......陽菜、陽菜がいない
俺は心臓が飛び出そうなくらいの動悸でおかしくなりながら、ブランケットが足に絡まりながらもリビングへ急ぐ。
部屋は綺麗だ、陽菜は?
リビングの壁に写真が飾ってある。
協会の結婚式で撮った佐伯さんとの写真
その隣には和装......白無垢陽菜の結婚式の写真.....。
え どういうこと......?
日付を確認 2023年6月7日
進んでる進みすぎてるぞ......。
佐伯さんは?陽菜は?
スマホで、陽菜に電話した。
「もしもーし」
「陽菜ーっ!陽菜ーっ どこにいる」
「え、パン屋さんに来てるよ。お誕生日おめでとうかずちゃんっ。もう家に戻るよ〜」
家に帰ってきた陽菜は朝からぱっちり目を開いてしっかり身なりも整えていた。
「かずちゃん おはよう おめでとう!41歳はじめてのチューは?」
「41歳?」
「え かずちゃん 歳忘れたの?ハハハ おじさんみたい〜」
陽菜は変わらないように見えた......そうか陽菜は7歳下。
「今日は海に行くんでしょ?サンドイッチ作って ねぇかずちゃん チューは?」
あ、俺は陽菜にキスをする.....が、3年?え、何年進んでる?
「佐伯さんは?」
「え?佐伯さんは2年前に亡くなったでしょ.....かずちゃんのお誕生日に.......」
「..........」
「大丈夫?かずちゃん......かずちゃんが、佐伯さんの命日、かずちゃんのお誕生日は海に行くって決めたんだよっ。」
陽菜との結婚は現実となり、過去じゃなく未来に来れた。俺達に未来はあったということ......この2年、俺は何も知らないけれど。
「サンドイッチ作るね」
「あ うん ありがとう 陽菜」
パソコンを開いたら、白い封筒が挟まっていた。後ろには小さなひまわりの絵ちょっと下手くそなイラストが描いてある。
かずちゃんさんへ
かずちゃんさん、あなたが今これを読んだと言う事は未来に居ますか?きっと過去では無いでしょう。
そして、僕は本当にもうこの世には居ないでしょう。
僕とかずちゃんさんが望んだ未来がそこにありますか?ある事を願っています。
陽菜乃さんがかずちゃんさんの隣で笑っている事を願っています。
僕からお願いです。
僕のお墓参りはしないでください。
その代わり、毎年かずちゃんさんの誕生日、あの海へ行ってください 毎年二人で。
僕もあの海が好きになりました。
思い出を大切に、陽菜乃さんを大切に。未来を大切に。
ずっとお幸せに。
さようなら かずちゃんさん
2020年6月6日
佐伯
日付、俺と佐伯さんからすれば、昨日?
佐伯さんはあの後居なくなったのか......。
「出来たよーっ。かずちゃんっ。」
台所に立つ相変わらずかわいい陽菜 俺の妻。
「......陽菜 大好きだよ。ずっと大事にする」
陽菜を後ろから抱きしめた。
「どうしたの かずちゃん!ふふ」
俺達は海へ向かった。
「わあーっやっぱりいいね。この景色。はじめに窓から見える海」
「陽菜 またそれ〜」
「かずちゃん、今日は入らないでね。海、一応着替え持参してるけどっ。」
「なに。去年は?」
「覚えてないの?去年は私がかずちゃんを押した」
「えー」
「ふふ 今日はやめてあげるね」
砂浜で何をするわけでもなく海を眺める。
俺には陽菜との新婚の3年が飛んだ、記憶がない。2021年からさかのぼった2020年、2019年の2年分未来へとんだ。
だけど、それよりも今からが大事だ。俺は今を未来を陽菜と生きていく。
砂浜を無邪気に走る陽菜が手招きしている。
サファイアリングもキラキラしている。
「かずちゃ――ん」と両手を開く陽菜
あどけない笑顔 何歳になってもかわいい人
陽菜を抱きしめに走ったら、陽菜がしゃがんで逃げた
そして俺は 海に ダイブした.......
「ははははっねっ やっぱり着替え持ってきてよかったね〜かずちゃん」
佐伯さん ありがとう。あなたは陽菜と俺の思い出にしっかり残ってます。
俺の41歳はよい年になる。
サファイヤリングを君に~俺は1年ずつ逆行タイムスリップするらしい 江戸 清水 @edoseisui
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