第51話 家族
実家のカフェに帰ると、両親はにっこり迎えてくれた。
「奏太君がさっきまでいたんだがなあ…………」
「そう…………父さん母さん…………大事な話があるんだ」
「あら、帰ってくるなり何かしら」
「実は………………」
リンのことを全て話した、出会いからリンの抱えている悲しみまで全部話した。
「そうか…………匠真、お前はどうしたいんだ?」
「そうね…………どうしたいのかしら」
「オレは…………リンと一緒に生きていきたい」
「そうか…………」
「でも、オレにはリンの悲しみをどうする事もできないんだ」そう言うとまた涙が出てくる。
「なあ匠真、もしお前に兄ちゃんがいて、災害に会って兄ちゃんだけ生き残ったら、お前は兄ちゃんを恨むのか?」
「えっ…………」
「家族ってそんなもんか?」
「兄ちゃんだけでも生き残って良かったと思う、そして家族の分まで幸せになって欲しいと思う」
「そうだろう…………それが家族ってもんさ」
「そうよ、1人だけでも生き残ってくれたら嬉しいわ、前日の喧嘩した事なんか日々のどうでも良いことよ」
「ああ、家族だからな、きっと凛ちゃんの家族も同じ思いじゃないのかなあ」
「そうだね…………そうだよね」
「父さん母さん有難う」心の中にあった思いが少し軽くなったような気がした。
「ちょっとこっちに来て見ろよほら」
案内されたのはカフェの横の駐車場だった。
「ほら見てみなよ、花壇を壊して広くしたんだ」
「えっ…………何?…………何で…………」
「だって広くしないと大きな車がが止められないだろう?」
「えっ??どういう事???」
「それにこっちもだ」
ついて行くとマンションの5階の角部屋に案内された。
「気持ちが和らぐように暖色系の色でリフォームしたんだよ」
「えっ…………???」
カフェに戻ると母さんがニッコリしている。
「奏太君から匠真がリンちゃんと付き合い出した事を聞いてたわ」
「えっ…………奏太の奴め」
「だからずっと見守っていたのよ…………淋しげなところが有る子だったから何か有るんだろうと思ってたわ、それに苗字が寒河江って聞いてもしかしたらって思ったわ」
「そうなんだ…………」
「それに、ユーチューブを見て彼女が匠真を好きになってくのが手に取るように分かったわよ」
「そうさ、だから母さんと相談して受け入れる準備はしておこうって事になったのさ」
「キャンピングカーも止められる駐車場になったし、リンちゃんを少しでも癒してくれる内装の部屋になってたでしょう?」
オレは言葉を失った。
「父さん、母さん………………」
「リンちゃんを家族の一員にしたいんでしょう?」
「嬉しいぞ匠真、娘ができるんだからなあ…………明日はお店が定休日だから、みんなでプリンちゃんを迎えに行こう」
「ありがとう………………」涙がまた吹き出した、しかし悲しい涙じゃないことは事実だ。
「今夜は遅いからゆっくり寝ろよ」
「ありがとう、父さん母さん………………不甲斐ない息子でごめん…………」
「何言ってんだ、家族だろう」
オレはこの家に生まれてきたことに心から感謝した。
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