第34話 デート
RVパークへ到着する、お風呂は近くの温泉を利用するようだ。
食事の前に温泉へ行き、ゆっくり地ビールを楽しむことにした。
戻ってくるとビヤホールレストランに入る。窓から竹林が見え、とても雰囲気が良いところで思わず楽しくなった。
「おしゃれなところだねえ」リンはキョロキョロと見回している。
早速地ビールで乾杯だ。お肉やソーセージもオーダーした。
「タクちゃん、美味しいねえ」
「ああ、美味しいし雰囲気も良いなあ」
「なんか、デートしてるみたい」リンは少女のような顔をして地ビールを飲んでいる。
子供のようで大人のようなリンをすっかり見慣れてきた。
「そうだ、撮影しなきゃあ」
「今日はいいよ、二人のデートだから」
「えっ、本当にデートなの?」
「嫌かい?」
「ううん、嬉しい」
「普通はいきなりこんなに一緒にいることは無いと思うんだ」
「そうだよねえ」
「週に一度くらいしか会えなかったりして」
「そうだねえ、遠距離恋愛だったらもっと会えないよねえ」
「でも会えなかったら、余計に会いたくなって相手の事をもっと考えると思うんだ」
「そうかも」
「でも、オレは毎日リンの側でリンを見てる、編集でもリンを見てる、一日中リンばかり見てるんだ」
「もしかして………私の事が嫌になってきてるの」不安そうな表情で聞いてくる。
「実は………」
リンは思わず顔を覗き込んだ。
「実は………リンの事が………もっと好きになってるんだ」
「本当?嬉しい」
「このまま大好きになって離れられなくなったらどうしよう」
「だったらずっと一緒にいればいいじゃん」
「リンはそれでもいいのか?」
「うん、タクちゃんだったらずっと一緒でいいよ」
「何にも自慢できるところが無いオレだけどいいのか?」
「タクちゃんは誰に自慢したいの?」
「えっ………」
「私、自慢する人はあまり好きじゃない」
オレは言葉が出ない、そうだオレは誰に自慢したかったんだろう?
「自慢しないタクちゃんの方が好き」
「リン………オレ本当にもうリンから離れられないかもしれない」
「嬉しい」リンは優しい笑顔でオレを見ている。
「谷崎さん夫婦みたいに、毎日楽しいを積み重ねて行けたらいいな」
「うん、私はタクちゃんとなら楽しいを積み重ねられるような気がする」
キャンピングカーに戻ると、リンはハイボールの缶を取り出す。
「大丈夫かそんなに飲んで?」
「大丈夫、もう大泣きしないもん」
「そうか…‥」
「どうせ今夜も結ばれないんでしょう?」
「まあな………でも確実に抱きしめたくなってるなあ」
「そう?………じゃあタクちゃんがもっと好きになってくれるように撮影を頑張る」リンは嬉しそうにすり寄ってきた。
オレはリンの肩を抱いたままハイボールを取り上げて少し飲んだ。
リンは口を尖らせて飲みたいと要求してくる。
ハイボールの缶を傾けリンに少し飲ませた。
何度か繰り返しているとリンはそのまま寝てしまった。
リンの髪を撫でながら、「もう自慢できることが無くてもいいのかなあ……」と言葉が漏れる。
そして心地よく眠ってしまった。
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