向日葵のように咲いていて
雛瀬麻弥
第1話
君の笑顔はまるで、真夏の太陽に向かって咲く向日葵のようだった。
汚したくない。
傷つけずに、側にいたい。
「ねえ、海に行こうよ」
小柄な彼女は、上背のある僕を見上げていった。
目を細めて見つめると、瞬きして、頬を赤くする。
そのあどけなさが、たまらなくて時に恐ろしい。
「……僕にそんなこと言うのは何で? 友達だから?」
ぐらつく心を隠せなくてつい口に出す。
はっ、とした時には遅い。
彼女は、強気にほほ笑みこちらを見た。
「……誰にでも言うと思ってるの? 」
心外だわ!
頬を膨らませて、目を吊り上げる様もかわいい。
「僕は、君と過ごせるのが幸せだから行きたいんだ」
さらっ、と想いが口に出る。
「好きってことでいいの!?」
あくまで強気な彼女は、こちらに言わせたいらしい。
かなわないな。
「君が好きだ」
彼女は、口元を押さえた。頬を流れる滴を隠さずに
こちらを見つめ続けている。抱きしめたい気持ちをこらえて
ハンカチで、その涙をぬぐう。
「先に告げて、断られるのが嫌だったの」
泣きながら吐くわがまま。
「あなたが好き……嘘じゃない」
「嘘をつけるような君なら、好きになっていない」
彼女の笑顔は向日葵より艶やかに咲き誇った。
抱きしめたかったのに、君から抱擁をくれたから
もっと幸せになった。
向日葵のように咲いていて 雛瀬麻弥 @hinasemaya
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