圧力は良くないと思うんだ
今何とおっしゃいましたか?
聞き間違いでなければ、生徒会に入らないかと言われたような気がするんですが。
「お断りしま…ひっ!」
ササキ先輩から圧を感じる。
顔から「断るなよ」という言葉が滲み出ている。
私に運の神様は味方しないのだろうか?
相手は先輩、断ることはできそうにない。
「分かりました」
「ホント?!ありがとうー!」
私の手を取ってヒカリバ先輩は跳ねる。
この人の行動だけ見るなら年上には到底見えない。
「じゃあ明日からよろしくね」
「は、はい」
助けて誰か…。
今回の人生はとことん運が無いらしい。
この選択のせいで私が避けたかったルートに入る確率が大幅に増えた。
本当に慎重にしないとやばい。
ヒカリバ先輩もだけどササキ先輩、タイガ先輩にも要注意しないといけないくなった。
「後はナナミカエデも勧誘してみようかと」
何で?!
生徒会にナナミカエデは本来いないはずなのに。
「良いかもね同級生がいたら少しはやりやすいだろうし」
大丈夫です。
同級生いなくてもできますよ!
これ以上はやめて、攻略対象がこれ以上増えるのはまずい。
てか男子じゃなくて女子生徒くださいよそれなら?!
「なぜ女子生徒を勧誘しないかという顔をしているな」
「…!い、いえそんな事は…」
「別に怒らん」
ササキ先輩に消されると思って身構えたが違うらしい。
「女子生徒は会長に好意を持っているのが多くて私情が入る奴ばかりになるからな。お前は打ってつけの人材だ」
「私はどうなんですかね?」
「安心しろ会長がお前を気に入っているということは、そういうことだ」
「うん。むしろ面倒くさそうにしてるからね。居心地よかったよ?好意の目が無いの最高」
先輩方それ褒めてるんですかね?!
そんなに顔に出てたかな私?
ペタペタと自分の顔を触っていると、ヒカリバ先輩は笑った。
何が面白いんだ、私はやらかしたと思って慌てているんだぞ。
「ユキナちゃんは面白いね見てて飽きないよ」
「あの、私なにも面白いことしてないですよ?」
「気にしないで」
何だそれ、気になるんだけど。
すごい気なるんですけど?
でもここでしつこく聞くのは会話を広げそうで怖いので会話を続けたくない。
そう思っていると私の意思とは反してお腹の音が鳴った。
会話のネタができてしまった…!
「す、すみません」
恥ずかしい、顔が熱い。
「そういえば俺たちお腹空いたからこっち来たんだよね」
「そうか、すまないなセラ。これをやろう」
「俺には?」
「ある訳無いでしょう、勝手な行動をしたんですから」
私はササキ先輩がくれたバタークッキーをまじまじと見つめる。
「なんだクッキーは嫌いか?」
「いえ、好きです」
「それは良かった。後で感想を聞かせてくれ」
「感想って、先輩が作られたんですか?」
ササキ先輩の手作りクッキーは好感度が多少上がっていないともらえない。
まだ本編すら始まっていないプロローグの状況でもらえるのはおかしい。
「何か問題でも?」
「驚いただけです」
とりあえずお腹が空いているのでクッキーを私は口に入れる。
美味しい、サクサクしていて甘さも丁度いい…お店が出せるのではないだろうか?
「美味しいです!サクサクですし甘さも丁度いいです!…あ、ごめんなさい美味しくてテンション上がっちゃって…」
「そうか」
心なしか少し満足げな顔をしているような…?
甘いものが好きなんですかは言わないようにしないと。
先輩がばらさないようにと監視し始めたらもうまずいササキルートに入ってしまう。
「俺を仲間外れにしないでくださーい」
「ひゅ…」
ヒカリバ先輩がササキ先輩から引きはがすかのように自身のところに引き寄せる。
ポスんと音を立ててヒカリバ先輩に体を預けるような形になってしまう。
不快感の無いさわやかな柔軟剤の匂いがする。
私は予想外の展開に頭が追い付かない。
「会長、ただクッキーの感想を聞いてただけです」
「ずるい俺もクッキー食べたい!ユキナちゃんと話したい!」
「さんざん話したでしょう…クッキーはセラに渡した分で最後です」
「そんなぁ…」
「わ、私何か取ってきますね?!」
チャンスだ!
少しだけ休みたい1人になりたい。
この状況を整理したい。
「ま、待って!」
「すぐ戻りますから任せてください!」
「俺も一緒に行くからね?!」
先輩遠慮せず後輩をこき使っても良いんですよ?
「先輩こういう時は後輩を顎で使ってくださいよ」
「それはできないよ。大事な後輩だからさ」
こういう時にも私じゃ無ければメロメロのなりそうなセリフを安易に言う。
私は内心ため息をついた。
なるべく離れたいのに相手が近づいてくるのかと。
全く困ったものだ。
「分かりましたよ。こき使ってくれないのは」
「良かった分かってくれて」
「…セラ俺は会長と違ってこき使うからな」
「ええ…」
ササキ先輩の鬼!悪魔!…と言う程でもないか。
頼ってくれてるってことだと思って前向きに生きようと思う。
(にしても、シナリオが変わってるな…設定は変わってないけど、どっかで好感度見れないかな)
好感度を確認できればこれからの作戦を立てやすくなる、はずなのだが。
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