第3章 気付いた想い

ep10 クーデター!?

 文化祭の合同模擬店でのオレのクラスの出し物はカレーだ。普通のカレーよりもカレーうどんの方がオレは好きだ、そもそも忘れそうなのだが、オレは一応、まだ転校してきてそんなに時間が経っていない。せいぜい、2週間くらいだ。今思い返すとこの2週間いろいろあったなぁ。


おっと、回想といってもそんなにガッツリ思い出してはいないが、これくらいにしよう。


「カレーパンうめぇ」


「空くん、カレーは好き?」

「転校せーい、どうだ?」


オレに話しかけてきたのは、クラスメートの希咲さんと船原さんだ。いつまで、オレは船原さんに名前覚えてもらえるのだろうか? ちょうどオレは学食のカレーパンを食べていた。なお、おかずはオムそばだ。


「カレーねぇ、オレはカレーうどんの方が好きかなぁ。あ、でもインドカレーは昔、ナンで食べてやばいくらい美味しかったの覚えてる」

「ナン!! それだ」


希咲さんは何かに納得してその場を去った。そういや、希咲さんって、togetherのフォロワーの「ヒミコ」さんなんだよなぁ。あれ? そういや、この学校に転校してきてから、リプライもいいねもDMも、「ヒミコ」さんから来てないな。


その日の午後の文化祭の打ち合わせの時間になった。1年4組と合同模擬店なのだが、どうも1年4組の男子が不服そうだった。そこで、オレの横にいたアリイちゃんにオレは聞いた。


「な、1年の男子、なんかあったの?」

「あーはい、蒼空先輩、ありましたねぇ」


アリイちゃんの話を要約すると、

カレーも男女服装交換もやめて、クーデター起こそうぜ!! と言い出して、男子だけで視聴覚室に集まって、R18な映像作品見ていただとか、見ていないだとか。それが先生にバレてとても怒られた。これがさっきの昼休みの話、と言うことだった。


「アホだ」

「そうですよ!! 男子なんて汚らわしい!!」


ふと思った。この話を聞いた以上、いくら転校生といえど、クーデターを起こそうとした理由聞くべきなのでは?


「あのさ」


オレが1年の男子に聞こうとした。すると、1年の男子が声をあげた。


「オレたち1年4組男子はー!!」


クーデターが始まってしまうのか……と思った。


「ナンを作ります!!」


クーデターの話を聞いていたオレは、思わず、1人で心の中で、「ナンかよ!!」と突っ込んでいた、あれ? ナン? カレーに合うあのナンですか?


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