第8話

「無月、帰るよ」


「んん…?」



外を見れば夕方。

そろそろ無月の母親と帰るために合流する時間だ。



「霊好ちゃん…?」


「霊好だよ。そろそろ起きて帰らないと家に着いた時の時間が大変な事になるよ」


「わかった…」



のそのそと無月が起き上がり、寝ぼけているのか周りを見渡している。



「帰るのかい?」


「んー?えっと…」


「ああ、私の事はめぐみと呼ぶといいさ」


「恵さん…?」


「それでいいよ」



なぜ私がちゃん付けで恵がさん付けなのかは外見の問題だろう。

私の子供のような見た目はどうしようもない。



「帰るなら早く帰った方がいい。雲行きが怪しくなってるから、もう少ししたら雨が降ると思う」


「確かに降りそうだね。無月、急そう」


「うん」


「無月ー!」


「!おかーさん!」



どうやら無月の母親が迎えに来たようだ。

観光していると言っていたから、ちょうど終わってタイミングもよかったのだろう。



「…面白い子だねぇ。力が強いから、色々苦労もありそうだけど」


「そのために私が近くにいるんだよ。私は人に優しい神様だからね」


「人間ではないけど、徳が高いことで」


「霊好ちゃーん!」


「ん。私も行くよ。それじゃあ、またね」


「またいつでも来てくれると嬉しいよ」


「距離的にいつでもは難しいかな」



電車で数時間。相当遠いのだ。交通費だってばかにならない。

交通費に関してはそもそもが高すぎるのもあるけど。

電車に乗ること自体は楽しいんだけどね。




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