「望まれるのなら、魔王だって救ってみせる」という概要の一文に、この作品の覚悟が表れている。全種族中最弱と言われるゴブリンであるゼルが、血の滲む努力で帝国騎士の入団試験を突破する王道でありながら、最弱からの這い上がりという軸がブレずに描かれているのが好印象だ。
配属先が最低最悪の評判を持つ第七師団、という巻き込まれ方も丁寧で、「ゴブリンVS.獣人」「ゴブリンVS.AI」といった対決構図がテンポよく続いていく。大罪魔法という独自の魔法体系が、同著者の『守銭奴探偵』とも共通する世界設定として機能しているのも興味深い。
種族のハンデを正面から受け止めながら、それでも勇者を目指す王道の努力譚としての誠実さが伝わる一作。