サッカー男子

 スーパーズーパーメジャースポーツがやってまいりました。

 今回ばかりは、ちょっと文体をいじって書かなくてはなりません。

 オーケー。私は大きな勘違いをしていた。


 ジャパンのA代表、タケフサ・クボはジャパンらしい足元ばかりうまくて存在感のない選手になるんじゃないかと思っていた。


 ここに正式に謝罪しよう。私は間違っていた。


 第一戦、対南アフリカ。クボは自らの存在を示した。

 第二戦、対メキシコ。クボは自らの力と成長を示した。

 そして第三戦、対フランス。クボは問うた。


 俺を外す勇気はあるか?


 答えはノーだ。

 クボは常に絶対的だった。

 展開を変え、試合を変え、世界を変えてみせたのだ。

 

 もちろんジャパンの強みはクボだけじゃない。我々は三つの試合を通じて思い知らされたのだ。モリヤス・ジャパンは強者であると。


 ジャパンの初戦は先述したように南アフリカ。得点はクボの一点のみ。だから何だと言うんだ? 五輪のホスト国であり、最低でもメダルと無謀に等しい願いを託された第一戦だった。どんなエリートでも足を震わす環境で、クボは成し遂げたのだ。モリヤス・ジャパンは勝利を手に入れたのである。


 つづく第二戦はメキシコ。南アフリカよりも苦戦が予想された。ランキングで見ても一目瞭然。私はここらで痛い目をみるだろうと笑っていた。目が曇っていたどころか芝と泥が飛び込んでいるのに気づきもしなかった。


 キックオフからわずか六分。わずか六分だ!

 クボが足を振り抜くと、ボールはネットを揺らしていた。アメイジング以外になんと表現したらいいのだろうか!


 誰もが呆気に取られているなか、若きファンタジスタに負けじとドウアンが突っ込んでいた。これで二ゴール。フットボールを知らない人間には分かってもらえないかもしれないが、前半の十二分で失った二点は黄金よりも遥かに重い。


 ジャパンは前半終了間際にアオ・タナカがイエローを受け、後半の終了間際に一点を失った。しびれた展開だったと思う。ジャパンの足は完全に止まっているように見えたし、消極的だったと言わざるをえない。


 だが。

 だがだ。

 日本の夏は暑く、試合はまだまだ続くのだ。まずはしのげ。しのいで次に備えるべきだ。モリヤスの選択は正しかった。


 やってきた対フランス。

 ジャパンは1-1の引き分け以上で決勝トーナメントに進める。一方のフランスは勝ち点3が最低条件だった。


 あえて言おう。

 彼らに求められた最低条件は、見上げるのも難しいほど高い壁に思えていた。

 まったく間違いだったと認めよう。


 まずは前半27分。クボ! またしてもクボだ! 彼はいつでもベストな場所に立っていて、いつでもフランスにプレッシャーをかけていた。


 つづく34分、今度はサカイが決めた。はぁ? サカイ?  彼はマルセイユの選手じゃなかったか? ああ、そうだったよ、コレは代表戦だった。


 後半に入ってミヨシがダメ押しの3点目。フランスのムアニは頭に血がのぼってしまったんだろう。なんとしてもミヨシの足を折ってやらなきゃならない。おっと、足が前にあるじゃないか。えい。


 最低だ。フランスの心をへし折ったのはクボでもサカイでもミヨシでもなかったのだ。仲間の不要で無用で無駄で無意味なクソレッドカードだった。

 もちろん、私は言葉を重ねることができる。


 若きムアニを蛮行に走らせたのは、ジャパンによる蹂躙である。


 モリヤス・ジャパンに容赦なんて言葉は存在しない。エースのクボはさっさと下げるし、サカイもお疲れ。おっと、せっかくだしちょっと捻ってこいよ、マエダ。

 

 彼はやってのけた。


 もはやボールを追うことすら放棄してしまったフランスに、ずいぶん早く諦めちまったもんだとゴールを叩き込んでみせたのだった。


 なんで直訳(風)の文体って、妙に詩的に思えるんでしょうね?

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