第24話 ダンジョンあるなら潜るのが人の道だろ!
ターラについてしばらくは、アレスくんを連れ立って街のあちこちを歩いて廻った。
最初はメイド服姿で外出するのに抵抗していたアレスくんだったけど、ローブを羽織るって条件で我慢してくれた。
フードで顔を隠しているけど、アタシとしては全然かまわない。メイド服を着ているせいなか、アレスくんの所作が微妙に女の子してる。それで十分だ。本人にその自覚はなそうだけどあえて指摘はしない。
試しにギルドで、アレスくんを冒険者登録したら女の子で通ってしまった。登録の際、アレスくんのフードを上げて顔を見せてあげたら、受付のお姉さんがその美少女っぷりに固まってた。
「この娘、わたしにください!」
「アタシのだ! やらん!」
受付お姉さんの目は間違いなく本気だったよ。
だが良いクエストを紹介してくれるなら、必ずお姉さんのところで受付けするようにすると言ったら、大喜びのお姉さんから面白い話を聞くことができた。
「昨年、この街でダンジョンが発掘されたんですよ。しかも生きているダンジョンで、今現在は8階まで捜索されていますが、まだまだ階層は深いって言われてます」
街の中にダンジョンが出たのか。珍しい話ではあるけど、他にないわけでもない。古い歴史がある都市なんかだと、古代の遺跡の上に街が作れているなんてこともある。
魔族のなかには地下の暗い環境を好むものが少なくないので、遺跡の中に棲息するって連中もザラにいるからな。あとドワーフのように、鉱山の地下にやたら街を作りたがる種族もいる。
そういう連中が集まって時間が経っていくうちにダンジョンが形成されるというのが一般的だ。
だけど生きているダンジョンは、そうした自然発生的なものとは違う特殊なもの。明らかに異常現象と言っていい。
まず普通のダンジョンと違い、ダンジョン内の魔物が無限湧きする。いや、本当に無限かどうかは分からないけど、今のところ生きているダンジョン内の魔物がいなくなるまで討伐したという例はないはずだ。
ダンジョン内で魔物を狩っても、数日から数週間後には再び復活している。そのおかげで生きているダンジョンは、冒険者の経験を積むための修行の場として見る向きもある。また魔物の素材の宝庫でもあるため、生きているダンジョンは、冒険者以外の人々にとっても恵みをもたらすものと考えられている。
またこれは噂でしかないが、ダンジョンの最下層にいるボスを倒すと、ダンジョンマスターとしてダンジョンを管理する権能が与えられるとか。
噂の真偽はともかく、アタシたちがお金を稼ぐ手段としては、最高の環境が整っていたってことになる。
「いい話を聞かせてもらった。なのでこれはお礼だ」
アタシはカウンタ―越しのお姉さんにアレスくんの美少女顔が見えるように、アレスくんを抱き上げる。
「アレス。このお姉さんが良い情報を教えてくれたよ。お礼を言っておこうか」
真っ赤になったアレスくんが伏し目がちにお姉さんを見つめながら、ボソッと――
「お、お姉さん……ありがとう……」
ズキューンッ!
って音が聞こえたかと思ったら、お姉さんが両手を心臓の上に当てて息を切らしていた。
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