第33話

帰り道

ミウスさんもすぐに戻ってきていた。


「なんでミウスさんもついてきてるの?」

「……お家…刀赤…君…の……近く…だ…よ…?」

「近く?」


ほぼ秘境と言っていい場所にある刀赤の祖父の家には他に人が住めるような場所は無かったはずだが。

とりあえず電車に乗ることにした。

電車で40分ほどそれから自転車で2時間ほどかかる祖父の家は不便な場所にあるにもかかわらず車の一つも持っていない。

だから私道となっている場所も碌に整備されていないため家を建てるにも資材を運んだりするのに大変不便な場所であるため金額もバカにならないのだが…


「………株……。」


携帯の画面を見せられてその数値に驚愕している。


ミニカメラグループ...........10,003株

アースラークグループ.........1,005株

ZR東日本...........................100,006株

上藤グループ....................100,000株

その他色々。


「これもしかして株主優待の最高優待がもらえるまで買って残しているの?」

「………そう…いつでも…一緒に…居られる…ように……。」

「でもそのお金の基金って?」

「…………こ…れ…………。」


なにやら手紙を渡された。


これを読んでいるということは御霊牛の彼女に会ったようだね。

彼女の生涯収入は見ただろう。

それを基に今まで生きた年数分の金額を彼女のこちらの口座に振り込んでおいたからね。

ざっと数億ほどはあるだろうから彼女の才能を合わせれば数十億に1時間くらいあれば膨れ上がるだろうし理想のヒモとして生きていけると思うよ。


確かミウスさんの生涯見込み収入は最初鑑定で見た時はアマデウス帝国オリハルコン貨1枚ミスリル貨23枚、日本円に換算すると100,002,300,000,000円(100兆23億円)。

それから換算して数十億ほど貰ったと言っているのでミウスさんはまだ生後間もない少女にも思えていた。


「ミウスさんっていくつ?」

「…………人間……だ…と………17…さ…い………牛……だと………17さ…い………」


不思議に思い改めて再度鑑定を執り行ってみる。


御霊牛(旧:水牛を超えた牛)

DNA上生涯年数(地球年数)333,341年

DNA上生涯年数はあくまでも自然界でのストレスを通常通り感じながら生活した際の目安となります。


神で在り神で在らぬもの

人知れず飢えを満たすために癒しを与えるという。

御霊が故に様々御業を会得し世界を渡る。


前回知識不足により鑑定の照合結果をスキル所持者に合わせた結果より精度の高い鑑定結果が生まれました。


鑑定スキルはアマデウス帝国ミスリルゴールド混合貨幣2,000枚、混合貨幣は調べたところによると記念硬貨のような扱いを受けており価値はあるが庶民向けに作られたモノでミスリル貨幣ほど高くはないらしい。

それでも日本円に換算すると500万円ほどはするらしいが…

なので10,000,000,000円(100億円)、現地で購入すればもっとするだろう。

記念硬貨はプレミアがついて通常よりも値上がりする傾向にある。

ショップスキルで見てみたら案の定10,000,000円(1,000万円)にまで膨れ上がっていた。

銀行スキルから両替する裏技が無ければ20,000,000,000円(200億円)。

準勇者クラスの金額を請求されるので高いには変わりない。


「鑑定か…。」

「…?…鑑定…スキル…は……所持…者…の……知識…に……依存…す…る…よ………。」


正に豚に真珠、猫に小判とはこのことだろう。

生きていくための社会でしか価値を知る必要のないものは知らなくて良いまま生きているのだから異世界に関することを鑑定する際は地球での有用性を兼ねて行われるし正式名称なども知らなくて良いことだと勝手に決めつけていることが鑑定を行う際の弱点になっていることを一つ覚えた。


駅から1時間に1本の自分とミウスさんしか乗らない電車に乗り目の前を過ぎていく風景を眺めているとミウスさんの顔色が悪くなっていた。


「うええぇぇぇ。」

「ちょっ…まさか酔った?」


今の時期は夏だからそこまで線路の揺れは無いはずだが電車酔いを起こすとは思ってもみなかった。


「νιώθω άρρωστος(気持ち悪い)」


背中をさすりつつ、いつでも買い物していいように入れてあるビニール袋を取り出し吐いていも良いように準備していく。


「大丈夫?」

「Δεν αντέχω(無理)」


御炉路ロ炉路ロ(オロロロロロロ)


アニメならキラキラもしくはモザイク掛けが行われるであろう半固体状の粘度の高い異臭のする物体X。

一切の躊躇することなく吐き出される物体Xは瞬く間に45リットルは入るビニール袋の中身を満たしていく。

それにしても出し過ぎなくらい出されているので他に乗客がいないことに安心感を得る反面これの処理をしたくないと思う自分がいた。


「Νιώθω πολύ καλύτερα(すっきりした)」

「大丈夫そうでよかったよ。電車は好きじゃないの?」


するとまた気持ち悪くなったのか御炉路ロ炉路ロ(オロロロロロロ)とビニール袋に流し込んでいく。

乗り物酔いにはいくつか種類があるが微細な揺れに敏感な人は通常時の方が酔いやすいことがある。

逆に大きな揺れほど酔わない体質という可能性も捨てきれないしあれほどの突進をする人だから大きな揺れは感じたことがあっても微細な揺れは感じたことが無いかもしれない。


電車の中ではミウスさんの世話で時間が過ぎていった。

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