#14 キャント ストップ マイ ラブ だ!





この日は早めに帰ることにした。


昨日は遅くまでお邪魔しちゃったし、明日からもまだまだ会うのだから、連日迷惑を掛ける訳にはいかない。

明日は、イクミのご両親が昼ごろ出発するというので、丁度それくらいの時間に来る約束をした。


帰るとき、昨日と同じくご両親に一言挨拶をして、イクミに『おやすみ』のキスをしてから自転車で帰った。





家に帰ると、ミワが来ていて、僕の部屋に居座っていた。


僕が帰ってくると早々に

「アカリ、どこ行ってたの? 昨日も今日もなんで電話に出ないの? 何回も電話したんだよ? 他の女と遊んでたの? 言い訳あるなら聞くけど?」と問い詰められた。


更に悪化してる・・・



僕は、今言うべきだと覚悟を決めて、イクミと話した時と同じように、ミワの正面に正座して話し始めた。


『ミワに話がある。真面目な話』

『もう僕は自分の気持ちを隠すのは止める。立ち止まってても何も始まらない。走り続けることにした』


「うん?なんの話?」


『いいかミワ、聞いてくれ。僕は高梨イクミが大好きだ。諦めたって言ったけど、諦めてなんかいない!誰が諦めてやるもんか!僕の高梨イクミへの恋心は誰にも奪うことも邪魔することも出来ない!キャント ストップ マイ ラブだ!』


「はぁ!?急に何言ってるの!?彼女作らないって約束したじゃん!」


『おう、約束したけど、考え直した。すまん』


「なんでよ・・・ずっと傍に居てくれるって言ったよ・・・?」


『うん、ちゃんと傍には居るぞ。それは友達としてな』


「嘘だ。私のこと捨ててイクミのところに行くんだ。裏切者」


『なんでお前を捨てることになるんだよ。ミワは僕の恋人じゃない。友達だ』


「裏切者!裏切者!裏切者!裏切者!裏切者!裏切者!裏切者!」

ミワはそう叫んで、手あたり次第その辺にある物を僕に投げつけてくる。


『この際だからハッキリ言うぞ。ミワは自分に言い寄ってくる奴を「下心ばっかで自分の気持ちなんてだれも見てくれない」って愚痴ってたけど、僕から言わせると今のミワの行動って、まんまソレだぞ!キスやセックス迫る下心ばっかで、僕の気持ち見ようとしてくれてるのか?』


「うるさい!うるさい!うるさい!うにゅんぁい!」


暴れるミワの顔面を、両手でビンタするように思いっきり挟んで掴んで自分の顔の正面に据えて、口からツバ撒き散らしながら叫ぶように言ってやった。


『いいか?大事なことだからよく聞けよ!僕の気持ちをココではっきり言ってやる!』

『ミワは僕の大事な友達だ!僕はミワのことを見捨てない!だから、キスもセックスも必要ない!僕はそんなことしたくてミワの友達になったんじゃない!何度でも言ってやる!ミワは僕の友達だ!絶対に見捨てたりしない!』


『どうだ!解ったか!』


『だから、一緒に考えようよ。どうすれば学校が過ごしやすくなるのか。どうするのが僕らの関係がベターなのか』


ミワの顔をビンタ拘束から解放すると、真っ赤になったほっぺを抑えて呻きながら

「顔、痛い・・・・女の子の顔叩くなんてひどい・・・・」とミワは訴えた。



僕は『うるせー!ミワが話聞こうとしないからだ!』と言いつつ、でもやっぱりやり過ぎたとちょっとだけ反省して、台所に行ってビニール袋に氷水を入れた物を用意して、それをミワに渡した。



この日も結局ミワは泊って行ったが、ミワを僕の部屋で寝かせて、僕はリビングのソファで寝た。






朝になって起きると、ミワを起こしに自分の部屋に戻った。


ミワは、勝手に僕の部屋着代わりにしている中学ジャージを着て寝ていた。


『ミワ、起きろ。朝だぞ。服返せ』


「・・・・」


『無視すんな。起きてるのバレてるぞ。服返さないなら無理矢理脱がすぞ』


「・・・・脱がせれるもんなら脱がしてみろ・・・・・」


『言ったな?じゃぁ遠慮なくいくぞ』


僕は掛布団を奪い取り、ミワの脇腹を全力でコチョコチョしてやった。

ミワが「ヤメテ!」と叫んで暴れても、一切手加減しなかった。


『ギブアップするか?ごめんなさいって謝るか?』

そう言って、ひたすらコチョコチョしてやった。


ミワが「ごめんなさい!ごめんなさい!」と降参したので、ようやく解放してあげた。


解放されたミワは、ゼェハァゼェハァ言いながら「アカリ、むかつく!」と言うので『あ~そうですか~』と変顔へんがおして返してやった。


僕の挑発に更に激昂げきこうして「だいっきらい!」と言って僕のことをグーでポカポカ殴ってきたので、もう一度脇腹をコチョコチョしてやった。


そうやって朝から二人でギャーギャー騒いでいたら、母親が「やかましい!」と怒鳴り込んできて、休戦した。



二人で洗面所に行き、交代で顔を洗ってから台所へ行って、二人で朝ごはんを食べた。


食べ終わって部屋に戻ると、ミワは神妙な顔つきで聞いてきた。


「アカリが昨日会ってた古い友達って、イクミ?」


『うん、そう。お正月休みで家族で帰省してた。僕も知らなかったんだけど、元旦の日に偶然会って、そこからイクミの家に招待されて、ずっと話してた。昨日もそう。今日も昼から会いにいく』


「・・・・ヨリ戻すの?」


『うん、もうヨリ戻した』


「そっか・・・」


『あのな、昨日も散々言ったけどな、ミワとの友達関係はイクミとのこと関係なく続けるからな。でもキスはもうしない。キスはイクミを裏切ることになる』


「うん、わかった・・・・」


ミワはそう言うと、黙ってしまった。

しばらく沈黙が続いた後、再びミワが口を開いた。


「私もイクミに会いたい。今日一緒に行ってもいい?」


『う~ん、僕の一存じゃ決められないから、イクミに確認しとく。イクミ、スマホ持ってないから今すぐは確認出来ないし、今日会った時に聞いておくよ』


「わかった、お願いね。今日は大人しく帰る」

そう言って、僕の中学ジャージを着たまま上着を羽織った。

部屋を出ていくミワに僕も続いて、ミワを家まで送っていった。




家に戻ると、ウチの親にミワは友達で彼女じゃないことを話した。

ガッカリされたけど、ミワにも色々あって情緒不安定だから、今まで通りにして欲しいとお願いした。


自分の部屋に戻って、出かけるまでまだ時間があるのでベッドで横になると、布団の中からミワのブラジャーが出てきた。


あいつ・・・絶対わざとだな。



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