建国
第15話 平和
差別をなくすと言ったものの僕は、
「ジーニ様・・・・ジーニ様」
「ダ、ダ?」
「朝ですよ。お目覚めください」
帰ってきてすぐに眠りについていました。そして朝寝坊をしてしまい僕はシリカさんに起こされた。一歳児で普通に起きてきていた今までが凄いんだけどね。
「珍しいですね。朝こんなにお眠りになるなんて」
「アイ!」
僕はシリカさんに抱き上げられリビングへと運ばれる。リビングにはデシウスを含めた昨日のメンバーがいた。ちなみにツヴァイお父様はアステリアに先行して向かった。屋敷が無くなっているので家族の為に建てておくそうだ。アステリアの難民の人達も一緒に行っているらしい。アルサレムに知り合いのいる人達は一部残るとか。だいぶ人口が少なくなるな~。
「ん、ジーニ様はお寝坊さん」
「ふふ、シリカに起こしてもらいたかったのでしょ?」
ララさんにからかわれ、お母様はシリカさんを茶化す。シリカさんは何故か俯き頬を赤くした。その姿に僕はお母様とシリカさんを交互に見る。あれ?これって意識しているの?。僕はまだ一歳なのにシリカさんに恋してもらえたのかな?。何て、さすがにないよね。だがゆくゆくは・・・ニヘラ~。
僕は未来の僕とシリカさんを思い浮かべて頬を緩ませる。
「ジーニ様!ご飯を食べましょ!」
デシウスがシリカさんから僕を引き離す。おのれデシウスお前はいい。僕はデシウスを見やる。その時シリカさんの顔が視線に入るといつものシリカさんじゃなかった。
「デシウス様。そのように力強くされてはジーニ様がかわいそうです」
「・・え?ジーニ様はとても屈強なのよ。私の大剣も通さなかったんだから大丈夫よ」
えっと~。お二人は何故にメンチビームを?。僕の頭上で視線の火花が散っている。
「ふふ、ジーニはどちらを選ぶのかしらね」
「ん、私はシリカを選んでほしい」
お母様とララさんが何やら不穏な発言をしている。僕はシリカさん一筋ですよ!。デシウスは確かに綺麗だけど何だか夢の中の人のようで現実味がないんだよね。ってシリカさんが美しさで負けてるってわけじゃないよ・・本当だよ!。
朝ごはんを二人のスプーンからもらう僕はとてもお腹いっぱいになった。まるでリスのように頬を膨らませるとララさんに笑われた。む~・・ララさんの秘密を喋るぞ~。君達だけに教えようララさんは本が好きなのはみんな知っているだろう。そのコレクションの中には[友達になる方法]など以外になんと[彼氏の作り方]という本もあったのだ。ぐふふ、言っちゃった~でもまだ僕はしゃべれないからララさんをいじめられないけど。
あ~いっぱいいじめられる人が増えていくな~。ぬふふ。僕は不敵に笑う。その姿を見たララさんに少し引かれたけど僕は大丈夫です・・・。
朝ごはんも終わり僕はシリカさんに抱かれアルサレム内を歩く。相変わらず僕を見た人は可哀そうな者を見るような人と嫌悪の眼で見てくる人が半々といった様子だ。結構僕は可愛いはずなんだけどな~。
「ふふ、ジーニ様は可愛いですよ」
シリカさんが満面の笑みで僕を慰めてくれる。僕もつられて笑う。そうですよね~僕は可愛いんです。シリカさんは本当に僕の事わかってるな~。
「あら~、お姉さまじゃない!」
「本当だわ。ローズお姉さまのお友達の」
「あらあら、あの時の赤ん坊も一緒ね」
何だか二丁目な人達が声をかけてきた。シリカさんのお友達かな?。
「どなた様ですか?」
違うみたいだ。シリカさんは困惑している。
「あら~、忘れたの?この間ここで私達を目覚めさせてくれたじゃない」
「目覚めさせてくれたのはローズお姉さまだけど~」
二丁目な方々は間延びした喋り方で説明をしてきた。まさかあの時蹴られていた人達かな?。
「え?ええ!?」
「ふふふ~~驚くのも無理はないわ~」
「あの時の私達はどうかしてたのよ~、今ではここいらの平和を守っているのよ」
「ほんと男って女を何だと思ってるのかしらね~」
二丁目3姉妹は強面の男達を見て話す。強面の男達は視線を外し何処かへ逃げていった。なるほどなるほど、こういう抑止力ってあるんだな~、勉強になる。
僕は3人をみて関心した。とても見れたものではない容姿だがこういう強さもあるのだと。だけど僕は目指さないよ。だってこんな化物みたいになる自信はないもの。可愛いからね・・・てへ。
「そうですね・・・では私達は急ぎますので」
「は~い。あなた美人なんだから気をつけなさいよ」
「そうよ。何かあったらすぐに助け呼ぶのよ」
「ここの近くだったらすぐに来てね」
二丁目3姉妹はそう言ってウインクしてきた。何で二丁目の人達って筋肉マンなんだろうか・・・。でもいい人達だな。やっぱりローズさんの体罰は人を改心させるのかもしれない。改めてローズさんを尊敬した。
二丁目3姉妹と分かれてから、少し小腹が空いたのでレストランにいくことにした。シリカさんと一緒にレストランに入ると店員さんに獣人の人がいる事に気付いた。
「ダ~~~!!」
「ど、どうしたんですかジーニ様」
わ~い、猫娘~じゃ~ん。こんな近くにいたんか~い、ちょっとちょっと~いるなら返事をしてくれればいいのに~。
と興奮した僕が叫ぶとシリカさんが驚いた。その様子を心配しながらも猫耳の女の子と男性が駆け寄る。
「大丈夫?」
「何かありましたか?」
とても心配している親子。どうやら貴族服の僕がいた事で何か粗相をしたと思ってしまったみたい。何だか悪いことしたな~。でも差別が酷いこの世界で獣人がこのアルサレムで店をもてるんだな~とアルサレム王の力を思い知った感じだな。
「ダ~ダ~」
僕は首を横に振って否定するととてもびっくりした様子で親子が僕をみた。
「この子何歳なんですか?」
「聡明な坊ちゃんだ」
「ふふ、今年で二歳になるんですよ。ジーニ様は天才ですから」
シリカさんはまるで自分の子供を自慢するように話す。何だか僕も誇らしげだ。
「それで今日はどうされたんですか?」
え?レストランに来たら食事しかないでしょ?。
「ただ食事に来ただけですよ。どの席に座ればいいですか?」
「あ、ああ。そうですよね」
「お父さん、お金払わなくていいの?」
「はい?」
「ダ?」
猫耳の女の子の言葉にシリカさんと僕は声をだした。貴族はお店からお金をもらうものなのか?。
「こら、ニャンナ。ははは。何でもないんですよ」
明らかに動揺している親父さん。その後何事もなかったように僕たちを席に通した。僕たちも空気を読んで食事を食べてすぐに屋敷へ帰っていった。
「王はとても平等な方なのにその下の貴族たちは民からお金を巻き上げているのね・・・」
メリアお母様はとても呆れている。貴族の癖に民を傷つける、何という事か・・・。許せないね。
「ララ」
「ん、調べておくね」
シリカさんの合図でララさんが頷く。またララさんが潜入モードになるようだ。捕まってあれやこれやと薄い本に・・・てへ。
冗談はさておき僕も自分で色々調べよ~っと。
という事で次回は世直しジーニです。ひと~つ人の世の生き血をすすりー、ふたーつ不埒な悪行三昧、みーっつ正してくれようジ二太郎ってね。
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