第8話
「それって……」
そっと手を伸ばして数字に触れてみると、やはり内側に硬い感触があった。
あたしの数字と同じだ!
理解した瞬間、大きな爆弾を落とされたような気がした。
胸の中に鉛が転がっているような感覚もある。
とにかく全身が重たく、けだるく、そして鬱が蓄積していく。
「商品番号」
聡介の口から直接そう言われた瞬間、また涙が滲んできた。
車の中で散々ないたのだけれど、それじゃちっとも涙は減っていなかったみたいだ。
聡介の顔を見ていることができなくて、あたしはうつむいた。
そして肩を震わせる。
「本当にごめん。まさか自分が選ばれるなんて思ってなかったんだ」
聡介が戸惑いながらあたしの肩を抱きしめてくれる。
あたしはその状態でしばらくの間泣いた。
どうして聡介まで?
そんな気持ちがグルグルと渦巻いている。
思わず叫んでしまいそうになり、聡介の胸に顔をうずめた。
「……あたしもなの」
少し落ち着いてきたとき、あたしは言った。
「え?」
「聡介と同じ」
そう言って身を離し、頬に張ってある絆創膏をはがした。
そこには001と書かれているはずだ。
聡介の目が大きく見開かれる。
今にも目玉が零れ落ちてしまいそうなくらいに見開かれた目。
「なんで!?」
聡介が叫ぶ。
「なんで恵美にまで数字が出てるんだよ!」
「わかんないよ。こんなの、ただランダムに選ばれただけなんだから」
やるせない気持ちが湧き上がってくる。
悔しいのに、悲しいのに、誰に文句を言えばいいかわからない。
「それなら、2人で逃げよう!」
聡介の言葉に思わずうなづいてしまいそうになる。
2人で逃げることができればどれだけ良かったか。
あたしはうつむいて左右に首を振る。
「できない」
「なんでだよ!? 2人でなら逃げられるだろ?」
その言葉に、聡介はまだ警告音の存在を知らないのだとわかった。
「実はね……」
あたしは大きく息を吸い込んで今朝の出来事を話して聞かせた。
話を聞いている間、聡介はどんどん青ざめていく。
最後には脱力したように壁にもたれかかり、大きく息を吐き出した。
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