第十三話:気付けばもう一年


 マリアーナとの仲は極めて良好。

 そして何故かソリオン様含めるみんなもごたごたは有ってもいつも集まってわいわいと。



 「まだまだ気は抜けませんが今まで起こるイベントはことごとくゲームの中とは違っていましたわ」



 独り言をつぶやいているとお付きのメイドが首をかしげる。



 「お嬢様、やはりご成長なさっているようで、コルセットや胸当てなどが合わなくなってまいりました」



 言われて見れば最近下着がきつかったりコルセットがどんなに頑張っても入らなくなってきてはいた。

 そう言えばスカートの丈も短くなったし順調に成長しているな、私。



 「お嬢様、そう言えばお誕生日のご招待カードはいかがいたしましょう?」


 「誕生日ですの? ああ、そう言えばもうそんな時期でしたわね!」



 そうか、この学園に来てもう一年近く経つのか‥‥‥


 思い返せばいろいろ有った。

 もう、語るに語りつくせない程。



 夏の避暑地でのハプニング、秋の学園祭の騒動、冬になり雪山実習でイエティとの壮絶な戦い‥‥‥



 うん、このゲームって結構いろいろとイベント事あったけど、主人公のマリアーナにくっついていると本当にいろいろな事に巻き込まれる。

 まあ、元のゲームでもそこに私リリアーヌがちょっかい出してその都度フラグを立ちまくっていたのだけど‥‥‥



 「そう言えば十四歳の誕生日もイベントでしたわね? どんなものでしたっけ??」



 ゲーム内の十四歳の誕生日イベントを思い起こしてもピンとこない。

 いや、このルートやっていなかったかもしれない。



 ま、まずい!

 このままではどれが正解でどれがダメなのか分からない!!



 「と、とりあえず皆様には招待状を出しておいてくださいましいな。それと会場の準備もしなさいですわ。お父様、お母様たちにもご連絡をですわ」



 一体どうなるか分からないけど、無難な誕生日会で乗り切るしかない。




 こうして私は十四歳の誕生日会を迎えるのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る