第四話:舞踏会
学園生活はいたって順調だった。
侯爵家の令嬢と言う事もあり、周りの人たちも私に対しては比較的好意的に、媚びを売るように接触をしていた。
そうそう、私リリアーヌの今の姿は優良物件。
超が付く美少女であるのはお約束で、あと数年もすれば立派なレディーになるだろう。
だけど、もうすぐ起こるあのイベントで一旦は酷い目に合うのだけど‥‥‥
「お嬢様、支度が整いました」
「ありがとう。では行ってまいりますわ」
侍女が認められている程に我がザイナス家はこの学園でも影響力が有る。
だから貴族用の宿舎の中でも私の部屋は特に大きく立派のものだった。
勿論従者も許可されている。
「さてと、いいよね」
そうつぶやき舞踏会に出席する私。
そしてここでヒロインの少女と因縁の出会いが起こる。
「きゃうん!」
私が会場に行くと早速ヒロインが盛大に目の前でこける。
平民出の彼女が慣れないドレスを着込んだ結果だった。
さてと‥‥‥
「あら、こんな所でぼろ雑巾が倒れていますわ!」
「本当、いくら学生は全員出席とは言えまともに歩けない者がいるなんてちゃんちゃらおかしいですわ」
「おーっほっほっほっほっ、雑巾は雑巾らしく端に行っていなさいな!」
あー、まんまゲームと同じだ。
早速意地悪する令嬢たちの中に私が混じって一緒にヒロインに赤恥をかかせないと第三王子との出会いが無くなってしまう。
とりあえず仕方ないので私もそれに参加しようとする。
「あら、どうしましてぇ‥‥‥ え?」
ふるふると涙目のヒロインを目前にしてイベント通りにしようとして思わず固まる。
「すみません、すみません、すみません!!」
平謝りするヒロインのマリアーナ。
ズッキューン!!
うっ!?
何この子めちゃくちゃ可愛い!?
ゲームの中では自分がヒロインだったからその容姿は表示されていなかったけど、めちゃくちゃ好み!
「あ、あのぉ‥‥‥」
「はっ!? あ、あなたドレスが汚れていますわ。せっかくの舞踏会でそれでは可哀そうですわ。私の予備のドレスを貸してあげますわ」
ざわっ!
周りの令嬢たちがざわつく。
「あ、あの、リリアーヌ様、このような下賤の者にリリアーヌ様のドレスを貸し与えるなど」
「そ、そうですわ! この者は舞踏会が終わるまで壁際にでも行ってればいいのですわ!」
あっ!
しまった、思わず目の前のかわいこちゃんに本来の目的を忘れちゃった!!
「こ、これは‥‥‥」
そう言いかけた時だった。
「そんな勿体ない事をしていただくなんてぇ って、てぇえええぇぇぇぇっ!」
ガシャーン!!
私が動揺して何とか取繕おうとするとヒロインのマリアーナがまたまたドレスのすそを踏んで盛大に転ぶ。
そしてその勢いで近くを通った第三王子のソリオン様の足元にグラスを転がす。
それに足を取られたソリオン様が持つグラスが宙に舞う。
はい、来ました予定通り!
その後盛大に頭から飲み物をかぶって面子丸つぶれの私に第三王子が後日謝罪と許嫁の話を持ってきた。
ちょっとイベントと変わっちゃったけどゲームのとおり。
こうして私は第三王子の許嫁となるのだった。
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