にーはち 襲いくる自我

 くるくると回ってぐらぐらと歪む

 なぜ牛乳を盆に注いで運ぼうとしたか

 飽きてしまったから愛は嘘と等しい


 ぴしゃりぴしゃりこぼしぐわぐわ泣く

 なぜ列車で大陸を横断しようとしたか

 太陽が眩しいから生と字はまやかし


 がたわしがたわし進んでずるずる滑る

 なぜ蜂蜜を閉じ込める牢が悲しいか

 生きられないのだから鉄は虚と等しい


 大陸を横断すれば結局また飽きる

 つまり愛はそういうものだった

 ひとときの痙攣といつかの終わりと


 草原と木々と隠された自我

 優しくなかったのは恋を知ったから

 寝そべり回る景色に遥かな離人感で空へ返った

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