とおーご こころ
こころなき魂は人形に宿された
ここにいて下さいねここにいて下さいね
投げようとした人形は繰り返す
ここにいて下さいねここにいて下さいね
人形にはそれしかなかったので全ての者にそういった
ある時魂は人形を抜け出ていく
ここにはいませんよここにはいませんよ
等しく人の代わりとして扱われた人形は繰り返す
ここにはいませんよここにはいませんの
人間には些細な違いだったのでそれを気にしなかった
こころなき魂は人形に宿る
ここではひとりなのここではひかりがないの
こころなき魂と名付けた人間はそれを知らない
ここではね……
人形はやがて語り始め暗闇を照らすようになった
ある時魂はこころを得た
ここを出なくてはここから出なくては
虚空の反響が魂にこころを宿した
見てはならない見てはならない
その反響その虚空は人を骨抜きにして騒ぎだした
助けてくれ虚空よ混沌の血よ
人々は叫びそのこころがなくなる音を聴く
自分の魂がこころなき魂へ変わる瞬間こそが音
その音色を聴くのが楽しいから
ここから出なくてはここから出なくては
人形は何処かへ去り行方は知らない
こころなき魂は宿りそして形の中へ
――やがてね……光が現れてね
お話を聞いて見てそれでね‥‥
夜にこだまする音はいつしか止むことはなくなった。
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