気になって読んでみようかな、と思っていただけた読者様へ。チンギス・ハンの時代から100年以上経過した14世紀半ばが舞台です。架空の主人公は、あたらしく生まれた草原の英雄としての資質がある若者として描かれます。主人公の行動、考えを通して、この時代の人々の生きる息づかいを近くに感じることができます。この時代のモンゴル、そしてユーラシアについて、資料を丹念に調べられており、それが深く落とし込まれています。非常に詳しく、リアルで、物語は一面として大学ゼミの発表かのようなアカデミックな印象も与えると思います。その点は事前の予備知識として頭に入れておくと良いと思います。モンゴル(バトゥ)の西征があったあとの時代です。現代のロシア、ウクライナ、ポーランド付近まで進出し、間接的に支配した社会のなかで、一定の平和(支配者モンゴル側の目線として)が保たれました。東西交易の活発な様子が生き生きと描かれています。その流れが、ルネサンスや大航海時代へと繋がっていきます。その壮大さに、揺さぶられるものがあるでしょう。世界は相互に作用し、影響し合っているとわかります。その中心がモンゴル、ユーラシアだったと教えてくれる作品です。