書けないときの書き方
分からん。本来ならもう書き終わっているはずなのに、一章を書き終わろうかというところで手が止まり、以後なにをやっても続きが書けないのである。なぜだ。年に何度か訪れるこのスランプ(といっていいのかどうかは知らない)期間に、どうやって書けばいいのか。
書けない理由というのは恐ろしいほど沢山みつかる。
時間がない。忙しい。優先すべき事柄がある。書いているものが面白いと思えない。書いたところで誰が読むねん問題。何のために書いてるんだよ。同じネタでもお前が書いたら(略)などなどなど。
うんざりすほど出せる。なぜか。
書きたくないからだよ!
半分ホントで半分ウソである。
書きたいけど面倒くさいのだ。面倒だから書きたくないんだけど、書くのが面倒だと認めるのが嫌で理由を捏造する。いや捏造ではなく事実なのだけれど、あらゆる理由を無視して書いてしまうという最大にして最強の手段を放棄したいのだ。今まさにやっているように。
不思議なことに、ちょっと書き出せば意外なほど書ける。だが、その書き出しが耐え難き苦労を伴うがために書かない。書けないことにしたい。
この念慮、どうにかなりませんかね?
そもそも、スランプというのは普段スラスラ書けて読まれて評価を得る天上人らに適する表現であり、私のような怠惰な創作者には値しない語である。
では、私の『書けない』とは、なんなのか。
なんか人間って諦めたい欲みたいのない? やや口の悪い表現をすれば悲劇のヒーローないしヒロインごっこだろうか。少し違うか。いや合ってるか? 分からん。
とりあえず挫折欲と命名しておくとして、これは何か。
スクラップ・アンド・ビルド。破壊と創造のうち、人は幼少の砌より破壊を好むという。誰が。私が。綺麗に積み上げるほど崩したときの達成感は強い。かけた時間と労力が大きければ大きいほど強い虚無感を得られる。
なんてことだ。これはニヒリズムだったのか!
今は懐かしき猿の惑星ごっこを始めたところで小説は先に進まない。なんなら途中で放棄したほうが気持ちよさそうだ。ニョロニョロ蛇さんが舌先チロチロである。知恵の実の誘惑。
この誘惑を創作意欲に転化できないものか。
ようするに、またダメだったよと絶望するのは楽しいぞという知恵の実を糸に垂らし鼻先にぶら下げ、唇から血反吐を滴らせつつ這い進むのだ。やるのも苦しく終わっても徒労感以外なにも残らないマゾヒズム。
……創作って、楽しいもんではないのか。
こうやって読んでもらうものも心苦しい文章を書き連ねることで、ようやくエンジンがかかってきた感がある。いやかかりそう感がある。セルモーターは常にバッテリー切れだ。古のキックスターターはすでにペダルが折れている。押しがけしようにも巨体は重く、気の抜けたタイヤがブチブチと千切れ鳴る。
目前に斜度四十度に迫る希望という名の絶望の谷があり、前輪をかければ位置エネルギーがなんとかしてくれるように思える。
で、噛むんだ。
ひしゃげたホイールとぬかるんだ泥が最大の敵ですよ。
モチベーション。まだ地球がウーパールーパーとプラナリアの聖地であった頃、私が専門としていた分野である。その正体は、科学的に説明できる部分を出し尽くした後に残る何がなんだかよく分からないもののこと。定量化は無理。自律的なコントロールも不可能。
誰か背中を押してくれ。
なんか、そう叫びたいだけのような気がしてきたので、それはとてもとても恥ずかしいので、書けるような気がしてきました。
久々の創作のナゾがこんなんでいいのか。
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