第二章:お風呂、ヒーロー、大暴露。
2-1
梨々花ちゃんを預かった日から、僕と星乃家との関係は一気に深くなった。
一人暮らしの僕を心配した千夏さんが、夕飯を作ってくれて一緒に食べるのはほぼ毎日。休日は梨々花ちゃんの遊び相手になっており、半分家族みたいな生活になっている。
それに梨々花ちゃんの大好きアピールが猛烈だ。前回の股間揉みも衝撃的だったけど、ボディータッチの激しさは日に日に増すばかり。服の隙間から手を入れて肌をペタペタ、時にはズボンの中にまで手を突っ込んでくる始末だ。やっていることが男女逆なら、完全にセクハラか痴漢案件。事案と言うのかもしれない。
もっとも、訴えたところで「子供のすることだから」の一言で済まされるだろうけどね。
ただ――
「悠都君。梨々花とお風呂入ってくれない?」
「ぶふぅっ!?」
――今日は一線を越えてきた。
平日の夕方。
下校してから少したった頃、星乃家はやってきた。いつも通り夕飯を作りに来たところで、この爆弾発言が飛び出したのだ。
前例のないお願いだが、どうやら千夏さんには大変困った事情があるらしい。
「保育園で泥遊びしたみたいでね、体中の汚れが酷いのよ。ほら、泥って乾いたらパリパリになって、家中土だらけになっちゃうじゃない?」
「はぁ」
「でもあたし、今から料理をしないといけないから……代わりに梨々花の体を洗ってほしいってこと!」
「はぁ……――って、理由はともかく、マズくないですかソレ!?」
今夜のご飯は、みんな大好きカレーライスだ。しかし今から作り始めたら時間がかかるし、火をかけたままにするのでキッチンから離れられない。なので代わりに僕がお風呂に入れる。なるほど、理にはかなっている。
だけど、問題はそこじゃない。
確かに僕達は家族みたいに過ごすようになった。でも本当は赤の他人で、僕はただの近所のお兄さんだ。そんな関係なのに裸の娘を任せるなんて、色々アウトとしか思えない。
「ん~、何かいけないかな?」
「いやいやいや、明らかにいけないことでしょ」
「だって悠都君は将来のお婿さんだし、今のうちに梨々花のすっぽんぽんに慣れておくのもいいんじゃない?」
「す、すっぽんぽんって……」
「どうせ十年ちょっとしたら、毎日触り放題になるんだから、どーんといっちゃえばいいのよ!」
あー……ダメみたいですね。
千夏さんの中では、僕は娘の結婚相手というイメージのまま。つまり息子も同然なので、どこの馬の骨とも分からない異性とは
僕のことを信頼してくれているのは嬉しい。だけど将来の娘婿としか考えておらず、まさか自分に好意を向けているなんて
まだ二十五、六歳なんだからモテるはずだろうに、完全に娘ラブな母親モードみたいだ。そんな恋愛する気のない、ガードの硬さが残念でならない。
「ということで、お願い……ね?」
「は、はい……」
でも、結局断れないのが僕だ。
ちょっぴり強引な千夏さんに惚れてしまった、僕の負けなんだ。
※
「わ~い。ゆーとさんとおふろだ~っ」
「ははは……」
目の前で梨々花ちゃんが服を脱いでいる。スモックや体操服などの保育園の服を、僕の洗濯カゴに投入していく。
一人暮らしを始めたばかりの、高校生の僕が他人の幼児と同じ風呂に入る。しかも温泉や銭湯とは違い、自宅の湯船という密室で。
ほんの数日でどうしてこうなってしまったのだろう。
僕は千夏さんのことが好きで、だけど気持ちを伝えられずにいただけなのに。気付けば家族の一員みたいに、一緒に入浴する仲に。意味が分からない。
でも、僕が求めていたものには近い……かもしれない。
「ゆーとさん、はいろうよ~」
「あっ、ごめん。ボーっとして……」
ぐいっと、梨々花ちゃんに右手を引っ張られた。
そして視界に入る、梨々花ちゃんの一糸
「うひゃあっ!?」
「ん?どーしたの、ゆーとさん?」
圧倒的肌色面積に、思わず声を上げてしまう。
滑らかな肌に丸みを帯びた四肢。ほどけた髪がふわりと宙を舞う。
女の子の裸を見るのは久しぶりだ。小さい頃に妹のを見た以来だろう。
「もしかして、りりかのいろけにやられちゃった?」
「い、いや……そんなこと……」
その言葉も、千夏さんから聞いたのだろうか。
別にいやらしい気持ちになった訳ではない。僕はロリコンじゃないし、千夏さん一筋一本勝負なんだ。脇道に逸れるつもりはない。
だけどいきなり裸の女の子が目に入ったら誰だって驚くし、その子が好きな人に似ていれば
落ち着け、落ち着くんだ僕。
いくら千夏さん似とはいえ、相手は年齢一
こんな胸が真っ平らで毛も生えてない幼女に、心惑わされていてどうするんだ……!
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