第12話 若き心臓手術の神様

◆ ゴッドハンドを持つ、若き心臓手術の神様の実像。


 秋月には自由になる時間がなかった。ぎっしりと組み込まれたダイヤグラムのようなスケジュール表は、秋月が執刀しないオペであってもすべての責任は秋月蒼一が背負わされる。


 院長は、秋月総合病院を全国に知らしめるには1枚看板の息子に活躍して欲しかった。なぜなら、博多湾を見下ろす「香椎」の丘に、九州初のホテル並みの設備を備えた介護施設を建築する計画の実現を目指していた。100のオペを行っても1度も失敗しない、ゴッドハンドを持つオペの神様に息子を仕立て上げ、この病院をゆるぎないものにする夢を描いていた。

 あの子と結婚しようと愛人にしようとかまわない。それはまだ先のことだ。蒼一は今が売りどきだと考えた。

 また、蒼一は心臓外科医としては早熟だと心配していた。外科医のピークは知識と経験と研鑽を積み、なおかつ体力がついていける50歳前後だ。蒼一はまだ35歳にもならない。それでもこのまま「若き心臓手術の神様」を続けて欲しいと願っていた。


 一方、秋月は怒り狂っていた。どうしてこんなに働かなくてはならないのか。オペは嫌いではない、救命の意義はわかり過ぎるほど理解している。しかし、俺にも限界がある。俺は機械ではない。父さんわかってくれ、俺が望んでいるものはこれではない!


 ときおり訪ねて来る雪子だけが救いだった。

「蒼一さん元気ですか? 眠れていますか」と、どちらが医者だかわからない言葉をかけながら、小さなおにぎりをたくさん詰めた差し入れを持って来た。それは一口で食べられるおにぎりだった。

「これって、オペとオペの合間でも食べられるように小さく握られているんですね。教えられました」

 山川は目頭を押さえた。山川の涙腺が緩むほど秋月蒼一チームの誰もが疲労困憊していた。


 星野は帰省しているはずの雪子に電話をかけたが、「秋月病院に行ってます」と母親が言う。何だってユッコは自分から穴に落ちるんだ。オマエと秋月さんは違う、逃げろ! 自由にどこへでも跳べ! オレの可愛い妹はもっと自由でいいはずだ。何度言ったらわかるんだ。大人の世界から逃げろ! 秋月さんですら病院の組織にがんじがらめになっている。ユッコの世界はそんな場所にはない、星野はそう思っていた。


 星野は親父の星野院長に訊いた。

「秋月さんは毎日途方もない数のオペをこなしているらしいが、そんなことは続けられるのか?」

「しがない産科医のオレと若先生とは比べものにならないが、あの若さであの数は普通ではない。精神的な重圧に耐えるだけでも苦悶の日々だろう。憶えているか? 雪子さんを死なせたら自分も死ぬ覚悟をした人だ。雪子さんを幸せにするビジョンを持っていて今は耐えているのか、それとも大病院の座敷牢から脱出できないのか、それはオレにはわからん。今は若先生から雪子さんを遠ざけた方がいい。オレが親父なら無理にでも海外留学させる。若先生の手が届かない所に」



◆ 秋月は過労で本当に倒れてしまった。


 4月5日午後10時、山川から電話を受けた雪子は秋月の部屋に急いだ。一瞬、またウソの重病人かと思ったが、山川の声はそうではなかった。オペ中、秋月の発汗に気づき血圧を測定したところ、血圧の上昇と心拍数の増加が認められ、急遽ほかの医師にオペをシフトし部屋に引きあげさせた。「これは疲労が積み重なった『過労』の何物でもありません」と山川は憤慨していた。


 そっとドアを開けると気難しい表情のまま秋月は眠っていた。点滴液が同じリズムで体内に送り込まれている。山川が付き添っていた。

 「速やかに回復していただきたいので、先ほど前腕正中皮静脈に注射しました。まもなく若先生はお目覚めになりますが、点滴が終わりそうになったら内線の2番に連絡ください。私は朝の7時には出勤しますが、それまではお願いします。お大事に」


 寝具から出ている手を握ったらひどく荒れていた。ああ、度重なるオペのたびに手を洗うからこんなに荒れてしまっている。蒼一さん可哀想、疲れ過ぎて死なないでください! 雪子の涙が秋月の手を濡らしていた。

 まさか、平重盛のように栄華の絶頂に身を置き、病に侵されて命を散らさないでください! お願いです! 

 しばらくして秋月が目覚めたとき、雪子は手の上に突っ伏して泣いていた。


「雪子、大丈夫だ。少し疲れただけだ。泣かなくてもいい。こんなに僕は元気じゃないか。心配しないで顔を見せてごらん」

「はい、泣きません。でも、なぜ倒れるまで働かなければならないのです? 蒼一さんのお父様の病院なのに、私にはそれがわかりません。蒼一さんが可愛そうです。変わってあげたい」

 雪子の涙は止まらなかった。

「もう泣くな。僕には僕の考えがある。時代は確実に変わって来ている。この病院を大きな個人商店ではなく医療法人にしたいと考えている。もう少しの辛抱だ。心配しないでいい。わかったね」

 秋月は雪子の涙を拭いて抱きしめた。


 翌日も秋月はベッドの中だった。山川がふたりの食事を運んできて、「若先生、少しは疲れが取れましたか? 後で点滴を取り替えます。雪子さんには清拭(せいしき)をお願いします」と、蒸しタオルを置いて行った。

 雪子はこわごわ秋月の顔を拭き、パジャマの上着のボタンを外して背中や胸の汗を拭いた。男の裸を正視したことはない、触ったこともない。水球部のアクシデントは朧げな平面映像の記憶にすぎない。林のアポロンは絶望とともに封じ込めた。男の体に触れることに恐怖感があった。


 そんな雪子の気持ちを知ってか知らずか、眼を閉じた秋月は笑いながら、

「僕は医者ではないなあ、情けないなあ。誰かさんと違って健康だけは自信があったのに、労られて看病してもらっている。どっちが医者だかわからない」

「もうお医者様ではありません。ただの秋月蒼一さんです」

「そうだったな。ごめん、すっかり忘れていた」

  

 翌朝、院長は秋月を見ながら、

「蒼一、今回は仮病ではなさそうだ。データを見た。このままだと過労死だ。私が悪かった。今後は徐々にゆとりあるスケジュールを考える。息子を過労死させるわけにはいかないからな。ところで雪子さん、大学にはいつ戻るのですか。もし可能であれば蒼一に付き添ってくれませんか。蒼一にはあなたがいちばんの特効薬でしょう。お願いできますか」

 院長はいつしか雪子さんと呼んでいた。

 

 院長に頼まれた雪子は東京への出発を遅らせた。

 秋月は雪子を離さない。部屋にはシャワールームとトイレがあるので、1歩部屋を出ようとすると「どこへ行く?」と訊く。室外に出られない雪子のために、山川は高校生の娘のものだと、セーターとGパンと新しい下着やパジャマを持って来た。礼を言う雪子に、「気にしないでください。雪子さんに若先生を任せれば私も楽になれるのよ」と笑った。借り物の服は雪子には大きくて、「何だぁ、高校生に負けてるぞ」と秋月は面白がって笑った。


 山川の静脈注射と点滴のためか、秋月の顔色は日増しに良くなって行った。秋月はおとなしくベッドにいた。気まぐれに大人のキスを求めるが、それ以上のことはしなかった。「雪子、おいで」と言ってベッドに招き入れても、抱きしめたまま幸せそうな表情ですぐに眠ってしまった。少年のような寝顔を見つめて、疲れ過ぎて眠れなかった日々を取り戻すように眠っている秋月に、「たくさん、たくさん眠ってください」とキスをした。それでも秋月は起きなかった。


 昼間は何かを話して、ぼーっとレコードを聴いて、本を読んで、ご飯を食べて、わけもなく笑って、1日は瞬く間に過ぎて行った。秋月は雪子といることが楽しかった。それだけで許そうとこの時は思っていた。



◆4月9日(木)、秋月は再び戦場に戻った。


『秋月総合病院の若き心臓外科の神様、過労により倒れる!』、このような見出しがフクニチ新聞や西日本新聞に掲載される前に、秋月蒼一がオペの最前線に姿を見せる必要があると判断した院長は、マスコミ各社に公開していた難しいオペを蒼一に一任した。


 この朝、厳しい表情をした秋月は、

「僕の真価が問われるオペだ。待っていてくれ。僕は逃げることは許されない、逃げない。雪子から『success』のハンコをたくさん貰ったからだ。もう一度雪子の力が必要だ!」

 今までのどれよりも激しいキスをして雪子をベッドに投げ出し、振り返りもせず戦場へ向かった。

 雪子は何をする気にもなれず、時計だけを見つめた。陽は中空にありながら、長いオレンジの煌めきは窓辺を斜めに遮り、雪子の足元に届いていた。


 午後1時、やっとドアが開き手術着の秋月と山川が戻って来た。その姿はまるでロボットのようで、頭にはぴったり張りついたキャップを被り、眼をゴーグルで覆い、両手は手袋の中で、前面には血痕が付着し、消毒薬と血の匂いがした。

 ロボット姿のまま「なぜ、そんな泣きべそ顔なんだ?」と秋月はからかった。ふたりの様子を見れば今日のオペがどんなに大変なものだったかは雪子にも想像できた。

「若先生、そのかっこうでは雪子さんが驚いてます。着替えましょう」

「そうだな。待ってくれ」と言い残し、ふたりは出て行った。


 シャワーの後の濡れた頭を振りながら、

「雪子、ありがとう。やっと昼飯だ。食事の前に乾杯しよう」 

 雪子を横抱きにしてヘネシーを口に含み、雪子の口に注いだ。ピリッとスパイシーな葡萄に眼をパチパチさせた雪子は次に襲ってきた強すぎるキスに気絶してしまった。これからというときに、なぜコイツは気絶する。バカ野郎、何をしてるんだと不満気に抱き上げたとき、ノックと同時に山川が食事を運んできた。

「あら、失礼しました」と慌てて出ようとしたが振り返って、「雪子さんは酔っ払ってますよ。若先生の付き添いでほとんど眠ってませんから無理もありません。寝かしてやってください。お大事に」と笑った。

「おい、誤解するな」

 閉じられたドアにそう言った。


 すっかり食事が冷めたころ、「ふぁい?」と呟いて雪子はやっと眼を開けた。

「山川くんから聞いたがほとんど眠ってないのか?」

「そんなことありません。蒼一さんの傍でちゃっかり眠ってます。しっかり寝てますよ。全然、大丈夫です!」

「そうか、そうだったら話したいことがある。聞いてくれるか?

 僕はあまりにも忙しすぎて、仕事が嫌になり自分を見失っていた。そして雪子に話を聞いてもらおうと思ったが、これはすべて僕の愚痴だ、甘えだ。くだらないことで電話をして悩ませて、嫌われることが怖かった。だから僕はすべてを胸に納めた。僕は弱い人間だ、倒れてよくわかった」


 話を続けようとした秋月を遮り、

「蒼一さん、いつでも電話大丈夫でーす。私は忘れっぽいので、すぐ忘れちゃいます。だから気にしないで話してください」

「コイツ」と頭をこずくと、「痛い」と笑った。

 翌日、雪子は東京へ行った。



◆ 『明暗』が掲げられた早大図書館ホール。


 4月11日(土)、『明暗』が掲げられた図書館の正面ホールで、雪子は星野に腕を掴まれた。『明暗』とは横山大観と下村観山の合作の作品で、混沌とした暗闇から知恵の陽が昇ることを表現した傑作である。同時に、書物を読むことによって知性が拓くことを示した作品だ。迷いの心が宿ったときにこの作品を見つめると、自分にもいつか朝が訪れる気がして雪子は『明暗』をよく眺めた。


「おい、待て、秋月さんに捕まってたんだって? おばさんから聞いた。5日間も何してたんだ? 家にいなかったそうじゃないか。何があったんだ。オマエ、おかしいぞ。監禁されたのか? 話せよ」

 星野は眼を三角にして怒っていた。


「蒼一さんは働き過ぎて倒れたの。このままだったら過労死でも不思議じゃなかったんだって。それで付き添っていた」

「なにっ? 秋月さんが倒れた、本当か? すごい数のオペを執刀している話は医者仲間じゃ有名だから知ってるが、なぜオマエが看病する、断れ! そうだろう? そもそもあの病院には付添い専門の人がいるはずだ。なぜユッコが行く!」

「だって大好きだし、私を救けてくれた人だし、可哀想な人だもの……」

「ユッコはそんなに秋月さんが好きなのか? 秋月さんのあの恐ろしい『愛している』に応えるつもりか?」

 星野は、命を救けてもらってから、秋月のことを「先生」と言わずに「蒼一さん」と呼んでいることを知っていた。


 雪子は黙っていた。大好きなことはわかっている。ディープキスをたくさんした。だが、秋月の愛に応える自信はまだなかった。


「オマエ聞いてるのか? ぼけっとしないでよく聞け。秋月さんはどうなったんだ、回復したのか? またオペが出来るのか? 言えよ、知ってるんだろう」

「今のところは大丈夫だと思う。福岡を発つ前の日に何だか大変な手術に成功したから。まだ完全に治ってないのに、僕の真価が問われるオペだと言って、オペをしなければならないなんて、酷い……」

「オレはそんなことは訊いてない。オマエは何をやっていたんだ。病室で看病していたのか?」

「違う、蒼一さんの部屋にいた」

「うひょ!! ユッコは秋月さんの部屋へ泊まったのか! 5日間も!」

 さすがに星野は驚いて雪子を眺め渡したがどこも変わっていない。まさか、秋月さんが? いや、何もなかった方がおかしい。

「はぁ? オマエは秋月さんと何して何をしたのか?」

「????」

「うーん、オマエはホント鈍いからはっきり言うぞ。だから、ユッコは秋月さんとSexしたかと訊いてるんだ」

 「えっ! 違う、違う! 蒼一さんは何もしないと約束して、私の横ですぐ寝ちゃいました。とても疲れているようで、子供のような顔で眠ってた」


 雪子の言葉に衝撃を受けた星野は、あの情景が脳裏に浮かんだ。バーカ、オマエを襲おうとしたんだぞ。オマエはわからないだろうが、男はどんなに疲れていても、いや、疲れていればこそ癒されたくて女を求めるんだ。このバカ! 秋月さんが寝たふりしてるのに気づかず、のうのうと隣で寝ていたと! 呆れたヤツだ。だが、なぜ秋月さんはユッコを抱かなかったのだろう。コイツらに振り回されたくない! ユッコはいつまでもオレの妹のままでいてくれと、兄になりきろうとする星野は思った。


 ときおり、12時のタイムリミット寸前に秋月から電話があった。

「今宵のシンデレラは延長しろ」と勝手に宣言して、1日の出来事を告げる。「こんなに遅くまで仕事してるんですか?」と言ってもらうだけで心が温まり、電話を切った。つい弱気になって愚痴をこぼした翌日に、「昨日言ったことは忘れてくれ」と言うと、「ふぁい? 何か言いましたっけ?」と返してくる。それだけで嬉しかった。若先生の癇癪は鳴りをひそめ、秋月蒼一チームは完全復活した。 



◆ 6月9日(火)、一服の茶を求めて落合に。


 秋月は新宿でタクシーを拾い、「ここへ行ってくれ」とメモを渡して車中の人になった。

 これが雪子の手紙に書かれていた『相馬坂』か? 付近は木々が鬱蒼と茂り、昼なお暗い坂道が続いている。坂を上りきった小高い丘に、手紙どおりの大きな日本家屋が現れた。この時間では雪子はまだ帰っていないかも知れないが、高嶋先生はご在宅だろうと門をくぐった。庭は端正に剪定された樹木が屹立して1本の雑草もない。これがアイツの草取りの賜物かと思いつつ、庭石伝いに玄関に向かった。


 門下生だろうか、4~5人の男女を高嶋らしき婦人が見送っていた。しばらく待って高嶋に声をかけ挨拶した。

「私は秋月と申します。雪子が大変お世話になっております。ご連絡を差し上げず突然お伺いいたしまして、申し訳御座いません。お詫び申し上げます」

 「ご高名な秋月先生からこのようなご丁寧なご挨拶をいただきまして、恐れ入ります。どうぞ、お上りになってください。雪子さんはまだ戻っておりませんが、まもなくでしょう」と客間に招かれた。


 雪子の日常や茶道の上達ぶりなどを聞きながら待っていたところ、

「先生、ただいま戻りました」と雪子の元気な声が響いた。

 ハアハアと息を弾ませている。あの急な坂道を自転車で上ったのか、若さとは恐ろしいものだと秋月は思った。

 立ち上がろうとする秋月を「お待ちください」と、高嶋は座り直させた。


「雪子さん、戻った早々で悪いけど、今日は大事なお客様がお泊りになるので、あなたにも手伝っていただきます」

「はい? どのようなお客様でしょうか」

「そのような詮索は慎みなさい。私の代わりにお茶を差し上げてください。まず、その野蛮な格好をこれに着替えなさい」

 高嶋から渡されたものは、薄紅の地色に扇が一面に散った単衣の江戸小紋だった。野蛮な格好と言われた雪子は、紺色のサマーセーターにコットンパンツだった。

「私のような者がお茶を差し上げてよろしいのでしょうか?」

 高嶋は答えずに母屋の奥に戻って行った。


 着物姿の雪子は深呼吸して客間の襖を開き、三つ指をついた。

「私は高嶋先生に教えを賜っております未熟者の西崎と申します。本日は私の拙い茶を献上させていただきたいと存じます」

 俯いたまま挨拶した。顔を上げた雪子の眼は秋月のとても優しい姿を映したが、茶席では絶対に表情を変えてはいけないと教えられていたので、顔色ひとつ変えずにシュンシュンと湧いている茶釜の前へ進み、茶を点てた。


 茶とは「一期一会」は勿論のこと、一切の私情を超えた真剣勝負の世界だと教えられていた。そのような難しい真意は理解できないが、秋月を見て狼狽することは恥ずかしいことだと思った。

 秋月は澄ました顔で高嶋に教わったどおり美味しそうに茶をすすり、雪子に返した。


 鹿威しの音だけが微かに響く静寂の世界でふたりは向かい合った。

「はい、けっこうです。『和敬清寂』のカケラぐらいは学んだようですね」と高嶋は笑った。

 和敬清寂とは、茶を点てる主人と招かれた客とが心を通わせて敬い、清浄な空間を創ることで、澄み切った拘りのない境地に達することを言う。



◆ 秋月は落合の高嶋邸に泊まった。


「雪子さん、お客様の夕餉と朝餉は母屋の台所で作りなさい。お造りは『魚政』さんにお願いして、足りないものは『八百柴』さんに頼みなさい」

「えっ! 朝餉もですか?」

「そうです。お客様はお泊りになられます。先ほども言いました。聞いてなかったのですか」

 えーっ、そんなあ、雪子は真っ赤になって俯いた。高嶋はそんな表情を読み取った。

 

 客がある場合は魚政へお造りや魚介類を頼み、八百柴から野菜を届けてもらって、お弟子さんたちが腕をふるっていることを雪子は知っていたが、まさか蒼一さんが正客としてこの屋敷に滞在し、私がおもてなしをするなんて、そんなこと無理です! 叫びたかった。


 一方、秋月は、なるほどこの廊下か、これを雪子が毎朝拭き掃除しているのか。確かに母屋の周りを囲んで100メートルはありそうだ。しかし素晴らしい建物だ。よく戦火を免れたものだと感慨にふけった。

 台所を覗くと、雪子は着物の上に白の割烹着を着てぼんやりしていた。

「何を考え込んでるんだ?」

「電話も手紙もなくて、いきなりなんて驚きました。お仕事は大丈夫なんですか?」

「医師会の会合で東京へ来た。くだらない名刺交換や宴会を欠席して時間を作ったんだ。こうまでして雪子の顔を見に来た僕に同情してくれないのかい?」

「蒼一さんに会えてとっても嬉しいです。だけど、この話をしよう、あそこに行きたいって、考える楽しみが無くなって不満です。そして、今はお客様の蒼一さんに何をお出しすればいいのかわかりません。私がヘマすると蒼一さんが笑われちゃいます。自信がありません。あーっ、どうしよう」

「そんなことで悩むな。僕は急に押しかけた客だ、用意が整わないのは当たり前だ。笑われたっていいじゃないか、僕はかまわない。そのままの雪子でいいと言ったはずだ。そんなことより、割烹着がよく似合ってるよ。昔のお母さんみたいだ」

 雪子の額に小さくキスして客間に消えて行った。

  

 魚を届けに来た魚政の定岡は、「今日はユキちゃんが当番かい?」と割烹着姿に驚いた。

「お弟子さんたちがお帰りになった後にお客様がお見えになったので、私しかいないのです。どうしましょう」

 ユキちゃんでは無理だなと判断して、鯛(たい)と鱧(はも)を捌き、鮑(あわび)に切り目を入れて、その辺の葉っぱを飾れば見栄えがする、鯛のアラで野菜を煮込めば旨いよと雪子に教えた。


 高嶋と秋月はソラ豆を肴にして、桶の氷で冷やした日本酒を楽しんでいた。

「秋月先生、ひと風呂浴びてから夕餉になさいますか?」

「出来ればそうさせてください。世俗の汗をかいたもので」

「雪子さん、湯加減はどうです。見て来なさい」

 雪子は割烹着のまま走り回っていた。


 座卓の皿や杯を片付け終わったとき、高嶋はこれを先生にお持ちなさいと浴衣一式を渡した。雪子は受け取ったが、いつ持っていけばいいのだろう? 困惑して立ちすくんだら、「早くお届けしなさい」と一喝された。


「蒼一さん失礼します。お召し替えをお持ちしました」 

 浴室に声を掛けた。秋月はガラス戸をさらりと開けて、

「これが秋月蒼一だ。よく見ておけ!」

 湯気が立ち込めるなか、一糸まとわぬ姿で振り向いた。

「はぁ? ふぁ? ふぁい」

 雪子は慌てて眼をつむったが、ワナワナと膝が震え胸がバグバグして気が遠くなりそうだった。秋月は笑っていた。


「早く拭いてくれ!」と子供のように両手を広げ素っ裸で突っ立っている。雪子はギュッと眼をつむったままで秋月の体を拭いた。あっ! タオルの中でうごめく物体にギョッとして、取り落としそうになった。「もっと真面目に拭け」と秋月はからかったが、這々の体で下帯を結び、浴衣を着せて博多献上の帯を締めた。ふーっ、雪子は座り込んでしまった。

「悪戯が効き過ぎたか? 雪子は僕の裸を見た。僕は雪子の裸を見たことがある。死にそうだったときだ。これでアイコだ、面白いものだなあ!」

 そのとき、「雪子さんもお風呂をちょうだいしなさい」と高嶋の声が聞こえ、雪子は助けられた気がしたが、秋月はフンとそっぽを向いた。



◆ チャンス到来かと思ったが……


 浴衣に襷(たすき)をかけ、よいしょと料理を運んできた。素肌に浴衣の雪子は動くたびに衿の合わせから白い胸元が覗く。半年前に生死を彷徨ったとは想像できない艶やかさだった。


 夕餉は、先付けにちりめん鱧、八寸は鱧の笹葉巻きと白瓜と鮑の重ね盛り、ジュン菜の清汁(すましじる)、炊き合わせはソラ豆の青煮と琥珀豆腐、焼き物は鯛の香り焼きでもてなした。簡素だが心がこもった手料理だった。

「旨い! 雪子は日本料理をいつ覚えたんだ?」

 高嶋がいるのも忘れて秋月は興奮した。

「お弟子さんたちを見て少しだけ覚えました。今日は『魚政』さんに助けていただきました。私はまだまだです」

「雪子さんご苦労様でした。なかなか美味しいですよ。濃い関東の味と違って薄味もなかなかのものですね。


 ところで秋月先生、誤解なさらないでください。雪子さんをいつもお客様に紹介しているわけではありません。案内をお願いしているだけです。今日は秋月先生なので特別です。雪子さんにお酌をさせるようなことはありませんので、ご安心ください」

「はい、お心遣いありがとうございます」

「私は雪子さんに茶の道を本格的に仕込んでみたいと思いますが、お許しいただきますか?」

 秋月はたじろいだ。すぐにでも大学を辞めさせて一緒に暮らしたいと願っているのに仕込むだと? それは何年かかるのだ? とんでもない! 断じて断ろうと思ったとき、

「どうやら私のワガママだったようですね。雪子さん、客間に先生のお床の用意をお願いしますよ」


 石灯籠に灯がともった。ふたりで庭を散策した。眼下に町家の灯が見え、ここが東京の新宿区だと信じられない静けさだった。

「私が願い事をしている星はあれです。今宵はよく見えます。でも福岡では見えません。なぜでしょうか?」

 雪子が指差す延長上の遥か遠くに小さな赤い光がチカチカと瞬いていた。いつも「蒼一さんが元気でいてくれますように」ってお願いしてます。案じられた秋月は恥ずかしそうに「心配かけたがもう大丈夫だ」と雪子の腰に手を回した。


 この丘は戦災に遭いませんでした。だから林芙美子、會津八一、佐伯祐三、中村彝(つね)などの作家や芸術家の住まいが残っていると、社会科学を専攻する雪子は得意げに秋月に説明した。秋月は雪子の話を聞いてなかった。

 僕はキミをこんなに愛しているのになぜ戦災の話をする。僕は戦争を知っているが、そんなことは今の僕にはどうでもいいことだ。

 秋月は雪子を抱きしめた。そして気づいた。雪子の胸はいつの間にか膨らんで、小さな乳房が隆起していた。1年以上前に無理やり雪子を抱きしめたとき、細くて頼りないだけの少女だったが、柔らかな質感としっとり潤った肌を持つ女に変わっていた。俺の手を逃れて活き活きと輝きを増す雪子、この生命体が憎らしく思えた。

「蒼一さん、どうしました?」

「ああ、何でもない……」


 翌朝、雨戸を開く音で目が覚めた。雀が鳴いている。天気は良さそうだ。雪子は拭き掃除のあと庭を掃いていた。

「お早うございます。眠れました?」

 眠れるわけがないじゃないか、バカ野郎と思ったが、「うん、よく眠れた。雪子と一緒ではなかったのが残念だ」と嫌味を言った。

「私が住んでいる離れを見ますか?」

「ぜひ」

 部屋に入って驚いた。そこは床の間に積み上げられた書籍や教科書の他は、文机と電気スタンドと小さな卓袱台と赤い座布団が2枚あるだけで、若い女性に人気の白い家具などひとつもなかった。


「何もないのか? この部屋は」と驚いた秋月に、

「押入れに全部突っ込んでます。だって、『人は起きて半畳、寝て一畳、天下とっても二合半』と云うでしょう。余分なものは持ちません。この広い部屋のど真ん中に布団を敷いて、バタンと寝るのが好きなんです。隣の茶室ではいつでもお茶のおさらいが出来るし、私はここが大好きです」

 うーん、余分な物を持たないと言う雪子なら、無医村に連れて行っても文句は言うまい。秋月はここで腹を括った。


「お茶を点てましょうか?」

 雪子は庭内の井戸から水を汲み上げ、さらさらと茶筅を使い、茶を点てた。それを縁側で楽しんだ。涼しい風が木々を渡り、緑はお日様の光を受けてプリズムのように輝いていた。秋月は、オペに追いかけられて四季の移ろいや彩も感じられない自分の日常と比べて、こんな生活もあるのか、俺はここで雪子と暮らしたいと心から思った。


 朝餉の支度に雪子が母屋へ去ったとき、文机の引き出しを開けると、成人式にふたりで撮った写真が手製の写真立に飾られていた。俺が雪子の写真に「おはよう」と言っているように、アイツも俺を気にかけているのか…… 胸が熱くなった。もう他の引き出しを覗く必要はなかった。


 朝餉は梅粥だった。薄い桃色の粥にみじん切りの紫蘇が添えてられて、香の物と味噌汁と鮑の佃煮。「朝はいつもお粥なのか」と聞いたら、「お粥さんが好きです」と雪子は笑った。高嶋は笑いながら、

「雪子さんのお粥が美味しいのは、『カロリー鍋』で生米からじっくり炊くからです。先生、お代わりをどうぞ」

 秋月は3杯も食べてしまった。


 離れに戻ったふたりは過ぎ去っていく時間を惜しみ、見つめ合うだけだった。

「あの~ 蒼一さん時間は?」

「今晩中に福岡へ戻ればいい。それよりも僕はここに住みたい、帰りたくない。大学に通うキミを送り出して読書三昧して暮らしたい。あーあ、また職場放棄したくなったなあ」

「えっ、蒼一さんはすぐ我儘言うから。ねえ、どこか行きたい所はあります?」

「ない! まったくない! あるものか! 僕がいるというのにキミは今日も大学に行くのか?」

「いえ、担任の本戸先生に電話してズル休みします。風邪を引いたことにします。そして面会謝絶の重病人になります。いいでしょう?」

 顔を見合わせて大笑いした。


 落合の駅前に赤い自転車に相乗りしてランチを食べに行った。後ろに乗せられた秋月は、急な坂道を速度を緩めずに下っていく雪子の腰に捕まっているのがやっとだった。

「頼むから帰りは僕を前にしてくれ。女の後ろに乗っているのは恥ずかしくてたまらない!」

「ふふふっ、坂を下から見上げてからにしましょうよ」


 ふたりを乗せた赤い自転車は坂の下で止まった。どうしますかと意地悪な眼つきで雪子が挑んだ。これかぁ…… たじろいだ秋月に雪子は笑って、

「蒼一さんが過労死するとマズイので押して上がりましょう。私だけだったら気合を入れて行っちゃいます」

「まさか! 雪子は自転車のまま上って行くのか?」

「真っ直ぐ駆け上がるのは無理でも、この道は車が通らないのでS字を描くようにして走ります。お尻を浮かして力一杯ペダルを漕げば何とか上れます」

「おい、危険だ。転んだらどうするんだ。打ち所が悪いと骨折だ、入院だぞ。自転車は危ないから明日からはバスで大学へ通え、命令だ!」

「ふふーん、イヤですよーだ」

「なんだコイツ、だんだん生意気になって可愛くないやつだ!」

 雪子の額にキスをして、ふたりは坂道を自転車を押して歩いて行った。


 夕暮れになっても離れの縁側にいた。100年の昔からそうだったように、秋月の隣にちんまりと雪子が座って、話をしては微笑み、話の合間に小さくキスし、見つめ合っては黙っていた。

「お願いです。このままじっとしてください」と言って、雪子は秋月の背中に抱きついた。秋月の肩から背に雪子の涙が落ちた。コイツは辛いことや淋しいことをたくさん我慢しているに違いない。「泣くな」と叱られそうで俺の背中に隠れて泣いている。抱きしめたい気持ちを抑えて、雪子が泣き止むのを待った。

「気がすんだかい? 僕は戻らなければならない。雪子、笑ってくれ。そうだ、その顔だ」

 これが2カ月分のキスだと言い、大人のキスを2回して福岡へ飛び立った。



◆ 帰福した秋月病院にて。


「若先生、赤坂のホテルにお泊まりではありませんでしたね。どこへ行ってらしたのです。院長先生が蒼一はどこへ雲隠れしたのかと、怒っていらっしゃいました。雪子さんとお会いになったのでしょう? 顔にそう書いてあります。泊まられたのですか?」

「おい、違う、違う。確かに雪子には会った。ずっと一緒だったが、僕は別の部屋で寝かされた。雪子に悪い、誤解するな。雪子は山川くんが言ったとおり雑巾掛けで鍛えたのか、源義経で有名な『ひよどり越え』に匹敵する坂を自転車で上がって行くらしい。ただ呆れるばかりで、あの若さに圧倒された。僕はついて行けなかった。

 アイツと結婚したら絶対尻に敷かれると納得した。ああそうだ、雪子から山川くんに渡してくれと預かった。自分で縫ったそうだ。僕は紫をもらったが、何でも茶道の宗派によって色が決まっていると言っていた」

 秋月は小さな包みを山川に渡した。


「尻に敷かれる? それは当たり前でしょ。頼りなく見えても若先生よりも雪子さんの方がしっかりされてます。まあ、これは何でしょう。開けてよろしいでしょうか」

「どうぞ、キミがもらったものだ」

 包みを開くと赤の帛紗と手紙が添えられていた。秋月の看病をした際に世話になった礼と帛紗の使い方や茶道の作法が書かれていた。

「私こそ雪子さんにとってもお世話なりました。お礼を言うのは私です。今まで若先生が付き合ってこられた人とはまったく違う方です。余計なことをご存じなくて、頭もいいし」


 雪子の頭を賢くしたのは俺だと言いたかったが黙っていた。そうか、余計なことを知らないのか、そういうことか。

「山川くん、僕の過去を雪子に話してもらっては困る。アイツは泣き虫だが大胆なやつだ。必ず寝首を掻かれる」

「寝首のひとつやふたつ掻かれても仕方がないのではありませんか。もうあと1カ月もしたら戻られますよ」

「ひどいことを言うなあ。雪子は戻って来ても8月は塾でバイトするそうだ。山川くん頼むよ。僕の休みを確保してくれ」

「はい、はい。若先生、しっかりしないと雪子さんに振られますよ」

 山川は秋月の肩をポンと叩いて楽しそうに職場へ戻って行った。そうか、しっかりしないとあの小娘に振られるのか、苦笑いした。


 6月11日(木)、早稲田大学8号館にて。

「昨日、秋月さんが来てたんだって? 泊まったと聞いたが襲われなかったか? 無事だったか?」

「へへっ、蒼一さんは母屋の客間でした。勘違いでーす。残念でした」

「さすが高嶋のババアだ。まあそうだと思った。秋月さんが帰って淋しいか?」

「うん」

「お兄ちゃんがいるから元気出せよ」


 星野と雪子はふたりでワンセットのように授業を受けていた。「政治史」、「会計学」、「国際政治論」、「政治学史」、「社会学入門」となるべく共通の授業を選び、せっせとノートに書き込む妹の隣で本を読みふける兄、仲がいい兄と妹を誰も不思議に思わなかった。


 星野は『早稲田学報』のアルバイトを見つけた。『早稲田学報』は、大学の校友会が明治30年(1897)から発行している学友誌である。仕事は『OB訪問』というシリーズ記事の取材と原稿作成だったが、インタビュー相手によっては雪子を伴った。雪子は笑顔でテープを回すだけだったが、『ワセ女子』が少なかった時代では十分に場を継ぐ役割を果たしてくれた。そんなときは学食で170円のカレーライスをおごって労った。

 その話を雪子から聞いた秋月は俺の雪子を表に出すなと怒ったが、しばらく考えた後、見聞が広がるからまあいいかと許した。俺もそんな学生時代を送りたかったと星野を羨んだ。



◆ 7月22日(水)、星野と雪子は一緒に帰省した。


 また寝台特急で帰省しようと何度も誘う星野に、倒れたくないからスカイメイトで帰りましょうと言って福岡空港に到着した。

「ちょっと蒼一さんとこへ寄るので、それじゃ星野さん、さようなら、またね」

「おい待て、オレも行く」

「えーっ、蒼一さんが驚いて怒っても私は知りませんよ! 怒ったら怖いんですよ。我儘な人だから」

「いいじゃないか、オレはユッコの兄さんなんだからついて行っても文句はないだろう。秋月さんと会うのは1月以来だ。有名になった秋月さんを見てみたい。オレはついて行く、決めた!」


 副院長室をノックした途端、秋月はドアを開き、雪子を抱きしめてキスしようとしたら、後ろに星野がいた。

「なんだ、お前は何しに来た、何か用か? 帰れ!」

「そんなこと言わないでください。東京でユッコの安全を守っているのは僕ですよ。そして今日は送り届けたんです。ありがとうぐらい言ったらどうですか。僕は秋月さんの顔を見に来たんです。『若き心臓手術の神様』はどんな顔をしてるか見たかっただけです」

「相変わらず、お前は減らず口を叩くな」

「元気そうですね。安心しました。ユッコがメソメソしているから、秋月さんは疲労困憊で今度は確実に過労死かと心配しましたよ」

「余計なお世話だ。お前は一体何を俺に言いたいのだ?」

「働き過ぎで死んではユッコが可哀想だと、釘を刺しに来たんです。いつまであんなにオペをしたら気が済むのです? ユッコが望んでいるのは大病院の若先生ではないことを本当にわかってますか? この組織から逃亡したらどうですか。出来ないのですか? それでユッコを本当に幸せに出来ますか? 秋月さん、お願いします。ユッコのことを考えてください」


 秋月チームは驚いて立ち往生し、雪子はこのやりとりをはらはらして聞いていた。

「星野、お前に何がわかる? 若造のお前にはわからないだろうが、俺には俺の考えがある。雪子を置いて帰ってくれ」

 開かれたままのドアを指差した。


「雪子、お帰り。星野があんなことを言うとは思ってなかった。気にしないでくれ」

「星野さんは私を心配して言ってくれたのです。でも私、メソメソしてません。ただ哀しくなったら泣き虫になるだけです」

「それは同じことだろう。泣かして悪かった。星野が言ったことは忘れたほうがいい。アイツは兄貴気取りで雪子を案じている。

 ああ、お疲れさま。解散だ。僕は雪子と食事に行く」

 スタッフの緊張がやっと解けた。

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