第15話 1つになる想い

ある日の学校帰り、街に出た。

久しぶりの街だ。


時間を忘れ夢中になり、以前と変わらない時間帯となってしまった。



「ヤバッ!まただ!」



私は足早に帰る、その途中の事だった。


誰かとぶつかってしまった。




「ってー…何処見て歩いてんだっ!」

「す、すみません…」

「あーあ、洋服汚れたんだけどー?」

「クリーニング代もらおうか?」



グイッと顎を掴まれた。



「高校生?可愛い顔してんなぁ~?」


「高校生ならやる事やってるんだろうし。俺達の相手してくれたらチャラにしてやっても良いけど?」




グイッと肩を抱き寄せられた。



「や、やだ…」



スッと何かを差し出した。


ナイフだ。


それと同時に口を手で塞がれ引きずり込むように路地裏に連れ込まれる。




ドサッ


地面に転がすように押し倒されると押さえつけた。




「や、やだっ!」




バシーッ


頬を打たれた。




二人に押さえつけられた私は敵うわけがない。




その時、携帯が鳴り響いた。




「チッ!おいっ!女っ!対応しろっ!」

「変な真似したら許さねーからなっ!」



私を起こす。


私は震えながら電話に対応する。



「…もしもし…?」

「悠菜ちゃん、今、何処にいるの~?」



栄次さんだ。



「今…街…です…。すみません…」



そう話す中、相手は目で合図をしながら、私の制服を脱がし始めた。


そうとは知らず気付けば制服ははたけ二人の手が容赦なく入ってきた。



ビクッ



「きゃあっ!や、辞め……」





ピッと携帯の電源が切られた。



「悠菜ちゃん!?悠菜ちゃん!?もしもし!?」


「栄次さん?どうかした?」と、竜神君。


「悠菜ちゃんに何かあったみたい…」


「えっ!?」


「それで悠菜ちゃんは何処に?」と、亮平君。


「それが…まだ…街にいるみたいで…」


「街!?」と、亮平君。


「もう7時廻ってるし…下手に動くと…それに、街も広いし…」


「だけど!」




✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




「あーあ、残念だったなぁ~。せっかくのチャンス逃したなぁ~」


「早目にヤッときゃ良かったなぁ~。良い声が聞けると思ったけどなぁ~」



「…………」



「おいっ!行くぞ!」




二人は去って行った。




「……………」








それは少し前に遡る。



電話がかかってきてから二人は隙を狙い制服を脱がし肌が露になった途端、容赦なく手が伸びてきた。



携帯が切られ、次の瞬間。



「女から離れろ!」



そういう声が聞こえてきた。



「あ!?何だテメェ!?」

「やんのか!?」



一人の人が相手の胸倉をつかんだ。


私の視界からは誰だかは確認とれない。




《…誰…?》



「いてて…」



そういう声がした。


顔は確認出来ないものの、胸倉を掴まれていた手をひねり返し、もう一人に向かって押し飛ばすようにすると、二人が纏めて、ドサッと地面に倒れ込んだ。



「彼女にこれ以上手を出したら二人纏めて本気で痛い目に遭うが良いのか?下手すれば病院送りになりかねないが?」



「………………」





私は恐怖と状況が見えない分今を至っている。



彼等は足早に逃げるように去った。




「大丈夫か?」



そう言うと、私の前に腰を降ろす人影。




「………………」




「…零…」




グイッと抱きしめられた。




ビクッ



「大丈夫だ。何もしない」



抱きしめた体を離すと、私の両頬を優しく包み込むように触れる。



ドキン


私は涙が溢れてきた。


すると再び抱きしめ



「しばらくそのまま泣いてろ!バカ悠菜っ!」


「バカって…ひど…い……零一の…バカ……」




そして、零一君は、何処かに連絡をする。



「もしもし、俺、零一です。今から悠菜と帰って来ます」


「良かったぁ~。電話が途中で切れちゃって心配してたのよぉ~。そうしたら零ちゃんが悠菜ちゃんの後を追うように行っている所を見掛けたって恭ちゃんが見掛けたって聞いてぇ~、丁度、電話をしようと思った所なの~悠菜ちゃん大丈夫だった~?」



「はい!大丈夫です!」




零一君は、電話をしながら私の背中をさすってくれていた。



「じゃあ、お願いね~」

「はい」




携帯を切る。



「悠菜」



私が顔をあげると、おでこ同士をくっ付けられた。



ドキン



「これ以上、寿命を縮ませるな!」

「零一君…」

「…もう呼び捨てにしろ!悠菜」

「…えっ…?」



そう言うとキスされた。



ドキン




「…零一…君…?」

「言った後に、すぐ、その呼び方か…零一でいい」



「お前が好きだ!付き合おう悠菜っ!」




ドキン




「えっ?」


「一回しか言わないから二度はない!」


「えっ!?せめて、もう一回…ただでさえ、まだ、恐怖から逃れてな……」




再びキスをされ首筋にキスをされ再びキスをされた。




「制服を早く整えろ!」

「…色気…ないでしょう?」

「あんな事あって冗談を言う気力はあるのか?しかし悠菜、その言葉は問題発言だ!」



「えっ?」



再びキスをされ、今まで経験した事のない深いキスをされたかと思うと、首筋から胸元まで唇が這う。




「ちょ、ちょ、ちょっと待っ…!零……」




キスで唇を塞がれ深いキスをしながら胸に手が伸びた。




ビクッ



スッと離れる零一。




「好きな女を目の前にして、そんな格好されたんじゃブレーキが掛かる訳がない!言葉に気をつけろ!悠菜っ!」



「………………」




「帰るぞ!」

「ま、待ってっ!」



私は制服を整える。




グイッと私の手を掴むと恋人繋ぎをする零一。



そして、再びキスをした。




ドキン




「悠菜。俺も男だって事を忘れるな!お前と恋人として付き合う事になった以上、俺はいつでも手は出せる」





ドキン



頭をポンとする零一。




「強制でしようとは思わないが、頭に良く入れておけ!良いなっ!」




私達の恋は今始まったばかりだよね?







~ E N D ~





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

パラダイス学園 〜 五十嵐 零一 編 〜 ハル @haru4649

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ