第20話  依頼

男、水城。職業パン屋さん。副業、暗殺者。闇夜に舞う。名を持たない。水城と自分でつけた。


なん種類持つ携帯の1つがなる。


添付された画像を見ると、水城の恋人、華が写っていた。水城は2度め、3度目と確認する。


神崎華29歳。


水城は予想していなかった。


依頼主は不明だ。

華が何をやったのか分からない。最近、別に驚きもしなくなったが、リストカットをしていた。


肉は盛り上がり左手に鱚をつけていた。


最近変わったようなようすはない。


何かあるのか検討もつかない。

理由を教えろと聞くが何も言わない。

止めさせようとしたが傷は深く傷をつける。



だが、頼まれた依頼は断る事ができない。


添付の画像を確かに、恋人の写真が映っている。


だが妙な写真の撮り方をしている


動悸が跳ねる。

研いた拳銃。黒い革の手袋に指を通す。


依頼は何があっても遂行しなくてはならない。

それが家族だろうと、恋人であろうと。


水城は黒いコートのなかに拳銃を隠し、送られてきた住所に向かう。

外は冬真っ盛り、雪が一面を白く府立もれる。



着いたのは取り壊しを行ってる工場だった。

腕時計を見る。


遠い目に白いコートの男を見る。

ターゲットはココでココで何をしていたのか。


華。


男は去り、長い髪の女が立ち尽くしている。

真冬には似つかわしくないワンピース。


「ねえ、殺し屋さん。」


カタンとパイプが転がった。


「‥‥水城。こっち来て。」


水城はうろたえる。


「ねえ!知ってるんだからっ!!水城!」


水城は柵を飛び越える、恋人の華の前に姿を表す。


「知ってるよ、貴方がやってること。」


「依頼者は私。ここを指定したのも私、」


「ねえ、水城、愛してるよ。」


「なんで、」


「もういいんだあ。」


華の目から涙が溢れる。


「ずっと考えてた、私の30年計画。自殺は怖いし、最悪生き延びちゃうかもだし、どうせなら水城に殺されたい。‥‥貴方が愛しいから、貴方は優しいから、」


「ごめんね、ごめんね。私、もう生きていたくないの。もう頑張ったよね、もう無理だよ、もう疲れちゃった。私は何の為に生きてるか分からない。迷子。貴方の手で私を殺して。」


華は水城の拳銃を掴み水城の握る銃口を眉間に押しつけた。


「華‥‥‥ごめんな、愛してる。」


華は頷いた。


ぱあん。


銃声が響いた。


水城は華を抱きしめ泣いた。泣き叫んだ。

何回も名前を呼ぶ。


開いたままの瞳を伏せた。


カツカツと足尾が聞こえる。


「華さんから預かったものをお持ちしました。」


白いコートの男。


水城はペンダントネックレス、そして封筒しまっていた30万。


水城は受け取る。


金なんかじゃどうにでもできない事もある。


華を抱き上げべなみだに濡れる頬にキスをした。


そっと寝かせた。


「愛してるよ。水城。」


「愛してる。華。」


暗殺者には似つかわしくない程、涙がながれた。





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