第24話 服役を終えて
こうして1年の刑期を終えて拓哉が帰って来た。これからは拓哉も心を入れ替えて平穏な日々が続くと誰もが思っていた。社長の計らいで元の職場で働かせてもらえた。服役中に料理係を任せられていたらしくたまには料理やデザートを作ってくれたりして子供達も喜んでいた。実際暫くは平穏な日々が3~4年位は続いただろうか。その頃はショートパブの経営から手を引いていた。
しかし、いつの間にかスナックのような飲み屋には職場の仲間とよく行くようになっていた。その頃のスナックはカラオケがブームで拓哉はお酒も好きだが歌を歌うのも得意だったのでスナック通いが始まったのだ。実際、私も拓哉の歌は上手いと思っていた。カラオケ大会にもよく出場していた。何度か通ううちにスナックのママと親しくなったようだ。以前のように帰りが遅くなり帰って来ない日もたまにはあった。
一方、その頃拓哉のスーパーで事務員を募集していて拓哉を通じて私に働かないかと話があった。家族ぐるみの個人スーパーだったが大手スーパーがまだ田舎まで手を伸ばしていなかったので支店を何店舗か増やしていて景気もまだ良い時だった。拓哉の会社では会社主催の運動会などもあり面白そうだし制服もなかなか良かったので勤めてみるのもいいかなと思った。拓哉と同じ会社だとやりにくいかもしれないが拓哉を監視できるとも思った。拓哉は嫌だったかもしれないけど特には反対しなかった。会社の専務からの依頼だったので断り辛かったのかもしれない。
こうして私は本店の事務所のパート。拓哉は支店の店長として共に同じ職場で働く事になった。働く場所が違うので顔を合わせることは殆んどなく月一度の会議が本店で行われた時ちらりと見る程度だった。同じ職場にはなったが拓哉は相変わらず帰って来ない日がありそれどころか段々と酷くなっていた。私が留守中に着替えも持ち出しているようだった。
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