第2話 出産と心療内科受診の件

 出産の日に私は三女を連れて、出産予定の産婦人科医院に車で向かいました。帝王切開の出産の為、日時が指定された出産という事で、兆候が有っての出産と違い,気持ち的には落ち着いて対応が出来て良かったです。

分娩室に入り、どのくらい経ったか、無事に男の子を出産し終え娘は部屋に帰ってきました。暫くは安静にして、次の日くらいから子供の授乳などをし始め、順調に退院へと向かって行く中で、私は心療内科医の先生に呼ばれ、

「娘さんは、精神的に随分と不安定な様ですが、この医院では妊婦専門の心療内科ですので、退院後は近い心療内科か精神科にて受診されることをお勧めします。」

と、言われました。

退院し、暫くして産婦人科の心療内科の先生から、精神的に不安定な所が有るから心療内科か精神科で受診した方が良いと言われた事を三女に伝えましたが、自分自身が精神的に調子が悪い事を認める事は無く、受診するつもりは無いとの返事でした。

出産後、3ヶ月もすると、以前よりアルバイトをしていた電車で30分ほど掛かるスナックで週に1日から3日程20時から23時迄のアルバイト仕事を始めて、仕事の間は私達に子供を託し、電車でスナックに通い始めましたが、人が沢山居る所や混雑する所に居ると、腕等が捻じ曲げられる様な痛みを感じ、過呼吸になる様になってきて、ある時は電車に乗っている事が出来ず、途中下車をして私が迎えに行って仕事を休むなどという事が度々起こる様になりました。そこで、私は三女に

「誰も腕や手を捻じ曲げてくる訳では無いし、人が沢山居る所で過呼吸になるという事は、精神的に調子が悪くて痛みを感じたり、過呼吸になったりするのだから、ちゃんと心療内科などの診察で話を聞いてもらったり、お薬で治してもらわないと良くならないよ。」

と説明して、多分インターネットで検索をして精神状態が悪い時の症状とかを自分でも調べたのだと思いますが、実際に人混みの中に入ってみて色々と症状が出て、辛いと思う事が非常に増えきた事に依って、心療内科の受診を承諾してくれました。

初めての受診日に保険証を出し受付を済まそうとした時に、この期に及んで、

「やっぱり、こんな頭がおかしい人の受診する所で診てもらうのは、嫌だ!」

と言い出して、受付が中々出来ず困りましたが、

「受診せずに帰ったら、今まで通りに人混みで過呼吸になったり、腕や手が捻じ曲げられる様な痛みを感じる事が続くよ! 辛いと思うのなら、ちゃんと受診して話を先生に聞いてもらって、どうしたら良いかを教えてもらって、お薬をもらってちゃんと治せば、そんな辛い症状は無くなるし、気持ちも楽になるよ。」

と説得し、何とか受付を済まして呼ばれるまで、心療内科では結構大きな医院でしたので、沢山並んだ長椅子の傍らで、二人で特に話す訳でも無く、周りの患者さん達の様子を見るともなく何と無くぼんやりと眺めたりして、心療内科としての外来診察室は5部屋あり、丁度3番目の部屋で呼ばれる事になっていましたので、診察室の近くの長椅子で一時間程度待って、やっと部屋から看護師さんが出てきて三女の名前を呼んでくれましたので二人で入って行って初診が始まりました。

若い綺麗なスタイルの良い女性の先生でした。娘もその頃は未だ26歳の若い女性でしたので、多分30歳台前半ぐらいの若めの話し易い先生にして下さったのだと思います。

娘の交際したての男性との間に直ぐに子供が出来、それを告げたら何の責任も取らず、何処かに行ってしましい、結局子供を産んで同居の家族も一緒に育てて行く事にしたのですが、妊娠をした事に依ってアルバイトがクビになったり、妊娠は初めてでしたが、色んな事が上手く行かず、子供は可愛いが仕事が少なく、ちゃんと育てられるか心配も有り辛いという事を、話して初診は終わり、投薬されてお薬を頂いて帰ってきました。

その後、半年位は1ヶ月に1度受診し、お薬は頂いて来ましたが、飲んでいるのか飲んでないのか分からないのですが、手や腕が捻じ曲げられる様な痛みや過呼吸と言う症状が薄れて無くなってくると、

「自分はもう何処も悪くない!」

と言い出し受診をするのを止めてしまいました。

受診期間中に、精神疾患である事は分かっていますが、病名として何が当てはまるかについて様子を見ている内に受診を止めてしまいました。

 前から勤めていたスナックの仕事はそのままに、他のスナック等の仕事や昼間の仕事を探し始めた三女ですが、大変いばらの道でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る